春は始まりの季節。新ネタ&新コーナー。ライデン第一回目。

はい、皆さんお元気ですか。
当Blogもいつの間にか移転後10,000hitを突破いたしました。ご愛読いただいている皆様に心より御礼申し上げます。まだまだ貧乏Blogなのでキリ番プレゼントなどできない状況ですが、いずれはそんなこともやってみたいと思っています。なんにせよ当Blogは皆様からのアクセスだけが頼り。これからも宜しくご愛読お願いいたします。



さて、そんなこんなで東京では春なのに雪が降ったりして、にわかに「劇場版パトレイバー 2」を見ながら模型を作っていた線香亭です。10,000Hitを記念して、と言うわけでもないのですが、今回から晴れやかに新ネタです。コトブキヤ製プラキット、バーチャロンOT(オラトリオ・タングラム)より「ライデン DNA SIDE」でしばらくお付き合いのほどを。


実は私、あんまりゲーマーじゃありません。なにせ凝性なので、ゲームにはまると模型が作れない。そうするとご飯が食べられない。そんなゲームネタには疎い自分ですが、これは知ってます。「電脳戦機バーチャロン」に始まり、「オラトリオ・タングラム」「フォース」「マーズ」と4シリーズがリリースされているロボット戦闘ゲームの名作です。アーケードで何度痛い目を見たことか。その中でもオリジナルシリーズの機体デザインを踏襲しながら斬新なカラーリングと強力な武器を装備した「第二世代」と呼ばれる機体が活躍するのがOT(オラトリオ・タングラム)です。ストーリーやら設定やらはネットで検索していただくとして、その中でも最も重量感あふれるデザインながら画面の中ではとてつもない機動力を発揮するのがこの「ライデン」です。
2008年の年末に突然発売されたこのキット、デザインはカトキハジメ氏、実際の模型はハイエンド3DCGのデータを元に制作されていると言う、まさに画面に登場する機体そのまま、と言うのが話題になりました。まあ、あんまり能書きばっかり垂れててもしょうがないので、まずは箱絵から。



どーん。写真じゃあんまり伝わりにくいんですが、まず箱がでかい。HGUCのザクF2が4個ぐらい入りそうな大きさです。

でかいだけじゃなくパーツ数も結構な数です。コトブキヤさんの本気が感じられます。袋から出したランナーが、見るみる山になってゆく。


と、ここでひるむといつまでたっても完成しないので、一気に仮組みしてしまいましょう。

えー、画面で見るとあっという間ですが、結構時間がかかりました。私の場合、後の手間をなるべく省くため、サンディングできるところは仮組みしながらどんどんやってしまうので若干時間がかかるのですが、一般の方が普通に素組しても、多分10〜12時間くらいかかるキットだと思います。
プロポーションは大本のCGから作られているので、ゲームの画面そのままです。後はもう、個人の好みでどういじるかと言ったところでしょう。「自分の脳内の『俺ライデン』はこうだっ!」という方は心ゆくまで改修してください。自分としては組上げて「なんだかイイジャン、これ」と思ってしまったので、プロポーションの大幅改修はしないで行こうと思います。まぁ、また途中で何を始めるやらわかったもんじゃありませんが……。


それでは細部を見ていきましょう。
脚部などはパーツごとに比較的細かく色分けされているんですが、肝心の肩はパーツで色分けされていません。肩パーツのミゾは黒く塗らないとゲームの機体を再現できないことになります。まあ、自分の作例で塗装しないことはないので、何の問題もないんですが。足の裏なんかは結構細かく色分けされているんですけどね。


胴体周りのバランスも特に問題ありません。というか「ああ、こうなってたんだ」という感じです。

ヒジ関節ははそのままでもこのくらい曲がるんですが、

一度引き出して曲げると、

このあたりまで曲げることができます。

キットのまま組んでも殆んど分割線が出るところはないのですが、二の腕とフトモモだけは目立つところにあるので、しっかりと継目を消しておきたいところです。


背中の「Vコンバーター・ユニット」と呼ばれる部分はコンバーチブルで二種が用意されています。例のゲーム機たちですね。

開閉式で、蓋を開けるとなにやらそそるディティールが施されています。

チラリと見えるフレーム部分は塗装で見せたいところですね。


各部のディティールも、作りこんだら楽しそうな所が随所に見られます。


そして、この機体の大きな特長でもある両肩のレーザーユニット、「バイナリー・ロータス」は差し替えで再現されています。

アップで見ても充実のディティール。パーツ分割にも工夫の後が伺えます。

装着すると、もう何がなんだかと言うくらいの必殺兵器に見えますね。よくこれで泣かされたんだよなぁ。

個人的には後ろ側が好み。

もちろん通常兵器のバズーカランチャーも付属します。



あとはバーチャロンシリーズ共通の「光ってるパーツ」の処理をどうするかだな。

このパーツ、凹部にハメコミが多いので、まだ取り付けてませんが、よりかっこよく見せるため只今試行錯誤中です。

オーロラデカールミラージュデカール、どっちがいいかな?

とにかく、いじるところは多そうだし、バーチャロンだから発色良くビカビカに仕上げたいなぁ。と言うところで悩み多き中年モデラーなのでした。


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◆さて、ここで前回予告した新コーナー。
その名も「遥かなるホワイト・グリント」

アーマードコアに登場する人気機体です。再版が待たれる入手困難なキットを無理を言って知人に手に入れてもらいました。しかも「VOB」付き。うひょひょ。

この機体も「ゲーマーじゃない自分でも知っている」という憧れのモデルです。何年か前に某専門学校のCMで一暴れしてましたね。思い入れが深い分、レギュラーコーナーで取り上げると一年ぐらい完成品が発表できないのではなかろうかという懸念もあり、別コーナーで気長に完成させようと思います。実はまだ袋も開けてないんで、今日のところは箱絵の横っかわでご勘弁を。

知らない方はネットなどで予習しといてくださいね。

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さて、今回はこの辺で。最後は仮組みを終えたランナーの山でお別れしましょう。
ずいぶん痩せちゃったね。

協賛企業、メーカーさんも、まだまだ募集しております。


それでは次週も火曜日更新。乞御期待。

轟雷完成。そしてちょこっと「写真の話」と「色の話」。

はい皆様、ご機嫌いかがですか。今回は轟雷4回目。完成品披露です。


まずはじっくり完成品を見ていただきましょうか。

キャタピラを展開したところ。


今回の見せ場はなんと言ってもドットマトリクス迷彩です。なんか、ちょっとこんな魚いたよなあ的なカラーリングですが。カレイとか。別に参考にしたわけじゃあないんですけどね。偶然です。まあ、あいつらも迷彩模様ですからね。
で、俯瞰で見るとその様子がよくわかります。

写真を見るとわかりますが、フラットに光が当たった状態では面の認識がしにくいですね。とりあえず視覚的には迷彩効果があるってことです。完成品の胴体は前回終わった塗装の上から若干のウェザリングを施してあります。
具体的には
1)エナメル塗料のハルレッドでウォッシング。
2)部分的にエナメル塗料のタンでウォッシング。
3)ハルレッド、フラットブラックなどで調子を見ながらスミイレ。
4)エナメルのジャーマングレー+フラットブラウン+ホワイトでエッジのみをドライブラシ。
5)田宮のウェザリングマスターAセットからライトサンドとサンドでエッジを中心にウェザリング

といった具合でしょうか。



続いてディティール。
何といってもこの機体の一番の特徴であるキャタピラは、プラバンでラバーブロックを再現。ピースのサイドには穴あけ、転輪にはリベッティングを施しました。

キャタピラにはちょっとヘビーめにウェザリングしてます。
手順を紹介すると
1)転輪はMrカラーのジャーマングレーで塗った後、エナメルのハルレッドでスミイレ。
2)キャタピラ部分はMrカラーのジャーマングレーで塗った後、ラバーブロック部分をフラットブラックで筆塗り。
3)エナメルのフラットブラックでウォッシングした後、エナメルのタン、ジャーマングレー、ホワイト等を混ぜた塗料でドライブラシ。
4)田宮のウェザリングマスターAセットからライトサンドとサンドでエッジを中心にハイライトを入れる。
5)転輪部分のみごく少量の「こすって銀SUN」で磨く。
6)100均でかった「やわらかパステル」の黄土色を少量塗りつけ、こびりついた土を再現。

てな感じです。
まあ、このあたりの作業はやっては戻り、戻ってはやりの行ったり来たりなので、正確な順番で作業してお仕舞い、というわけではないんですけどね。ウェザリングの基本は実機の使用状況の再現ですから、その機体がどんな風に扱われ、汚れていくのかを試行錯誤しながらやっていく訳です。今回の作例ではネット上の実物の戦車の写真がずいぶん参考になりました。足元は汚れがヘビーなのにボディはそんなに汚れてないとかね。なので足の接地面から上体に行くに従って汚れを少なく表現してあります。

こっちのほうがわかりやすいかな。

上半身はざっくり埃を被った風。使用後にまだ掃除をしていないという体で。




はい、続いてのディティールアップ・ポイント。
センサー類にはお約束のHiQparts製ミラージュデカール。肩口のセンサー部分には真鍮線を曲げたガードパイプを装着。胸の上面にはヘックスリベット1mmを追加しました。

肩口のウェポンラッチにはワンポイントでヘックスリベット1mmを、背面のウェポンラッチにはマイナスモールド1mmメタルリングの組み合わせでディティールを追加しました。今回は塗装を目立たせるためにあまりやってませんが、「全身ボルトヘッドだらけ」なんていうのも面白そうです。なにより戦車っぽい。そのあたりは皆さんのお好みでどうぞ。

各部のマーキングは箱絵を参考にHiQpartsのウォーターサイドデカールの数字部分を組み合わせました。「<」の部分は市販のホワイトのデカールから切り出したものです。

そしてフトモモ付け根部分のライトにはSPプレート2mm用と1mm用を使用。レンズはWAVE製Hアイズ クリアに着色して使用しました。そしてここにも真鍮線で自作したガードパイプを追加。結構よく割れそうな感じがしたもんで。戦車用のエッチングパーツ等を流用してもいいかもしれませんね。

わかりにくいのでパーツで見るとこういう風になってます。


このキットには「握手」「平手」「火器の持手」「握った持手」と豊富な手首オプションが付いています。写真に写っているのだけじゃありません。じゃあ何で写真に撮らないかというと……撮影のときまで塗るのを忘れてたんです。失敬! ナイフはサンディングスティックの600番から1500番まで磨いた後、Mrカラーのスーパーファインシルバーを塗り、クリアコートしたものをコンパウンドで磨いています。

ちょっと手首を変えるだけで表情が変わります。

せっかくなので平手とナイフで写真を撮ってみました。

中々いいんじゃない?




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◆さて、ちょっとここで休憩。『写真の話』をしましょうか。


実は当Blogの読者の方からメールがありまして、バックがグラデーションになった写真はどうやって撮ったらいいの? というご質問をいただきました。え〜、写真の撮り方は知ってるんですが、写真はあんまり上手くない私が説明するのもなんですが、一応ご質問には答えたい。
ということで、通常、スタジオなどでバックがグラデーションの模型撮影をするときには、大体下の図のようなセッティングをします。バック紙は白やグレーの単色です。青や赤といったバック紙を使うと色が反射して撮影物に写りこむ、いわゆる「ハネル」という現象が起こりますから、私はあまり使いません。

下に敷くのは通称「一間板」と呼ばれる1.8m×0.9mの板です。この板をベースにバック紙をカーブさせて撮影物の後に途切れ目が出ないようにし、うまいことトップライトを調節して光の当たらない「影」の部分を作ります。これが写真に撮ったときにグラデーションとして写ります。私が連載しているPCfanのガンプラ記事でも、大体このようなセッティングで撮影しています。
例えば白いバック紙で撮るとこんな感じに。

ただこの方法だと、えらく広い場所が必要になり、自宅で撮るのは難しい。そうだなぁ、何もないスペースが最低8畳くらいあれば撮影できるでしょうか。撮影時のライトの光量も必要です。なので「グラデーションバック」というものを使います。えー、大きすぎて写真に撮れないので、図版で説明。
 こういうものです。
はい、単純に言うと大きな紙にグラデーションが印刷されたものです。プロカメラマン用のバック紙としては昔からあるものなのですが、価格が高く、サイズが大きすぎたりと、個人で使うには不向きでした。ところがあったんです。手ごろな値段で使える丁度良いグラデーションバックが。G PARTSというネットショップから購入できますので、詳しくはそちらから。これのいい所は、とにかく撮影場所をとらないでグラデバックが使えるところです。例えばこんな風に

バックに多少光が入っても、元からグラデーションがかかっているので問題ありません。まあ、あんまり直で当たっているとバックが跳んで(白くなって)しまい、グラデーションペーパーを使う意味がなくなってしまいますが。
撮影スペースはスタジオ撮りの約半分以下で済みますから、自宅でもグラデバックで撮影可能です。で、撮ったのがこの写真。

6畳間で、しかも半分は家具やらプラモの箱やらが占領している部屋で撮っています。グラデバックで撮影したい方は挑戦してみてくださいね。


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◆さて、脱線ついでにもひとつ。ちょいと『色の話』を。


前回の記事に「缶スプレー塗装でもドットマトリクス迷彩ができますか?」というご質問をいただいたのですが、えー、基本的には可能です。多分。ただ、やはり塗装が厚くなるのは覚悟しないとならないでしょう。今回の作例でもそうですが、エアブラシでなるべく薄く吹くように気をつけていても塗り分けに段差ができます。これはトップコートを厚く吹き、研ぎ出しをすることで解決することができますが、やはりエッジがだれてしまったり、ディティールが埋まってしまうことが多いです。また、「抜合せ」という手法を使えば平らな塗装面を作ることができますが、一色塗る毎に、塗り終わった部分とこれから塗る部分のマスキングを繰り返すという方法のため、ドットマトリクス塗装では現実的とはいえません。じゃあ塗装の厚みを我慢すればいいのかというと、今度は「色が混ぜられない」という問題が出てきます。
前回説明したように、ドットマトリクス塗装は「色相」「彩度」「明度」の色の三要素のうち、1色は他の色と2要素が異なったもの。残りの2色は1要素が異なったもの、という風に構成されていることが多いのです。したがって、混色のときにこの要点を満たすように微妙に調整しています。混色のできない缶スプレーだと、よほど上手い構成で色を見つけない限り微妙な違和感が残ると思います。「模型を何色に塗るなんて個人の自由じゃーん」といわれれば、なるほどそうなのですが、多分、こういうことが起こります。



はい、シアン、マゼンタ、イエローの円を並べたものです。拡大するとこういうものです。

この時点で言うならば「パステルカラーの水玉迷彩だぜ!」ってことになるのですが、縮小すると困ったことが起こります。

最初の画像の1/4の大きさなんですが、なんか、ただのグレーに見えませんか? よく見れば、ちょっと色が入ってるかもって感じで。この作用が「分割混色」という作用です。ちっちゃな点々が集まると、絵の具で色を混ぜたかのように違う色に見えるって事なんですが、カラーの印刷物なんかはこの作用を利用しています。
まあ、この見本は極端な例ですが、今回の作例のドットの大きさでも「なんか全体の色調がはっきりしないよなぁ」とか「ドットにはなってるけど迷彩になってないよなぁ」という事は起こります。実は本塗装に入る前に実験して確認済みです。ドットマトリクス塗装は基本的に小さな四角の集合体ですから、この作用が起こりやすい。なので、微妙な混色で分割混色のような現象を回避しているわけです。ドットの大きい、つまりサイズの大きい模型なら比較的分割混色が起こりにくいので可能かもしれません。なるべく同系統でバリエーションの多い色、例えばグレー系の夜間迷彩のようなものなら缶スプレーでも可能かもしれませんね。

えー、一応プロモデラーなのにコンプが壊れて大騒ぎの自分が言うのもなんですが、コンプレッサーとエアブラシがあったほうが絶対に模型作りが楽しくなります。混色の面白さはハマってしまうとやめられませんよ!

こんなもんで参考になりましたか?

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さて、では今回はそろそろこの辺で。轟雷完成編、いかがでしたでしょうか?
最後は轟雷君の雄姿でお別れしましょう。


次回からは本編と同時に新しいコーナーもスタートする予定です。どうぞお楽しみに。コメントや質問もお待ちしておりますよ。

それでは次回も火曜日更新。乞御期待!!

事件発生!! しかし連載は続く。轟雷三回目。

はい、皆さんお元気ですか。

今回は轟雷三回目。ドットマトリクス塗装編です。


「ドットマトリクス塗装」とは読んで字の如く、正方形を主体とした角型に塗り分けられた迷彩塗装のこと。これは目標物をCCDカメラで捕らえるようになった現代戦を考慮して考えられたものです。特に市街戦では周囲の建物が四角いため、目視でも迷彩効果が高いといわれており、別名「都市迷彩」といわれる所以にもなっています。確かにドットで映像を認識するCCDの特性を考えればアリかもしれませんが、一部では実効性を疑問視する声もあります。でも見た目に格好良いので、個人的に良しとします。
 昔作った作例。まあ、この配色だと迷彩もヘッタクレも無いと思いますが。


さて、今回のカラーリングを考えましょう。
現代のドットマトリクス迷彩は、基本的に「ハイライト=小面積」「中間色=中程度の面積」「暗色=大面積」という配分になっていることが多いようです。あるいは中間色と暗色のが大体同じ割合とかね。そのあたりの面積の配分で個性が出ているような気もします。ただ、おおよそいえるのは中間色と暗色は同系統の色になっているということです。この「同系統」というのは、単に色相的(例えば赤系統とか黄色系統とか無彩色であるとか)に同系統というだけでなく、明度や彩度のいずれかふたつが同系統であり、他の1要素はずいぶんと異なっている、というのがパターンなように思います。
それらを考慮したうえで、配色を何種類かコンピュータ上でシミュレートしてみました。シミュレートにはアドビのイラストレーターというDTP用のソフトを使いました。


A、
はい、これは最も一般的と思われる配色。どの面のどの位置にハイライトを持ってくるかがポイントとなりそうです。配色はハイライト=白、中間色=赤系の茶色、暗色=濃いグレーということころでしょうか。


B、
都市迷彩といえばこの無彩色の組み合わせ。どうやら夜間迷彩に重点を置いた配色のようです。配色はハイライト=ライトグレー、中間色=暗めのグレー、暗色=殆んど黒のグレーで決まりです。


C、
これはあんまり見ないサンド迷彩のドットマトリクス版。砂漠など広いところで遠距離であれば目視迷彩効果は高そうです。ハイライト=白かライトサンド、中間色=赤系の茶色、暗色=マホガニーのもっと暗いやつといった具合かな?

さてこのデータを小さくプリントアウトして模型に重ねたりなんかして考えた結果、Aのパターンで行くことにしました。これが一番整合が取りにくそうなので、チャレンジ精神を発揮してみました。オレはやるぜ!!


そうと決まれば作業は急げ、前回のコイツにマスキングテープを貼り付けていきます。

使うのは当然これ。

HiQpartsのドット迷彩用マスキングテープ。今回はMサイズをチョイスしました。実は、このマスキングテープが発売される前、何回かドットマトリクス塗装にチャレンジしようと思ったこともあるんですが、あまりにも面倒くさそうで脳内シミュレーションの段階で挫折しました。この商品をはじめて見たときに「これならいける」とほくそえんだものです。
全体写真ではわかりにくいのでアップで。

なんとなくどんなものか、わかっていただけましたか?


さあ、このマスキングテープを使った塗装の手順を紹介していきましょう。
まずはハイライト色を全体に塗装した後、模型を一度組み立て、ハイライトを残したい部分にマスキングテープを貼っていきます。今回の轟雷は前回塗った白をハイライトにするので、ここにテープを貼っていけばいいわけです。一度模型を組み立てるのは、塗り上がったときに、どこにどの色が来るのかを正確に把握するためです。
上手く配色するポイントは、仕上がりを想像しながら「ここにハイライトが欲しいよなあ」という所に「控えめ」に貼っていくこと。ハイライトは目に付くので、この段階では少なめのほうが上手く仕上がります。


全体的にハイライト部分をマスキングし終わったのがこんな感じ。貼り終わったら、もう一度ばらして中間色の塗装に入ります。



とここで、
姉さん事件です!!(高島弟風)

コンプレッサーが動かんとです……(ヒロシ風)

両方とも例えが古いなんてツッコミはいらない……。
ここんとこ調子が悪いので、二回ほど修理に出していた年代物のコンプレッサーがとうとうお隠れになりました。
ちーん。

とはいえ、代わりのコンプを買う余裕など到底ない貧乏モデラーの悲しい暮らし。そして迫る締め切りの恐怖。いいよいいよ、と出してきたのが前にコンプを修理に出したときに買っておいたクレオスのプチコンです。噴圧が低いので塗料の濃度に気をつけないとダマが飛びやすいのですが、これでも十分に塗れます。
ああ、いいさ。後は腕で勝負だ!!!


ということで「うりゃぁ」と勢いで塗り終えた二色目。中間色です。塗装レシピは後で詳しく紹介しますね。

ほぅら、ちゃんと塗れてるじゃないか。

そして中間色が乾燥したら、ハイライトのマスキングも貼ったままパーツを組み立てて、中間色を残したい部分をマスキング。最初と同じ作業を繰り返します。

全体のバランスを見ながら、暗色と中間色が半分ずつ位になるように貼っていきます。このあたりになると最初に貼ったハイライト部分と整合がとれなくなってくる部分もあるんですが、そんなときは新しく貼るマスキングテープのほうを切って使うと何とか収まります。別に、マスキングテープの柄どうりに貼らなくってもいいんですから。
そこのあなた、くれぐれも「この写真の配色の方がイイジャン」とか言わないように。


そして暗色の塗装。濃いグレー系です。写真の都合で若干明るく写ってますが、ご勘弁を。なんせ昼となく夜となく模型を作り続けているので、撮影環境が変わってしまうのです。

これが、基本色塗装完了の状態。

乾燥を待って、多色塗装の醍醐味が味わえる作業に入ります。あ、書き忘れましたが、各色ごとに丸一日くらいの乾燥時間で塗り重ねています。本当は2〜3日欲しいところなんですが、掲載の都合です。

さあ、これが多色塗装の醍醐味だ。マスキング剥がし。マスキングテープを剥がしていくたびに仕上がり塗装が現れていく、快感の作業。ああ、気持ちいい。

マスキングをはがし終えたパーツを組み立ててみました。

細部はこんな感じ。

写真に撮ると、明らかに立体感が出にくい! 迷彩としてはアリかもしれません。こんなことがわかるのも模型制作の楽しみの一つです。

さて、今回のドットマトリクス塗装の手順はちょっと複雑だったのでまとめておきましょうか。基本工作が済んだ後からだと思ってください。
1)下地塗装
2)一色目=ハイライト塗装
3)ハイライトを残す部分をマスキング
4)二色目=中間色塗装
5)中間色を残す部分をマスキング
6)三色目=暗色を塗装で完成
となります。


ハイライトの白を塗った上にマスキングし、二色目を塗った状態。


上はハイライト、中間色を塗った上にマスキングした状態。下はこれから二色目を塗ろうとする状態。


今回使ったAパターンのカラーレシピはこんな感じです。使ったのはクレオスのラッカー塗料。一番手に入りやすいし、使い慣れているもんで。見本にプラバンを使って塗装してみました。

ハイライト=白そのまま、中間色=マホガニー95%+白5%、暗色=ジャーマングレー95%+黒5%
というところでしょうか。どうやらこの記事の配色をシミュレートしてくださっている方もいるようですので、なるべく混色しやすいカラーを選んでみました。あ、パーセントはあくまでも目感です。きちっと計って混色しているわけじゃないので、大体これくらいだと思ってください。




ちなみにBパターンの場合

ハイライト=ホワイト90%+ブラック10%、中間色=M66ブラックグレー95%+ブラック5%、暗色=ジャーマングレー90%+フラットブラック10%




Cパターンの場合

ハイライト=サンディブラウン100%、間色=レッドブラウン100%、暗色=マホガニー90%+フラットブラック10%
見本は見事に塗装に失敗してますが、こんな感じだと思います。前に塗った塗料が乾ききらないうちに次の塗料を塗るとこうなるという、悪い見本になりました。



さて、今回の作業はここまで。次週はいよいよ完成です。ウェザリングなんかもお見せするつもりなのでお楽しみに。

そして、
どこかのメーカーさん! ショップさん! コンプ提供してください!! 宣伝しちゃいますから(泣)。

ということで協賛お待ちしております。一体どんなエンディングなんだ。


ということで、来週も火曜日更新。次回も乞御期待!

繰り返す作業は波に似て……。轟雷第二回目。

はい皆さんごきげんいかがですか。
皆さん気が付いたでしょうか? トップ画の「線香亭無暗」の文字の書体が変わったことを。え、気づかなかった? まあ、普通は気が付かないですね。いいんです。それだけです。


さて、今回はコトブキヤ製プラキット、フレームアームズ「轟雷」二回目。早速参りましょう。
前回の予告でキャタピラ中心にと書いたので、その辺りから。

全体的にいえる事ですが、このキット、ディティールは薄めです。各パーツの組み合わせでオリジナルFA(フレームアームズ)を作れるというプレイバリューを考えると、その機体に特化した過剰なディティールが邪魔になるからかもしれません。でもそれはそれ。考えようによっては自分の好みで好きなように仕上げられる、模型本来の楽しみ方ができるというものです。
そんな訳で、まずはキャタピラと本体を繋ぐパーツ。キャタピラが割とそっけなくくっついているのでそれらしいディティールを追加しましょう。

キャタピラとの接続部分を切り離します。そして登場するのが前回までのクシャトリアで使用したHiQpartsのVジョイントの余ったパーツ。クシャトリアでは、間に挟むギア状のパーツを1個に付き2枚しか使わなかったんで大量に余ってます。なのでそれを利用してエコモデリングです。まずはメタルパーツのセンターの穴をドリルやリューターなどで3mmに広げます。アルミ製なので、それ用の工具を使ってくださいね。このパーツを持ってない場合はGテンプル-エクステンションパーツ Mセットなどを使ってもいいかもしれません。
下の写真の左側が元の部品、真ん中にあるのが穴を広げたもの。

仮組みしたところ、若干ガタツキが出たので0.5mmプラバンを直径7mmの円形に切り抜き、中央に3mm穴を開けたものをスペーサーとして挟みました。で、出来上がりがこれ。

なんとなく動きそうな感じが出てればOK。


さて、続いては転輪部分。キットの転輪はプレーンな状態なのでリベットを打ってみましょう。実はさっき使った7mmのスペーサーを一個余分に作っておいてこんな冶具を作りました。名付けて「轟雷専用 転輪用リベットテンプレート」。別に名付けなくてもいいんですけど。

使い方はこんなふうです。まずはセンターの軸にかぶせておいて、テンプレート外周部の溝に合わせて0.5mmのドリルで開口。これなら楽チンに等間隔のリベット穴が空けられます。

全ての転輪に穴を空け終えたらHiQparts製0.7mmのヘックスリベットを接着します。接着には瞬間クリアパテを使っています。リベットの脚の部分にごく少量つけて穴の周囲に付かないよう気をつけて取り付けます。

「全ての」って書きましたけど、ジョイント部分の転輪にはリベッティングしてませんよ。しても見えない上に可動時に引っかかるんで。写真では穴が開いてますけど、これは冶具がうまく使えるかどうか見えない部分で実験した後です。なので、転輪1個に付き6回のリベッティング×12個の作業となりました。


さて、お次はキャタピラだ。
側面は前回穴を空けておいたので、今回は接地面を加工しましょう。
どうしようかと悩んだんですが、コミックス初登場の時、ドッグからキャタピラで発進するというシーンがあったのを思い出して、ラバーブロック仕様にすることにしました。AFVをやる人には常識でしょうけれども、実はキャタピラってのは結構な厄介者でして、戦車などの荒地用のキャタピラで走ると、アスファルトでもぐしゃぐしゃになってしまうというくらい強力です。そこで、通常の移動時にはゴムのブロックが付いたキャタピラを使用するのが一般的になっています。なのでドッグ内ではラバーブロック仕様なのでは、と考えたわけです。まあ、キャタピラを全部黒く塗って「ゴムです」って言い張るのもありなんですが、それじゃあ面白くない。となるとラバーブロック部分を作るしかない。

作るったって片方で20ピースある訳だから使うパーツは40個。両方合わせて80個。いちいち手で切り出して精度を保てる自信もないし、根性が品切れにならない保障もない。


そこで、こんな冶具を考えました。先端にはスリットが空いています。

ここに7mm幅に切り出した0.3mmプラバンを差し込んで、

先端部分のテンプレートに合わせて切断していくと、ラバーブロックの出来上がり、という訳です。これを80個作ります。

いくらやっても終わらない、寄せては返す波のような作業です。でもね、「始まれば終わる」もんです。


よしできた!!

実際に貼り付けてみるとこんな感じになりました。おお、中々いいじゃないか。本当はもうちょっと複雑なパターンで作れるとよかったんですけど、そこら辺に凝ると完成が夏ぐらいになりそうなんでやめときました。で、このディティールアップにはもうひとつメリットがありまして、

上下分割のキャタピラの接合面がごまかせるという一石二鳥のディティールアップなのでした。

本体に取り付けてみると、おお、さらにいいじゃないか。皆さんも最初の写真と比べてみてくださいね。

もっとやる気のある人はAFV用の別売りキャタピラを合わせるなんていうのもアリかもしれません。


お次は胸パーツ。前側のパーツとフレームの隙間が気になったんでプラバンを2.5mm分くっつけてみました。

これでなんとなく前後のつながりも出ると思います。



さあ、後は気になったところにディティールを追加していきましょう。例えばこんな所とか。今回は戦車のイメージということで、基本的にヘックス(六角ボルト)型のディティールパーツを使用しています。


背中のウェポンラッチ(?)はHiQpartsのリニューアルしたメタルリング1.0mm用メタルマイナスモールド1.0mmを使ってみます。まずは1.5mmの穴を空け、メタルリングを埋め込み、塗装したマイナスモールドを仕込む、という方法です。塗装は0.5mmの穴を空けたプラバンにマイナスモールドをはめ込んでおいて、プライマー、塗装色というふうに吹き付けていきました。こんな使い方も面白い効果が出るのでは、という実験です。

20箇所の穴に対してパーツは20個づつ。一個も「ピンッ」と飛ばせないという冷や汗物の作業でした。ちなみにキャノンの付かない反対側のラッチには穴ふさぎとして、プラ棒を上げ底にして3mmのフラットモールドを装着してあります。

ここのまでの全体像がこちら。

仮組みして、ディティールの追加場所を考えます。何事もやりすぎは毒なので、コーヒーでも飲みながら、ちょっと止まって考えます。


そして、おもむろにリベットの追加。

はい、皆さんもうお気づきですね。下地のチェックもかねて白を塗ってみました。今回はドットマトリクス塗装にする予定なので塗装はなるべく薄く抑えたい。なので下地をしっかり処理した後、ちょっとだけ薄めたプライマーを全体にかけ、クレオスの白で塗りました。そうです。サフレスです。
たまに、「下地が濃いと白が発色しない」という人がいますが、そうでもないんです。確かに発色はしにくいんですが、塗料の濃度、ブラシの噴圧、パーツを塗る手順などにより解決することができます。特に今回はドットマトリクスにするため、この上に何層か塗料を重ねていきますから、何よりも皮膜の薄さを優先したというわけです。その時の噴圧と塗料の濃度は、使っているブラシとコンプレッサーの性能により変化します。言えるとすれば「塗料はいつもよりかなり薄め」「噴圧はかなり低め」に吹き始め、パーツのエッジやミゾになる部分(スジボリ含む)を先に塗っていきます。徐々に、噴圧を高く、塗料も濃くして全体を仕上げます。1/43のカーモデルなんかでもこんな手法で塗装したりします。まあ、このあたりは感覚の問題なので、皆さんも試行錯誤してみてくださいね。下地にプライマーを使ったのはピカピカにしたプラに塗料の食い付をよくするためです。本当は無水エタノールや、超音波洗浄器などできちんと洗浄すればいいんですけどね。洗浄器は持ってないし。時間短縮のための裏技です。

で、突然キャノンの付け根にティッシュをまいてみたりして。



で、今回の成果はこれ。

なんだか特車二課に配属したいような雰囲気になってますが、ここからが塗装の本番です。
次回はドットマトリクス塗装編です。来週もアクセスお願いしますよ。質問なんかもあったらお寄せください。また、協力メーカーさんもまだまだ募集しておりますからね。
では、今回はこの辺で。次回も乞御期待!

改めまして宜しくね。新機軸「轟雷」一回目。

はい、皆さんご機嫌いかがでしょう。
新規独立して始まりました「線香亭無暗のやたら模型制作部」。これまでお届けしてきた情報はもとより、より広く様々な模型情報をお届けしていければと思っています。旧ブログからの読者の皆様も新しい読者の皆様も一層のお引き立てをお願いいたします。また、「ウチの商品を使ってみておくれよ」というメーカーさんも募集しておりますよ。そんなメーカーさんがありましたらプロフィールのメールアドレスよりご一報ください。
まあ、なんにせよ当ブログの存続は皆様からのアクセスにかかっておりますので、これからもどうぞ御贔屓に。毎週火曜日更新です。コメントもどしどしお寄せくださいね。


さて、てな訳で心機一転、新ブログ最初のお題はこれです。


コトブキヤ製プラキット、フレームアームズ「三二式一型 轟雷」模型店の店頭で、横目で見ながらも手を出していなかった私。フレームアームズ初体験であります。設定としては、新たなエネルギー鉱石の発見とともに実用化された兵器「フレームアームズ」が活躍するオリジナルストーリー。中々そそる設定です。気になる方はGAなんかで見てみてくださいね。では早速キットを見てみましょう。


キット内容はこんな感じ。パッケージ写真でもわかるようにフレームアーキテクトをベーシックとして成り立つ「フレームアームズ」らしく、骨格部分は組み立て済みになっています。しかもこれが結構よく動く。


これだけで30〜40分は遊べます。遊びすぎると、また綱渡り作例になるのでチャッチャと仮組みしてみましょう。

じゃじゃーん。シンプルな面構成が複数組み合わされて複雑なフォルムを作る、中々良いデザインです。直線主体のフォルムがインナーフレームを連想させてくれます。後はこんな風。

巨大なキャタピラとキャノンからイメージするのは、やっぱり戦車ですなぁ。

フェイスも中々男前。

と、一通り眺め回したところで制作プランを練ります。このキット、さすがコトブキヤオリジナルの機体だけあってプロポーション的には殆んどいじるところがありません。なので、基本工作、各部のお手軽ディティールアップののち、塗装に凝ってみようかと思います。手元にHiQpartsのドット迷彩用マスキングテープがあるので、ドットマトリクス迷彩にしてみようかと。似合いそうでしょ。


それでは早速基本工作から。
まずはエッジを立たせるために各部の面だし。プラキットに限らず、型を使用して作られる製品はエッジの精度に限界があります。また、プラキットならではのパーツのヒケも大なり小なり必ず起こります。それを解消するのがこの作業です。ピシッとエッジの立った美しい完成品を作るには欠かせない作業です。

まずはパーツのヒケチェックもかねて全体を軽くヤスっていきます。使用するのはいつものこれ。曲面にはスポンジヤスリを使うこともあります。

番手は400番くらいで、かるーく面をこすっていきます。問題のなさそうなところはもう面だしをしてしまいます。

さて、ここで問題になってくるのが各部に元からあるディティール。このキットの場合特に腕周りにディティールが集中していて、ヤスリがけしにくい形状になっています。そこで、潔くディティールを削り落とし、後でディティールを作り直します。

左側がヤスリをかけた状態。右がキットのまま。肩なんかも大胆にフラットにしてしまいます。


肩口に付くラッチ状のアームの裏はプラバンでふさぎます。そして細切りプラバン等で再生した状態がこちら。

美容院に行った後程度に男前になったかな。


さて、ついでにお尻のパーツも面だしを。パーツの継ぎ目で、段差の大きいところは240〜320番のサンディングスティックを使います。

まずは320〜400〜600〜800番と磨いてツルンとさせておいて、

細切りプラバン。さて、皆さんもうお気づきですね。

そう、細切りプラバンを作るのにマスメツールを使っています。もう最近手放せなくなってしまった。


さあ、続いては足回り。

やはり特徴的なのは巨大なキャタピラ。このキット、1/100なんですがキャタピラは大きさ的に1/72くらいの印象です。こんなふうに展開してローラーダッシュ状態になります。脚部は特に直線的なデザインなので、きっちりエッジを出しておきたいところです。写真はエッジ出し最中。

そしてエッジ出し完了。

左がエッジ処理をしたもの、右がキットのまま。うーむ写真だとあんまり変わって見えないか。でも塗装すると違いが出るんで、ここは手を抜かないでいきましょう。


そして、今回のディティールアップ最大の山場(だと思われる)キャタピラ部分。

大きい分あっさり感が漂うので、ここは現用兵器を参考にディティールアップしていきたいと思います。まずはサイド部分。

キットのままだとサイドの部分がつるつるです。キャタピラのピースは基本的にサイドから止まっているので、接合部分に0.5mmの穴を開けました。上がキットのまま、下が穴あけ後。ただ、ピンバイスで開けていると意識がなくなりそうだったので、面打ちでアタリをとった後、モーターツールに0.5mmのドリルをつけてバリバリと開けていきました。このときにあんまり回転数を上げるとプラが溶けてドリルに食いつき、歯が折れる原因になったりして危険ですので、最低速でゆっくりと作業しましょう。最低速で作業しても手動より10倍は早いんですから。

さて、問題はこの後だ。普通キャタピラの接地面に止具が来ることってないんだよなぁ。でも、何か欲しい感じはするし、転輪のリベッティングもしたい。なんか、お手軽にディティールアップって言っといて、またはまりそうな気がする。

といういやな予感がしたところで今回はここまで。次回はキャタピラを中心にディティールアップの予定です。皆さん、来週も火曜日更新。レッツ・アクセスでお願いしますよ。

では次回も乞御期待。

クシャトリヤ第四回。たどり着いた千里の道のり、の巻。

はい、皆様こんにちは。クシャトリヤも四回目を迎えていよいよ完成品披露。そして、ちょっと言わせてください。



まにあった〜。

いやー、今回はホントにどうなるかと思った。キット自体が大型の上に同じ作業の繰り返しが多いんですな。バインダーとか。ホントに原稿落ちるかと思った。

まあ、そんなことはどうでもいいので、早速完成品披露。全体はこんな感じ。

メタルパーツの多用で実に豪華な作例となりました。細部を見ていきましょう。


まずは一番特徴的なバインダー。

はっと見で目がいくバインダーのメガ粒子砲は旧シリーズのフラットバーニアを使っています。
ナンバーのデカールハイキューパーツの新しく出たデカールから。2枚分のデカールを使って大小の同じナンバーを揃え、前後左右互い違いになるように貼っています。小さなコーションデカールは同じくハイキューパーツの試作品デカールを熱転写プリンタで出力してもらいました。

裏側はこんな風になっています。

2色で塗り分けた後、ビット収納部分の長方形の凹ディティールにはミラージュデカールの細切り、丸凹ディティールにはHアイズのピンクを貼り付けました。なんとなくニュータイプっぽい感じは出たかな、と。各部のデカールはNCデカールを中心に市販のデカールを使用しています。スラスター周辺の2本のパイプは前回の記事でチラッと紹介したメッシュチューブを使った自作パーツです。
隠し腕は一通り塗り分けて、カバー部分にワンポイントとしてメタルモールドを使用しています。

全部伸ばしてみると昆虫というか、甲殻類というか、不気味な感じ。

ジョイント部分はマイナスモールド4mmを使ったお手軽ディティールアップ。パーツごとに2色に塗り分けました。

こんな風に見ると中々よい雰囲気。約2日間の徹夜作業も報われます。


さて、続いて胴回り。今回はメタルパーツと自作、流用パーツによる各部のディティールアップが見せ所です。

頭部後の開口したスリットから光るSPアイズが泣かせるなぁ。

胸の4基の砲門と各部の追加自作パーツに加え、股間のトサカ部分のサイドには1mmのスチールボールを埋め込み、クリアレッドで塗装してあります。肩口のシリンダーのチラ見え具合もいい感じ。

後ろ側はこんな感じに。スジボリ、デカール、塗りわけを中心にメタルパーツをちらほらと配置しました。

バインダーの巨大なLEDバーニアに目が言ってしまいがちなので、ボディー周りにはシツコめのディティールを、と考えました。こうやって見ると手間をかけただけのことはあったかな。


続いて足回り。

基本的にはスジボリ、デカールなんですが、要所要所にディティールアップパーツを使用することでそれなりの雰囲気を演出してみました。足裏はお約束のメタルパーツで。

足首にはツインサークルを加工したものを。メインに使用したデカールは、HiQpartsさんからいただいた試作品のコーションデカールです。


およそこんな感じで仕上がりました。でも結構きつかったっす。何せでかいんだもの。ユニコーンと比べるとわかりますけどね。でも基本的には複雑な形状をうまく再現した上、とても組みやすい良いキットです。皆さんは自分のペースでゆったり作ってあげてくださいね。さて、ここからは自由に遊びます。エンジョイ・プレイ! です。

飛んでみたり。

サーベル抜いてみたり。

そして光ってみたり

フォトジェニックしてみたり。

さて、今回はこんなところで終了です。地獄のクシャトリヤ制作ロード、楽しんでいただけましたか? 次週からも毎週火曜日更新でがんばりますよ。さ〜て、次は何をつくろうかなっと。

では、次週も乞御期待。

クシャトリヤ三回目。根気と負けん気は寝不足の元。

はい、皆さんこんにちは。
今回でクシャトリヤも三回目。早速参りましょう。

さて、前回までで出来上がったパーツを見ていてどうしても気になったところがあります。それは腰のパイプの取り付け部分。本来はプラ製のプレーンなパイプが付いているので気にならないんですが、メッシュチューブに変えてしまったので、どうにも納まりが悪い。

しばらく眺め回して考えた結果、手をつけることにしました。ああ、もう、時間無いのに……。まずは元のモールドを削り落とし、パワーパイプの5mmを差し込みます。写真では限定のブラックメッキを使っていますが、シルバーでも後で塗装してしまえば問題ないと思います。メタル感を生かすという意味ではその方がいいかも。で、その中にスプリングを仕込むのですが、左右突き通してしまえるようにパーツの中身も丸ごと削ってしまいます。するとパイプ装着部の裏側も削れて穴が開くんですが、スプリングが丁度いいディティールになってくれます。これでメッシュチューブの端っこもすっきりするし、一石二鳥です。手間はかかるけど。

腰の嘴のような部分はニュータイプ部分(ニュータイプ用の機器を装備した部分という意味ね)だと思われるので、露出するフレームには流用パーツやSPプレートデュアルパイプ、真鍮線などでディティールを追加します。嘴状のパーツを付けるとこんな感じになりました。

アタマの後に施したディティールアップと似たようなデザインを心がけています。


でもって、また見ているうちに気になっちゃったんですが、足首の丸いモールドってずいぶんあっさりしてるなぁ。

ということでツインサークルIIを使います。写真では元モールドを削って取り付けただけの状態になっていますが、この後にマルイチの「イチ」部分を切り取っています。どう見えるかは仕上がりをお楽しみに。

ついでに3mm穴を開けておいた足裏にメタルパーツを当ててみます。

これ、フラット・スラスター(F2)の丈の短いほうのインナーを使ってます。プラバンで裏打ちした後に付けてみると丁度いい高さです。どうやら今は違うシリーズになってしまったようなので、これからパーツをそろえる方はSPプレート3mmとプラ棒、エフビット用 拡張ロングノズルパーツなどを利用するのもいいかもしれません。




さて、本体はこのくらいにしてそろそろバインダーにかからないと間に合わない。表側は基本スジボリで済ませる予定なので、裏側を見てみましょう。うーむ、このパーツを使うには問題が……。

これだ、このビットの収まるところの出っ張りが問題だ。

これはもう、リューターで削り取ってしまうしかありません。ニッパーと彫刻刀でもできないことはないと思いますが、リューターのほうが早い。
で、ガリガリゴリゴリとやった結果がこうなります。

ビットの取り付け部分を削り取った後プラパテで修正。文章で書くと一行ですむが、パーツ1個当たり穴が6個。それを4回。しかも、指もヤスリも殆んど入らない凹部分。泣きそうになりながらせっせと作業しました。
これで終わりじゃぁありませんよ。今度はこの穴をふさがなきゃならない。まずは地道に5mmのポンチで0.3mmプラバンをくり抜き、24個の円形パーツを作ります。

パーツができたら接着剤を少しだけ塗って穴の裏側に仮付けし、ある程度進んだところでクリアパテでしっかりと接着します。

ここまでできたらビットの装着用にネオジム磁石 丸形2mmx1mmを接着します。その時に、磁石の極性を間違えないように片側に印をつけておくのがいいでしょう。小さいサイズの磁石を使うときは特に極性がわからなくなりがちですから、いちいち他の磁石にくっつけて確かめるより手間がなくていいんです。

手順としてはまずFビットの裏に磁石を仕込んで、それにあった極性で穴をふさいだプラバンに貼り付けていくという作業です。

はい、こんな感じ。


さて、次は今回の作例のメインイベントともいえるバインダーのスラスター部分に移りましょう。使用するのはLFDスラスターのSVジョイントMサイズ

上がノーマルのパーツ。

ジョイント部分とカサを調整できるギア状のパーツ、それらをつなぐ1.5mmの真鍮線とアウターを固定する0.5mmの真鍮線のセットです。

LFDスラスターですから基部を回すと光ります。
 写真に撮れる明るさで取るとあんまり光ってませんが、
 実は結構な照度です。


バインダーへの取付けはキットのボールジョイントパーツを利用します。まずパーツを半分に切断して接続面の外周を直径5mmに削ってVジョイントのジョイントパーツに接着し、

反対側から1.5mmの穴を開け、センターの真鍮線を差し込んで固定します。今回は間の歯車を1個に付き2枚使うので高さを調節しておきます。なんか、てるてる坊主みたいでかわいいな。

お次はアウター側を止める0.5mmの真鍮線の加工。

Vジョイントに付属する真鍮線は使用時の高さに合わせられるよう切断されていません。なので、必要な大きさの「コ」の字型のパーツを必要な数だけ作らなければなりません。専用の治具を作ってもいいんですが、もっと簡単な方法を考えました。まず、手持ちのラジオペンチの必要な高さの部分に、水平にテープを貼ります。


まず、最初にちょこっとだけ先を曲げた真鍮線をテープを貼った部分にはさみます。


そうしたら反対側をペンチの幅で曲げると


はい、こんな形にできました。後は切断して同じ作業を繰り返します。

まあ、繰り返しますって言っても、今回は合計8個使用しますから、1個に付き8個×8個で64回繰り返したんですけどね。だいじょぶ。ちょっと気が遠くなっただけだから。


こんな作業の間に、中間に挟むギア状のパーツは先に塗って乾かしておきます。プライマー処理の後、クリアレッドを塗り、ギアの先端部分だけをスミイレの掃除と同じ要領ではがしてみました。

出来上がったパーツは紛失しないよう、こんな風に取りまとめておくと便利です。作業もはかどるし。

取りあえずくっ付けてみて満足。


そして量産。

これも量産。

さらにこんなものも量産。




で、今回までの成果がコレ。

塗装用に細かいパーツが付いてないんですけど、その辺はご勘弁。もう塗り始めてるんで取り付けられなかったんです。さらに、こんなお遊びも。

おお、光ってる光ってる。

そして残りの作業はスジボリ、細かいディティールの追加、塗装、マーキング、メタルパーツの取り付けなど……。本当に次週完成できるのか? 皆さんもドキドキしながらお待ちくださいね。



ではそんなこんなで、次週も火曜日更新。
乞御期待!!