クシャトリヤ第二回。千里の道も一歩から、は進まない作業の言い訳。

はい、皆さんこんにちは。今回はクシャトリヤ第二回。
前回は腕と頭だけで時間切れでした。さて、今回はどこまで行けるやら。早速参りましょう。


まずは前回に続いて胴体まわりを。元はこれです。

頭の後の隙間が寂しい。ただディティールアップするんじゃなくて、なんかこう、ニュータイプっぽい雰囲気が欲しいな、ということでディティール追加です。基本はプラバンとメタルパーツ。首と胴体の隙間が気になるので後ろ側半分に1mmプラバンを貼って段差を作ります。その上で穴を開けたりパーツを付けたりでそれらしい雰囲気を作っていきます。出来上がったのがこれ。

頭の後にあるスリット状のパーツはマスメツールを使って作ったフィンです。作り方は前の記事を参照してくださいね。頭自体が多少前のめり気味に見えたので、ディティールアップのついでに首の軸も0.8mmくらい後にずらしてます。
アゴ下のパイプは取付け基部だけ残し、デュアルパイプの2mmを使ってみました。芯になる部分は普通のリード線、終端部分はパイプを通しておいてペンチでカシメました。こうしておくと長さの調整をするのに便利なんです。接着すると調整するたびにパーツが1、2個だめになっちゃうんで。

取り付けるとこんな感じになります。首の軸の後にはニュータイプ仕様ということで2.5mmのモノアイプレートSPアイズ。両脇には2.5mmのマイナスモールド、後ろ側の左右には1.5mmのフラットリベットを埋め込みました。

頭をつけるとこんなふう。角度によって、前回開けた頭の後側のスリットからディティールがチラッと見えます。首の両側、肩の付根にある緑のパーツはパイプ状のモールドを切り落とし、前後に穴を開けておきます。

元はこんな形状です。

ここにメタルパイプ 3.0mmを取り付けるとこんな感じになります。まだ仮組みなんで、しっかり決まっていないんですが雰囲気はわかっていただけるかと。



続いては胸の両脇にあるバルカン。使うのはHDバルカン 1.8mmです。アウターとインナーの2パーツに分かれていて、アウターには信じられないような細かさでスリットが開いています。目が悪いと見えないくらいの、えらい精度です。インナーの出っ張り具合が調整できるのもいいところですね。

ますは元パーツに1.8mmの穴を開けて取り付けてみます。なんだかイマイチ盛り上がらない。パーツの精度にインジェクションのディティールが負けてるんですね。

そこで、元ディティールを切り飛ばし、真鍮パイプと差し替えてみました。なんとなく形になった。

実はこの真鍮パイプ、前回使ったメタルシリンダーの切り取って余った部分です。エコ・モデリングです。若干内径が大きいんですが、そこがまた丁度いい感じ。取付け時にはセンターに収まるよう真鍮線を通して調節します。

なんとなく満足したところで胴体をいじるのに飽きたんで脚に行きます。




はい、予告どおりフトモモを太らせてます。

側面、後面を見るとこんなふう。元のパーツと比較してみてください。

左右よりも前後幅を大きくしたのでサイドスカートに収まらなくなってしまった。
なのでサイドスカートも5mm幅ましです。2パーツ構成なので組み付けたままノコで切り離し、それぞれに5mm幅に切った1mmプラバンを挟みます。接着にはクリアパテが大活躍。微妙な段差や隙間も強引に整形することができます。


ああ、収まった。良かった良かった。ついでにフクラハギの丸いモールドに4mmの大穴を開けます。穴を開けてどうするのかというと、

4mmのフラットリベットを埋め込んで二重円のモールドを作ります。スジボリで作るよりはるかに簡単に作れます。精度もいいしね。


続いてヒザ回りに手をつけましょう。
元パーツでまず気になったのが、フレームから出ているヒザ下の棒状の出っ張り。

せっかく左右のパーツが逃げてるデザインなのにいまひとつインパクトがないと思ったので、4mmのプラ棒(どこのメーカーのものか定かではない。なんせお道具箱の底から出てきたやつなので。すいません。4mmのプラ棒が欲しい方はエバーグリーンから出ていると思うのでそちらを探してくださいね。)で延長します。まあ、延長というより元パーツを削り落として丸ごと差し替えたんですけどね。

組んでみると「やっぱりこれくらいの長さがあったほうがいい」とほんのり満足しました。

ついでにヒザパーツの裏をふさいでしまいましょう。上段の出っ張りの裏はエバーグリーンの段付板、下側のスタビライザー的なヤツの裏はポリパテでふさぎました。

この角度で見ると中々見栄えがいいな。

ちなみに足裏のスラスターはあとでメタルパーツを埋め込む予定なので3mmに開口しています。

ひざ裏にも一工夫。元からある穴状のモールドの部分にホールリベットを埋め込みます。穴って事は多分補給口か何かじゃないかと思うのでそれっぽいモールドで。ただ開口するより確実に情報量が増えますから。


あとはスジボリや細かいディティールを追加していきます。最終的には全体のバランスを見ながら決めていくので、今のところはこの程度で止めておきます。


さて、今回の成果はこんな感じ。あ、書き忘れましたが腰と脚のパイプは100均で買ったアルミ線を芯にしてメッシュチューブに置き換えています。


なんだか進んでるんだかいないんだか。まあ、千里の道も一歩からって言うし、コツコツがんばります。



では、今回はこんなところで。
次回も乞御期待。

クシャトリヤ第一回。肩パーツで迷走する、の巻

はい、皆さんご機嫌いかがですか?
今回から本格的に取り掛かりますクシャトリヤクイン・マンサをベースにブラッシュアップした、ワンオフニュータイプ専用機という設定がそそります。早速制作にかかりましょう。

前回の「やってみようシリーズ」でバインダーのスジボリをやったので、今回は上半身から見ていきましょうか。


胴体が見えにくいんで前側のバインダーを外したら、意外とかわいいヤツ。まずは頭周りから見ていきましょう。


前にも書きましたが、キットの頭は下膨れで大きい感じがする。三面で見るとこんなふう。

なので、全体的に小作りに見えるよう削り込んでいきます。前後に長く、側面も引き締まった雰囲気に見えるよう削る方向を考えます。具体的にはこんな感じに削り込んでいきます。

あまり難しいことは考えず。フィーリングで作業します。で、出来上がったのがこれ。

少しは小顔になったかな。でっかい角の先端はシャープに削り込み、後頭部のスリットも開口しています。これは後々効果がわかると思うのでお楽しみに。三面はこうなりました。

今回、モノアイには新製品のSPプレート 1.0mmを使います。レンズ部分は市販パーツにしようかとも思ったんですが、イマイチ色が気に入らないのでユニコーンのランナーを熱して伸ばし、半円形に加工したものをはめ込みました。集光樹脂を使用しているので、若干輝きに差が出ます。




さて、つづいては腕にまいりましょう。

これがキットのまま。ぱっと見て気になったのはココ。

手首の上にある四角い物体は何だ、と思ったら、サーベルの枝なんですね。どうやらシナンジュと同じ機構という事らしい。でもこれじゃあいくらなんでも、ということで実際にサーベルを収納してしまおうと思います。まずは潔く四角いモールドを切除、パーツの内部にもクリアランスを作ってサーベルを収めてみたが……

収まらない。


なので、サーベルのほうに仕掛けをします。

これがキットのサーベル。まずは先端部分の出っ張りを凹の段差まで削り込み、


余分な部分を切り離した後、プラバンと切り離した部品の一部を使って新しく先端部を作ります。広いほうの面に当たるプラバンの中央には、パーツの凹部のミゾと同サイズのプラバンの切れ端がストッパーとして貼り付けてあります。

あとは同じように作った反対側の部品を取り付ければこんなふう。先端部が伸縮するようになりました。

サーベルの差込部分を若干長く加工して取り付けると、差込部分がストッパーとして働き、縮みません。

若干の出っ張りはあるものの、一応すっきり収納ということで。



さて、続いて気になったのは肩の付け根部分。特に腕を開いたときのスカスカ感が気になります。他の機体とは異なる独特の形状をした部分なので、それなりに見せ場を作ってあげたいと思います。

そこで、使うのが2月末発売予定のメタルシリンダーセットMサイズ。これまでのものよりディティールアップした新商品です。結構な質量を支えるパーツだと思うので、ディティール密度の濃いシリンダーは最適です。


と、ここで手が止まった。やってみたらシリンダーの付け所をちゃんと考えないと、せっかくのシリンダーが稼動せず、変に稼動域を広げようとすると外装パーツに影響する事が判明。一体どこにどうやってつけたら一番効果が高いのか、手書きの図面と現物パーツ、にらめっこしながら頭を悩ませ、結局出来上がるまで二日くらいかかっちゃった。


で、たどり着いたのが下記の方法。まず、シリンダーのアウターを約7mmにカットします。インナーは約7.5mm。あ、ここで言う寸法はあくまで目安ですからね。たまに「書いてあったとおりの寸法で作ったら失敗した」と文句を言う方がいるんですが、それぞれの技法や作業精度によって寸法は微妙に変わります。同じ改造をしようとする方は、くれぐれも勘違いの無いようお願いします。

パイプ類の切り方ですが、カッターでも切れる事は切れる。でも、私はこれを使っています。

リューター用のダイヤモンドカッター。そんなに値段も張らないし、ニッパーで切った時の切断面の整形にも使えるので作業効率アップには欠かせない道具です。

で、同じ長さに切ったものを2本用意し、取付け部分に1.4mmのスプリングを取り付けます。ちょっと入りづらいのですが、稼動することを考えると丁度いいくらいなので、スプリングの巻方向に回しながら差込みます。シリンダーの太さを考慮して、干渉しそうな部分を削った肩口への取り付けパーツに1.4mmの穴を開け、シリンダーのアウター部分を差込んでみます。

こんな感じ。

これができたら、同じく干渉部分を削り取った外装パーツに内部パーツやシリンダーのインナーパーツを取り付けます。

中身のパーツは干渉を避けるためダボを切り取ってしまったので、外装パーツに直接貼り付けています。シリンダーの取り付け部分は内部パーツの両側に1.8mmの穴を開け、先端部だけを1.8mmに削った2mm丸棒を差し込んでいます。外側にシリンダーのインナーを差し込む1mmの穴を開け、接着すれば抜けることもありません。

そして仮組み中。写真で見ると簡単ですが、スムーズに動き、壊れにくい機構になるよう、作業は何度も仮組みをし、干渉部分を削りながら行います。で、出来上がったのがこれ。

一応満足いく出来になりました。
ノーマルと比較するとこんな感じです。やっぱり広げたときの雰囲気は全然違いますね。

組みつけてみるとこんな感じです。素立ちのときもチラ見えでいい感じ。まあ、バインダー付けたらあんまり目立たないと思うけど。




後は、いつものように各部のうすうす攻撃やスジボリ、後ハメ加工等を行います。手首は大分大きいので手元にあったギラドーガのものをつけています。今後どうするかは考え中。少しは違って見えるかな?

キットのままだとこんな感じ。


そうそう、忘れてましたが腕部の黄色いパイプはメッシュチューブに置き換えています。腰のパイプも同様にメッシュチューブを使うつもりです。今使っているのはたまたま家にあった2mm弱の直径のもの。パーツのパイプ部分を切り飛ばして基部を作り、そこに接着しています。着色はガンダムマーカーの黄色。コピック等でも着色できますが、ラッカーやエナメル等で塗るとはがれてきます。染料系の着色剤じゃないとだめなんで注意してくださいね。



さて、今回はこんなところでタイムアップ。こんなペースじゃ間に合わんな。肩パーツのシリンダーで躓いたのが痛かった。で、現状はこんな感じになってます。

さあ、ここからまくっていきますよ。そんなこんなで、次も火曜日更新。

それでは次回も乞御期待。

特別編 やってみようシリーズ第一回 「スジボってみよう」。

はい、皆さんご機嫌いかがですか。
今回は特別編。役立ちツールや基礎テクニックの紹介などをしていく「やってみようシリーズ」です。第一回は「スジぼってみよう」。基本的なテクニックでありながら、中々上達しない、筆者も試行錯誤を繰り返す分野であります。


まず、最初になぜスジボリが必要なのかについて、少し考えてみましょう。

プラスチックやレジン製のキットはパーツの成型上、パーツの抜き方向と直角に近い部分のエッジが出にくいという特徴があります。なのでスジボリによって元々あるモールドを引き立ててやろうというのがひとつ。また最近のキットではパーツの合わせ目が非常にきっちり決まってしまい、せっかくのパーツ分割ラインが目立たないことがあります。そんなときも接合ラインにスジボリを入れることによって「別部品である」という演出をすることができます。

スパイクアーマー部分のフチをスジボリ。上腕部はパーツの接合部にスジボリした例。


また、キットのままではすっきりしすぎていて寂しいよなぁ、というパーツに追加ディティールとしてパネルライン等を入れることもあります。

盾部分や脚部フェアリング、太もも等に「分割ライン」や「パネルライン」風のスジボリをした例。


じゃあスジボリをしないとどうなるかというとこんな風になります。

左側、グレーのガンダムはモールドの彫り直しのみ、右側はスジボリで若干のディティールを追加してあります。色が違うのでわかりにくいかもしれませんが、なんとなくリアリティがアップしたような気がする、という感じはわかっていただけると思います。この「感じがする」というのが重要で、見栄えの充実感アップの秘訣です。実際に考えたら、18mの物体が18cmに見える距離でパネルラインなんか見えるわけないんですから。お台場ガンダムゆりかもめ(東京臨海線という電車の名称ね)の中から見たときにパネルラインが見えるかっていったら、やっぱり見えない。まあ、よっぽど目がいい人なら別ですけど。
じゃあ、何でそんなものを入れるのかというと、頭の中に記憶された情報を演出として見せてやろうという方法論なんだと思います。0.1mmのスジボリが入っていたとして、1/100換算で実寸だったら10mm。実物にそんな隙間があったら不良品です。たぶん。1/43スケールのF1モデルなんかでも0.1mmのスジボリは実寸に換算して4mm以上。カウリングにそんなに大きい隙間はありません。でもあえてそういった情報を付加することで「ありそう」や「動きそう」といった雰囲気を出そうというテクニックなんです。頭の中にある「そんな感じ」を演出する手法なんですね。


まあ、能書きはこれくらいにして、実践とまいりましょう。

まず、スジボリに必要なツール。私もPカッターから始まりあらゆるツールを試してきましたが、これといった決定打が見つからず。いまだにコレでした。

もう20年近く使っているので先を研いでいるうちに3cmくらい短くなっちゃった。


ではいよいよ実践。まずはこいつから。


クシャトリヤのバインダー部分です。まずは軽〜く、フリーハンドでモールドの彫りなおしから。

あれ、あんまり変わって見えないな。じゃあこれだ。

サフを吹いてみました。奥がパーツのまま、手前がモールドを彫りなおしたもの。コレだけでも仕上がりに差が出ます。


彫っていると当然失敗もします。そんなときは落ち着いてプラパテで修正します。経験上、修正にはプラパテが一番です。


さて、お次は追加でスジボリを加えていきましょう。まずはどんな風にスジボリを追加するのか、実際にパーツに書き込んでみます。使うのは製図用のブルーの芯を入れたシャープペン。普通のシャープ芯より視認性が高いので愛用しています。

元からあるモールドとマッチングがいいように、それぞれのラインに何らかの意味が見出せるよう考えながら書き込んでいきます。


モールドを考える上でのちょっとしたアイディアですが、実際の構造物を考えた場合、接合面が直線のパーツ同士をつなぐと、外力が加わったときに横方向にずれる力が働きます。だから形を維持するためにたくさんのリベットやビスなどで繋がなければならない。

これを、より効率よくしようとすると、下のような形状になります。

これならば外力にも強いし、パーツ同士の収まりもいい。なので、長い直線のディティールを入れる場合は、間にこういったモールドを追加するようにしています。図版ほどオーバーではないので気づきにくいんですが、最近の自動車や航空機なんかもこの手法を取り入れて設計されていたりします。ちょっとご参考までに。


さて、アイディアが固まったら、片方の面だけを集中的にスジボリしていきます。両方いっぺんにやろうとすると、必ず左右が非対称になります。ここまできたら、後はもう彫る、彫る、彫るの繰り返し。ガイドテープが強い味方です。

どんなツールを使っても共通なスジボリのコツは「一度に彫ろうとしない」こと。適度な力で何回か同じところをなぞることによって、よりきれいなスジボリをすることができます。この時に、なぞる回数を決めることにより、スジボリの深さを調整することができます。


ガイドテープはこんな使い方も便利ですよ。例えばフチ部分の分割ライン表現。ガイドテープの3mmをこうして貼っておいて

左の上半分と右の意下半分に縦ラインを入れてから両方を斜めにつなげば

ほら、このとおり。3mm幅の多角形ラインの出来上がり。


片方ができたら反対側にもアタリを取ってスジボリを進めます。必ず、というわけではないのですが、私はアタリをとるときにもガイドテープを使ったりします。アタリとはいえ、きれいに直線が出たほうが仕上がりのイメージがつかみやすいので。

出来上がったほうをゲージにして、ノギス等を使って正確な位置を決めていくのも手ですが、

こんな裏業もあります。

出来上がったスジボリ面に透明プラバンを当ててアタリを取り、それを切り出してガイドを作る方法。これなら左右対称にもできますし、何個でも同じようにスジボリをすることができます。普通の0.3mmプラバンでもいいんですが、私は曲面への追従性の高さでエバーグリーンの0.13mm透明プラバンを使っています。クシャトリアのバインダーは4枚ありますから、面倒なように見えて、この方法が一番正確で手っ取り早いんです。


はい、そんなこんなで出来上がったスジボリ済みバインダー。NT専用機のNT部分(多分)ですから、普段より未来的な、というより怪しげな雰囲気が出るように考えました。

こんな角度で見ると、なんだか「使徒侵入」なカンジ。




さて、こんなテクニックを応用して、複雑に見えるディティールを簡単にスジボリする方法を紹介。
実験台はクシャトリヤの後スカートの裏側。勝手な想像ですが、ここにはプロペラントが収められているのではないかと思うので、そのようなディティールを入れていきます。

まずは左右対称のディティールを入れるため、片方だけガイドを作りスジボリします。

片方ができたらガイドをひっくり返して反対側へ両面テープで貼り付け。同じようにスジボリすると、ほら、左右対称のラインができました。

これだけではちと寂しいので二重ラインを作ります。アタリを取り、内側にスジボリをしていきます。

こんな感じになりました。はみだしや失敗した部分はプラパテで修正します。

出来上がったディティールの角に合わせて正確にマスメツールを貼り、面打ちで2mm間隔にアタリを打っていきます。写真右はアタリをとった後ペーパーがけし、スジボリに残ったカスをブラシで取り除いた状態です。スジボリ作業中は、何回も同じような作業を繰り返しながら仕上がり具合を確認します。
スジボリ後は必ずペーパーがけとブラシでミゾ掃除をするのをお忘れなく。曲面のペーパーがけはこれが便利ですよ。

アタリに合わせてガイドテープを貼り、ディティールの内側部分に直線のラインを入れていきます。

これを繰り返すとこんなディティールが出来上がります。マスメツール、ガイドテープのおかげで、殆んどストレスなく仕上げることができました。



じゃあついでに表側もやってみましょうか。ガイドテープを利用した超簡単スジボリ法。
まず、元からあるスリットに何度もスジボリを入れ、開口してしまいます。あせらずに何回もやっていると「あれっ」って感じで開口でき、デザインナイフなどで開けるよりきれいに仕上がります。

続いて元からあるパーツの角やディティールの端をガイド代わりにして、一気にガイドテープを貼ってしまいます。ガイドテープの幅が3mmですから、二重に張れば6mm。簡単に寸法が決められます。

後はスジボリを入れるだけ。簡単に多角形のスジボリが完成します。

実際には模型完成まで、こんな作業が延々と続きます。




といったところで今回はここまで。
「やってみようシリーズ」第一回、参考になりましたでしょうか? 次週も火曜日更新で、クシャトリヤの制作に本格的に取り掛かります。オリンピックに負けずがんばります。がんばれ日本とオレ。

ではそんなところで、次回も乞御期待。

D型ジェガン完成の巻。そして反省会。

はい、皆さんご機嫌いかがですか。
今回は「D型ジェガン完成編」。出来上がった模型を公開します。まずは基本カットから。

細かい改造箇所の説明は省きます、これまでの記事を参考にしてくださいね。
続いて武器を装備したカット。



ちょいと俯瞰で撮ってみました。

基本色は説明書の指定よりもずいぶん白め、グレーは前回参照の「俺グレー」の明るいほう。足の甲などのブルー系は説明書よりグレイッシュにしました。デカールNCデカールのオレンジをメインにあっちこっちから流用。オレンジってこんな感じの機体色の時にこそ使うべきかと思って。連邦マークやら何やらもオレンジ統一できると良かったんですが、家のアルプスプリンターはウンともスンとも言わなくなって久しいので断念。


◆ここでちょっと塗装の話◆

オリジナルカラーを調色する際、単色の調合はできるのに、他の色、例えば第二の本体色とかフレーム色とかと合わせたときにちぐはぐになってしまう、といった話を聞きます。これ、色々と原因はあるんですが、一番の解決方法は「塗って確かめてみる」ということに尽きます。そんなことやってるよ! という人もいるでしょうが、ちゃんと模型本体と同じ条件でテストしていますか? 端切れのプラバンに使用色を塗って確かめてもダメ。白地ですから。意外と多いのがサフのグレーに影響されて、各色のバランスが微妙に狂う場合。彩度の低い、濁った色の場合は影響が少ないのですが、ビビットカラー=原色に近い、彩度の高い色の場合、極端に発色が変わることがあります。

先ほどから彩度という言葉を使っていますが、これは色を表現する要素のひとつで、色とは「彩度」「明度」「色相」の三要素で表されます。「彩度」は色の鮮やかさ、「明度」は色の明るさ、「色相」は色の傾向(色号という)を表します。複数色のマッチングがうまくいかない人は、この三つの要素のうち、どれかが念頭消失してしまっていることが多いようです。詳しく言えば各要素での補色関係とか、色環の話とか色々あるんですが、それはまたいつかじっくりと。それまで関連用語を検索などしてお待ちくださいね。

ついでなので今回使用した色についてちょっと説明。

全く正確というわけではありませんが、上が説明書に書いてある機体色、下が今回使用した色です。本体色とブルーはかなり彩度を落としたり、明度を上げたりしています。
この地球上では、18mの物体が10cmに見えるまで離れた状態では、その物体の色がかなり違って見えます。例えばクリーム色のビルなんかは白っぽく見えるし、濃緑の山なんかはより黒っぽい緑に見える。なので薄い色の場合、かなり白めに調色するのが私のデフォルトです。今回は1/144ですので1/100よりさらに白っぽく調整しました。この現象は大気の影響によるものなので、宇宙ではとんでもなく「そのままの色」に見えます。NASAの写真なんかを見るとわかりますね。MSは基本的に宇宙兵器ですから、私たちが普段見ている視覚感覚を利用して「ホントは大きいですよ」と嘘をついているわけです。まあ、これはあくまでガンプラを「スケールモデル」としてみた場合の考え方の一つだと思いますので、「これはキャラクターモデルだ」とか「これはフィギュアだ」とか考える方は自由に彩色していいと思います。オブジェクトとしての充実感は十分ありますもんね。どんな形であれ、作って楽しむのが模型ですから。あ、ちなみに、グレーは無彩色(白黒)の混色ではない「俺グレー」(前回参照)なのであらゆる色とマッチングがよいです。ご参考までに。


さて、作例紹介に戻りましょうか。

三面はこんな感じ。

他の型のジェガンより頑丈そうで、重量感のある感じは出てると思うんですけどね。



バックビューではやはりスラスターが目を引きます。拡大してもらえるとわかると思うんですが、ツインサークルやヒザ裏のデュアルパイプが非常に良いアクセントになっています。バックパックの側面にもデュアルパイプを使っています。新造した肩アーマーの中身は市販のプラパーツでスラスターを表現しました。

バーニアはジャストサイズで収まってます。特に脚部のバーニアは絶妙のチラ見え具合でオススメ。


頭部はほぼノーマルで、バイザーにはお約束のデカール。胸部は2mm延長して面取りを変え、ダクトは形状変更とともに開口、フィンを埋め込みました。胸上面の楕円形の出っ張りは、形状変更の際に削り落としてしまったのでプラ棒で新造。中から生えているような雰囲気を狙ってみました。


腰サイドのサーベルラッチはこんな風に。


実はメタルソードグリップをもう一本使ってポージング用のサーベルを作っています。いくらプライマーを塗ったとはいえ、頻繁に取り外していると確実に塗装がはげると思ったもんで。4本入りなので、量産機を作ると余裕があるんですね。

 おかげで、心配せずに遊べます。


反対側はこんな感じです。腰周りはディティールの密度が高い場所なのでリベット、モールドパーツの効果大です。ついでに胸のサイド面にも注目。ここにもメタルモールドを使用しました。


 ラッチを可動式にしたので、こんな風にも遊べます。




お次はシールド。今回、妙に力の入った部分です。


マウントラッチの装着図。結構違和感なく収まってるでしょ。

ラッチとシールド双方に仕込んだネオジム磁石のおかげで、レールのあるところにならどこにでも「カチッ」と収まります。多少力が加わって、磁石同士が離れても、微妙に保持してくれます。恐るべしネオジム磁石



マシンガンはこんな感じになりました。今見ると多少厚みが足りない感もあるので、気になる方は改修するのも良しです。

後はもう、てんで勝手に遊びます。


そしておもむろに反省会。

実はきちんと1/144を作るのは数年ぶり。おかげでどうもスケール感がおかしい。頭の中が1/100になってるんですね。ディティールのサイズとか今一イメージしにくかった。デカールもちょっと多かったかな? 1/144としてはデカールオーバースケール気味なので控えめなほうが良かったかも。本体のC面(角の面取りのことね)はこのスケールでは微妙だな。場所によってはいらないかも。なんて色々ありますが、なんせ「ちっちゃくて作りにくいなぁ〜」というのが本音です。スジボリとか異様にやりにくかった。あと写真が下手だ! スタジオ撮影というわけにも行かず、環境の悪い自宅撮影なので……といういい訳をしておこう。すいません。精進します。これが1/100位に見えると、まあ……成功なんですけどね。中々難しい。

さて、気を取り直して次回は特別編、やってみようシリーズ。第一回は「スジボってみよう」。クシャトリアの作例と同時進行でやろうと思ってます。よし、次回もがんばるぞ。
そんなところで、次回も乞御期待。

急がば回れ。気のすむように。


はい、みなさんご機嫌いかがですか?
HGUCジェガンをD型に、しかもカッコよくしよう」プロジェクト四回目。張り切ってまいりましょう。


さて、前回までで上半身、下半身の基本制作が終了。今回は残ったパーツを仕上げていきますよ。
残りの部分で大きな山がひとつ。それは背面のランドセル。
キットはこんな感じ。

肩、股関パーツと並んで、D型ジェガンの特徴でもあります。つまりそれは、「全然形が違うじゃんか」ということで、設定画などを眺めながらどうやって作ろうか頭を悩ませます。
ここで「何とかキットのパーツを使えないか」というさもしい心を出して、キットパーツを切断してみました。

このパーツを元に切る、貼る、着ける、削るなどの作業を繰り返し……

だめじゃん!
ひねくりまわすこと数時間。なんとも体裁が付かないので新造です。ええ、作りますとも。最初っからそうしとけばよかった。ちゃんと計画を立ててから望まないからこういうことになるんです。急がば回れです。
この「改造計画」というヤツ。段取りを立てるには非常に重要なのですが、いっつも行き当たりばったりな所が出てきてしまいます。経験上、いきなり思いつきで作業を始めると、途中で行詰ってほっぽり出す確立が高くなります。完成しない系モデラーの人はきちんと仕上がりまでのイメージと手法を考えてから作業に望みましょうね。わかっちゃいるんですけどね。いつまでたっても成長しないなぁオレ。

で、気を取り直して地道にプラバンの箱組みから始めます。具体的な手法は前回までに紹介したものと変わりません。こんなのこんなツールも活躍します。今回は図面なし、現物あわせで制作していますので、たまに本体にくっつけてみたりしてバランスを見ながら形にしていきます。最初に図面引いときゃぁいいのにね。ホント、急がば回れだ。

キットのパーツで使えたのは可動式スラスターの部分。右がキットのまま、左が改修後。多少形状を変更して使用します。

で、何とかカントカ出来上がったのがこれ。

まあ、それらしく仕上がった。良かった良かった。この後スジボリ、ディティールなどを加えていきます。


続いて頭。
基本的には小作りでいい感じ。バイザー部分は若干のライン変更で雰囲気を変え、各ユニットごとにスジ彫りを入れていったりしますが、基本フォルムは変えません。ただし、バイザーの中身はパイプ状のモールドを削り落とし、プラバンでそれらしく基部を作っておきます。

基本塗装が終わったら、100均で買ったメタリックシール等でそれらしくディティールアップ。多分出来上がったらカバーの下になって見えないので、雰囲気重視ででっち上げます。いいんです。気分です。気分。


お次は腰の左右に付くアーマー、というよりも武器のマウントユニットのディティールアップ。
まずは左腰に付くグレネードランチャーの加工から。

キットでは三連ランチャーが繋がった状態でパーツ化されているので、それぞれに切り離します。その後、ヤスリなどで必要な加工を施します。左側のひとつが加工後、右の二つは切り離した状態。複数のパーツに同じ加工をする場合、最初に一つだけ作っておいて後はそれに合わせて加工する、というのがセオリーです。


キットパーツのマイナス状のモールドを削り落とし断面の中心に面打ち等でアタリを取り、1mmの穴を開けます。そこにマイナスモールドの2.5mmを埋め込み。シールドに内蔵されるランチャーも、同じものだと考えて、同じように作業をしておきました。若干本体の径が違うのですが、そこはそれとして。使ったディティールアップパーツが同じなので、作り直さなくても「同じパーツ」的な雰囲気は出るかと思います。白い部分はプラバンの細切り。削り落としたモールドの代わりです。

サフを吹くとこんな風。ご参考までに。



マウントはこんな風に改造。

キットではランチャーのセンターカバー部分が差し込み式になっていますので、真鍮線で可動式に変更します。このときにセンターカバー部分の左右、真鍮線が通る部分を外から見えない程度に広げておくと稼動域が広がってよいと思います。写真で説明しようかと思ったんですが、分解すると壊れそうで怖い。図解で勘弁してくださいね。



反対側もこんな改造をしてみました。

下側にプラバン箱組みのボックス、上側の腰にマウントされる部分は一度切り離し、それぞれを稼動するように真鍮線でつないでいます。それはなぜかというと、


こんな風にするため。キットのビームサーベルはあまりにも貧弱な感じがするので、メタルソードグリップを使います。

一番下はキットのサーベル。サーベルというよりもナイフくらいの出力しかない感じ。マウント部分を稼動させることで、ギリギリのサイズに作っても取り出すことができるようになります。ただし、左右のマウントラッチの長さが変わってしまうので、好みが分かれるところだとは思いますが。



今回、意外と凝ったのがシールド。基本形状はそのままですが、ディーティールの追加、接続方法の変更などを行っています。
まずはディティール。この時代(シャアの反乱こと第二次ネオ・ジオン戦争=U.C.0093以降)のシールドは、単なる弾除けというよりも武器や装備を携行するためのマルチパーパス・デバイスのようになっています。ビーム兵器が主流となっているので、攻撃を受け止めるというより、受け流す、という感じです。右から左へ。それにしても爆破兵器が衝撃吸収面に向いているというのも心もとないので、グレネードランチャーが内蔵される上の部分は0.3mmプラバンの追加装甲を貼り付け。フラットリベットの3mmを取り付けるための穴を開けます。その後、5mmの面取りビットでディティールの埋め込み面を斜めにしていきます。ただディティールを埋め込むよりも意味ありげな雰囲気が出ます。


向かって左が面取り後、右がそのまま。写真を拡大してみるとよくわかります。ビットの角度がディティールの面取り角度とほぼ同じなので非常に相性が良い。あ、この場合面取りビットは手で使ってくださいね。モーターツールで削ると大穴を空けてしまいますから。丁度いい深さ、角度になるように指先で回しながら慎重に。



シールドの裏側はプラバンでそれらしく。

そして本来マウント用のポリキャップがあった部分にはネオジム磁石を埋め込みました。

いつも思ってたんですが、HGUCのシールドの保持部分って、差し込み式な上に貧弱だと思いませんか? それなりの質量のあるシールドを保持するわけですから、それなりの説得力が欲しい。そこで今回、こんなパーツを作ってみました。


はい、シールド用のマウントラッチ。プラバン、プラ棒、パイプなどでベースを作り、シールド側の磁石と接する部分にはスチールの板(実はジュースの缶を切り出したもの)を仕込んであります。それだけでは若干保持力に不安が残るので、マウントラッチ裏側の見えない部分に2mmのネオジム磁石を2個、スチールに接触するよう仕込みました。磁性体に着磁力のある物質をつけると磁界を拡大させ、吸着力が強くなるという性質を利用したものです。小学校のときに習いましたね。あ、磁石を仕込むときはくれぐれもN/S極に気をつけて。逆に付けると大変なことになりますから。本体にくっつけてみたときにどう見えるかは、後のお楽しみって事で。




さて、残りの作業を片付けていきましょう。
まずは肩パーツの複製。複製の方法は他のサイトなんかに詳しく出ているので検索してみてくださいね。使っているのは一般的なレジンとシリコン。特別なことはしてません。特記事項といえば、センターのパーツを複製したところでレジンがなくなって、慌てて買ってきたら色が違ってたということくらい。まあ、そのあたりは気にしない気にしない。一番下が元パーツ、真ん中が切り出した状態。上が修正した複製パーツです。



そして、マシンガン。今回は先端にガンバレル1を使います。

バレルとマズルカバーが別パーツになっています。マズルカバーのフチの薄さが小気味良いパーツです。もう塗っちゃってます。塗装前にはメタルプライマーを忘れずに。

はい、こんなふうに出来上がりました。お尻にはマイナスモールドの4mmを装着。



この辺でバーニアの下準備もしておきましょう。

今回使用したのは開発中の新シリーズ、BSバーニア、ノーマルの8mmを4つと12mmを1つ。アウターベル、インナー、センターピンという標準的な構成ですが、センターピンの形状が特徴的です。外見はSVなんかの繊細な感じではなく、シンプルで頑丈そうな印象。MSには使いやすいかも。組み立てるとこんなふう。

ああっ、またピンボケだ。ゴメン。でも、もう撮りなおせない。なぜかというと、


もう塗っちゃったから。クレオスのメタルプライマーをブラシした後、インナーはクリアイエロー+クリアレッド少々で、アウターはごく薄く溶いたスモークグレーを、調子を見ながら吹き付けていきました。特徴的なセンターピンの真ん中はクリアレッドで。最後に下地のシルバーを活かす部分の保護もかねてクリアーを吹き、アウターの外側だけに軽くフラットクリアーを重ねています。1/144位の模型に、あんまりピカピカのパーツがくっついていると、なんだかわざとらしくなってしまうので、その辺を考慮しました。

と、いう所で製品版の写真が届きましたのでご紹介。BSバーニア12mmの商品写真です。きれいに撮れてます。ベルの高さが若干変更されているようですが全体の雰囲気は変わっていません。ノーマル、ショート、ロングの各タイプが11サイズで発売されるそうです。今後の主流になりそうですね。みなさんどうぞご参考に。




さて、ここまできたら塗装です。組み立てて差し支えない部分は組み立ててしまって、一気に塗装に入りましょう。あ、ちなみに組み立てに便利なツールをご紹介。ハンドバイスです。

いわゆるハタガネというものですね。大きいものでは1m以上のものもありますが、これは模型に最適なコンパクトサイズ。小さい部品をはさんで作業したりするのに使います。これの一番優れた点はこんなところ。

はい、平行に物を押さえる力が働くので、こういった接着には非常に役立ちます。


塗装の下塗りですが、私は全部のパーツにサフ吹きというのはあまりやりません。サーフェイサーの粒子はどうしても粗いので、厚みが出てしまいます。塗装はなるべく薄く仕上げたいですから。
で、その代わりに登場するのがこれ。

塗装時に余った塗料を大ビンに入れておいたもの。メタリックとクリアー系以外の塗料は全部入れちゃってますから何色入っているか最早判然としない。これを大きなビンにためておいて、小分けにしたものに白と黒を足し、2階調のグレーを作り置きしています。名付けて「俺グレー」。別に名付けなくてもいいんですけどね。研ぎ出しはできませんが、隠蔽力が非常に高いので、サフよりも薄く仕上げることができます。仕上がりが薄い色の場合は薄いグレーを、濃い色の場合は濃いグレーを使用します。関節部分なんかはこの塗料のまま仕上がり、ということも多いですね。


本当は塗装中の写真も撮れればいいんですが、中々そうもいきません。塗装はタイミング命ですから、写真を撮ってる暇がないんです。なんせ一人家内制手工業でやってるもんで……。で、一気に基本塗装が終わったのがこれ。


人によってはここで「完成!!」と叫んで飲みに行っても結構です。まあ、作例としてはそうもいかないので、この後、

こんな地道な作業が続き、トップコート、スミイレと続くわけです。写真に写ってないところのほうが圧倒的に作業量が多いのが悲しいところ。


さて、次回はいよいよ完成品披露。来週も火曜日更新です。

では次回も乞御期待!

物の理屈は高効率の元。

はい、皆様ご機嫌いかがでしょうか?
三回目を迎えたハウツーブログHGUCジェガンをD型に、しかもカッコよくしよう」プロジェクト。

今回はやることが多いので飛ばし気味にいきますよ。


さて、前回は腕を中心とした上半身の制作でした。今回は下半身にかかりましょう。

バランス的にはキットのままで問題ないと思います。
ただ今回はD型に改造するというテーマなので、そのあたりの改造をば。あとはディティールアップですな。



はい、バランスは問題ないと言っといて、いきなりフトモモの側面にプラバン貼ってます。これ、後ろから見たときにフロントの装甲が「かぶさってます」風に見せるアイディアです。プラバンを貼ってできる隙間はクリアパテで埋めます(詳しくは前回参照)。


ほのかに満足したところで、手のかかりそうなところから始めましょう。
D型のひざ関節の裏にはキットと異なり、ニューガンダム風のパイプが2本通ってます。
 これはキットのまま。
関節部分もただ○っていうのもなぁ。ということで、おもむろにクリアパテが活躍。

関節部分の○パーツを削ると内部の保持部分まで取れてしまうので、内側の肉抜き部分をクリアパテで埋めます。ここは強度が必要なところなので、硬化剤は使わず、じっくり硬化を待ちます。瞬間接着剤の成分は空気中のアルカリに反応して硬化します。硬化促進剤は反応しやすいアルカリ成分を吹き付けているんですね。ただ一瞬にして硬化してしまうので瞬着の結合粒子が不安定になることがあります。そうなると当然接着部分は脆くなる。なので、気長に硬化を待とうということです。粘着性の高い瞬着は粒子結合率が高いので、自然硬化させれば強度は十分です。

一晩くらい放置して、クリアパテが硬化したらおもむろに○ディティールを削り落とします。

面位置まで削りこんで出来上がったのがこれ。

次はヒザ裏のパイプ取付け加工。
パイプが入る隙間を通すため、モモ側のパーツの内部にクリアランスを作ります。ヒザ下部分のパーツにはパイプ接続の基部を埋め込むための段差を作りピンバイスで穴を開けておきます。

写真にはモーターツールが写ってますが、必ずしも必要というわけではありません。私の場合モーターツールで大まかに削っておいて、デザインナイフで仕上げます。ただし、モーターツールの扱いに慣れていないと、必ずといっていいほど余計なところまで削ってしまいます。要注意です。
で、出来上がったのがこれ。透明に見える部分がクリアパテで固めた部分。

仕上がりはこんな感じ。

パイプ基部にはデュアルパイプIIの1.5mm、パイプ部分は昔秋葉あたりで買った電装パーツです。




お次はこれ。

はい、新しくなったツインサークル



仮組みしてみたところ、若干出っ張りすぎの感があったので、接着面をディティールギリギリまで削ります。アップ写真の右側がノーマル、左が加工したもの。


真横から見るとこんな感じです。未加工のものと高さの差がわかっていただけるかと。


大体の加工が終わったら、インナーのパーツを取り付け。実はこの後、トップ側も若干削りこんでいます。あ、このときマルイチパーツはまだ接着していません。なぜかというと、

このパーツの最大の見せ場は「塗りわけがたやすい」ことだから。


この塗りわけ、一体成型のパーツでやろうと思ったら大変な作業です。「理屈としてこういう構造だろう」というパーツ構成なので違和感のない表現ができるわけです。ちなみにフトモモ後ろ側にはスジ彫りでディティール追加してます。これも「多分こういうパーツ構成だろうなぁ」という想像に基づいてます。そのあたりの想像力の差が模型の出来栄えを左右するんですね。これ、意外と重要です。修行しようっと。


さて、ここから先は各部にディティールを追加していきます。まずは下脚部あたり。


左側がスジ彫り済みのパーツ、右側はそれにあわせてアタリを取った状態のパーツ。私の場合、普通の鉛筆より視認性が高いので、製図用のブルーの芯を入れた0.5のシャーペンを使っています。スラスターのカウリング部分にはプラバンの細切りを貼ってます。この後もスジ彫り、小穴等を必要に応じて入れていきました。



さて、続いては股間まわり。
で、いきなりD型パーツがくっついてます。誤ります。写真撮るの忘れました。しかもピンボケ。ゴメン。作業しながらの撮影に慣れなくって……。まあ、基本的な作業は前回の肩パーツと同様なのでご参考に。奥まったパーツは1mmプラバン、手前のパーツは2枚重ねで2mm。それぞれ端っこにディティール埋め込み用の穴を開けています。穴は0.6mmのピンバイスで明けた後、必要に応じたサイズに広げていくんですが、これ、最初に面打ちなどでアタリをとっておかないと、ほぼ確実に変なところに穴が開くので注意してくださいね。

こっちのほうがわかりやすいかな?


ここから先は、各部にスジ彫り、パーツ追加などでディティールアップ。大体出来上がったのが下の写真。仕上げ前の下塗装の状態です。今回大活躍したディティールアップパーツがこちら。少ない加工で情報量が大幅に増えるので重宝します。今回はスケール感を考慮して本体色で塗装してます。1/144で換算すると、たとえ1mmのパーツでも14.4cmになる訳ですから。14センチのネジの頭は塗るだろう、と。建設機械とか見ても、その位のボルトヘッドはたいがい塗装されてますからね。
フンドシ上部の赤いパーツとVマークは形状が気に入らなかったので作り直してます。フンドシの中央部はスジ彫りと塗装で、MGよろしく前後のパーツがかぶさっている風の表現を。背面のフンドシ後部は角度変更、腰周りはスタークジェガンを意識して接続用のインターフェイス的なディティールも加えてみました。


股間にできる隙間隠しにはキットのバーニアノズルを切断して使用しました。バーニア関係はメタルパーツに置き換え予定なので、エコ活用です。書き忘れたけどスジ彫りにはスジボリ用ガイドテープを使用してます。



続いて足首。設定画の印象だとキットのものよりスクゥエアな印象なので、パーツの内側にポリパテを詰め込んで足裏を接着。サンディングスティックで削り込みます。

右がキットのまま、左が成型後。結構大きな効果があります。


さて、今回はこの辺で、と書こうと思ったら面白いものが届いたのでご紹介。

はい、マスメツールです。どういう風に使うかというと、
 面打でアタリをつけて、
 はい、こんな感じ。

目感に頼らず、正確な位置に穴あけを行うことができます。ありそうでなかった、意外と便利なツールです。せっかくなのでもうひとつ面白い使い方をご紹介。

適当な大きさに切り出した0.3mmプラバンにマスメツールを貼り、2mm幅で切り出していきます。これ、定規で測っても中々精度が出にくい作業ですが、マスメツールを使用すればスムーズに作業が進みます。


はい、出来上がった2mmの細切りプラバン。この後、同じようにして1mmの細切りも作ります。マスメツールをはがした後、片方の切口を合わせて「1mm/2mm/1mm〜」と順番に重ねて接着していくと、

ほら、こんなパーツが出来上がりました。どんな風に使うかというと、


こんな風。切り出した部品に合わせて穴を開け、埋め込み接着の後、面位置まで削ります。スリットを掘り込むよりも楽チンです。これ、他にも使い方がありそうだな。バイクの空冷エンジンの冷却フィンの表現とかね。



さて、今回は盛りだくさんでお送りしました。次回は残りのパーツの加工から基本塗装までの予定。来週も火曜日更新です。

それでは次回も乞御期待!

ヤスれよ。さらば道は開かれん。

さて。

今回のお題はHGUCジェガンをD型に、しかもカッコよくしよう」プロジェクト。早速、制作にかかりましょう。

今回のようにパーツを丸ごと差し替える、または新造するという場合はプロポーション上ポイントとなる新造パーツの制作からはじめます。図面を引くのもいいですな。正確なパーツが作れます。
今回は面倒なんでやってないけど。

この「図面を引くか引かないか」の判断ですが、私の場合、構造上「こりゃあ図面がないと厄介そうだ」と思ったときに引くようにしています。模型制作全般に言えることですが、結果として思ったとおりの形になれば言い訳で、明確な基準なんてないと思っています。その辺は個人の力量と技術を基準に判断しましょうね。

で、肩パーツ。
いつもの感じの作業を紹介すると、


1)まずは既存のパーツに一番近い所を切り出します。


2)まあ、こんな感じかなあ、というところでプラバンを液状の瞬間接着剤で点付けして重ねていきます。


3)必要な枚数分重ね終わったら、最後に1のパーツを乗せて切り出し。


4)はい、このとおり。同じ形のパーツが4つ出来上がりました。

この後、必要に応じて溶剤系の接着剤などを流し込んで接着します。パーツごとの加工が必要なときはカッターの刃などをプラバンの隙間に入れていくと「パキッ」とはがれます。
今回は軽量化と肩口のスリットを掘り込む手間を避けるためプラ棒で高さを作りました。なので、4の写真の後、重ねたパーツ2枚分を「パキッ」と分解、片方に組み付け用の穴開け加工した後、全てをばらし、プラ棒をはさんで接着しました。
そうそう、最初にプラバンを重ねるときは液状の瞬間接着剤を使ってくださいね。粘度の高いものだとしっかりくっついてしまって、後からはがすのが一苦労です。あくまで液状瞬着の点付けで。


パーツのベースができたらヤスリやカッター、彫刻刀などで形を作っていきます。
そこで大活躍なのがこれ

きれいなのもあるんですが「こんだけ使ってます」ということで、あえて使用中のものを撮りました。
これね、実際使ってみないと良さがわかりません。私の場合、使い始めてからというもの、これまでの金ヤスリの出番が殆んどなくなりました。じゃあ、どれだけすごいかという実験。

ユニコーンのクリアパーツのランナーにサンディングスティックをかけてみましょう。
まずは240番から



320番


400番


600番


800番


1000番


1200番


1500番

ね、すごいでしょ。写真だとわかりにくいかもしれませんが、これ、一生懸命やったというよりも各番手でささっとヤスったという感じです。コツとしては番手を飛ばさず、なるべく平滑にヤスること。加工時に必要なのは大体240〜800番なので、一通りそろえておくことをオススメします。その方がヤスリの持ちもいいので結果的に経済的です。

また、こんな使い方もオススメ。


はい、細切りヤスリ。切断にはこんな工具を使います。

金バサミなんかを使ってもいいのですが、角がよれたりするので。カッターだと刃が折れそうで危険ですが、これなら心配ないし、切れ味が落ちたら刃の交換もできます。で、使い方はこんなふう。

サフを吹いたところ修正点が見つかったのでプラパテで修正、ヤスリがけをしているところ。これなら細かいところのヤスリがけも楽チンです。


さて、話を戻してジェガンの肩パーツ。
240番と320番のサンディングスティック大活躍でできたのがこれ。

ちょっと大きいので修正して複製します。やっぱり図面引いときゃあよかった。もうワンセット作ってもいいんですが、精度の問題で複製したほうが確かだと判断しました。



この際、ついでに腕も加工しちゃいましょうか。
キットのも物に比べ、D型ジェガンの腕は四角く直線的な印象です。なので、ヤスリがけをした後にプラバンを貼り、無理やり直線的な形状に変更します。

左がキットのまま、右がプラバン加工後。


このときに便利なのがこれ

必ずといっていいほどできるプラバンの隙間に埋め込んで、硬化剤をひと吹きすれば待たずに成型できます。

上の写真の場合、オレンジの線で囲った部分に隙間ができるのでクリアパテを盛り、成型しています。なんといっても時間と競争のライターにとっては待ち時間がないのがうれしい限り。

そんなこんなで大体の形ができたのがこれ。下腕部の大きい面には後で角度をつけます。何で後でなのかは後ほど。
ここでは関節パーツに注目。


まずは関節パーツのディティールをヤスリで落として、


センターに穴を開け、


3mmのマイナスモールドをはめ込む。


はい、これでディティールアップ出来上がり。あえて元モールドより一回り小さいものを選びました。その理由は量産機っぽい華奢さを出したかったのがひとつ。もうひとつは、このパーツの形状を考慮したとき、元パーツより面がひとつ多い分情報量が増えます。横から見るとこんな感じ。

なので一回り小さいくらいのほうがさりげなくていいかな、と思った次第。あんまり大きいと、いかにも「パーツ変えてます」的な雰囲気が出ちゃいますからね。大人はさりげないくらいがちょうどいいんです。もし寂しかったら後で大きいパーツに差し替えようっと。

で、その後に下腕部の面成型。

実はキットのままだと関節の中心と下腕部の山の中心がずれてるんです。それを修正したかったので関節部分を先に仕上げたというわけ。


で、今回まではこんな感じ。

え、記事になってない部分も変わってるって? それは次回のお楽しみ。

それでは今回はこの辺で。
次週も乞御期待。