急がば回れ。気のすむように。


はい、みなさんご機嫌いかがですか?
HGUCジェガンをD型に、しかもカッコよくしよう」プロジェクト四回目。張り切ってまいりましょう。


さて、前回までで上半身、下半身の基本制作が終了。今回は残ったパーツを仕上げていきますよ。
残りの部分で大きな山がひとつ。それは背面のランドセル。
キットはこんな感じ。

肩、股関パーツと並んで、D型ジェガンの特徴でもあります。つまりそれは、「全然形が違うじゃんか」ということで、設定画などを眺めながらどうやって作ろうか頭を悩ませます。
ここで「何とかキットのパーツを使えないか」というさもしい心を出して、キットパーツを切断してみました。

このパーツを元に切る、貼る、着ける、削るなどの作業を繰り返し……

だめじゃん!
ひねくりまわすこと数時間。なんとも体裁が付かないので新造です。ええ、作りますとも。最初っからそうしとけばよかった。ちゃんと計画を立ててから望まないからこういうことになるんです。急がば回れです。
この「改造計画」というヤツ。段取りを立てるには非常に重要なのですが、いっつも行き当たりばったりな所が出てきてしまいます。経験上、いきなり思いつきで作業を始めると、途中で行詰ってほっぽり出す確立が高くなります。完成しない系モデラーの人はきちんと仕上がりまでのイメージと手法を考えてから作業に望みましょうね。わかっちゃいるんですけどね。いつまでたっても成長しないなぁオレ。

で、気を取り直して地道にプラバンの箱組みから始めます。具体的な手法は前回までに紹介したものと変わりません。こんなのこんなツールも活躍します。今回は図面なし、現物あわせで制作していますので、たまに本体にくっつけてみたりしてバランスを見ながら形にしていきます。最初に図面引いときゃぁいいのにね。ホント、急がば回れだ。

キットのパーツで使えたのは可動式スラスターの部分。右がキットのまま、左が改修後。多少形状を変更して使用します。

で、何とかカントカ出来上がったのがこれ。

まあ、それらしく仕上がった。良かった良かった。この後スジボリ、ディティールなどを加えていきます。


続いて頭。
基本的には小作りでいい感じ。バイザー部分は若干のライン変更で雰囲気を変え、各ユニットごとにスジ彫りを入れていったりしますが、基本フォルムは変えません。ただし、バイザーの中身はパイプ状のモールドを削り落とし、プラバンでそれらしく基部を作っておきます。

基本塗装が終わったら、100均で買ったメタリックシール等でそれらしくディティールアップ。多分出来上がったらカバーの下になって見えないので、雰囲気重視ででっち上げます。いいんです。気分です。気分。


お次は腰の左右に付くアーマー、というよりも武器のマウントユニットのディティールアップ。
まずは左腰に付くグレネードランチャーの加工から。

キットでは三連ランチャーが繋がった状態でパーツ化されているので、それぞれに切り離します。その後、ヤスリなどで必要な加工を施します。左側のひとつが加工後、右の二つは切り離した状態。複数のパーツに同じ加工をする場合、最初に一つだけ作っておいて後はそれに合わせて加工する、というのがセオリーです。


キットパーツのマイナス状のモールドを削り落とし断面の中心に面打ち等でアタリを取り、1mmの穴を開けます。そこにマイナスモールドの2.5mmを埋め込み。シールドに内蔵されるランチャーも、同じものだと考えて、同じように作業をしておきました。若干本体の径が違うのですが、そこはそれとして。使ったディティールアップパーツが同じなので、作り直さなくても「同じパーツ」的な雰囲気は出るかと思います。白い部分はプラバンの細切り。削り落としたモールドの代わりです。

サフを吹くとこんな風。ご参考までに。



マウントはこんな風に改造。

キットではランチャーのセンターカバー部分が差し込み式になっていますので、真鍮線で可動式に変更します。このときにセンターカバー部分の左右、真鍮線が通る部分を外から見えない程度に広げておくと稼動域が広がってよいと思います。写真で説明しようかと思ったんですが、分解すると壊れそうで怖い。図解で勘弁してくださいね。



反対側もこんな改造をしてみました。

下側にプラバン箱組みのボックス、上側の腰にマウントされる部分は一度切り離し、それぞれを稼動するように真鍮線でつないでいます。それはなぜかというと、


こんな風にするため。キットのビームサーベルはあまりにも貧弱な感じがするので、メタルソードグリップを使います。

一番下はキットのサーベル。サーベルというよりもナイフくらいの出力しかない感じ。マウント部分を稼動させることで、ギリギリのサイズに作っても取り出すことができるようになります。ただし、左右のマウントラッチの長さが変わってしまうので、好みが分かれるところだとは思いますが。



今回、意外と凝ったのがシールド。基本形状はそのままですが、ディーティールの追加、接続方法の変更などを行っています。
まずはディティール。この時代(シャアの反乱こと第二次ネオ・ジオン戦争=U.C.0093以降)のシールドは、単なる弾除けというよりも武器や装備を携行するためのマルチパーパス・デバイスのようになっています。ビーム兵器が主流となっているので、攻撃を受け止めるというより、受け流す、という感じです。右から左へ。それにしても爆破兵器が衝撃吸収面に向いているというのも心もとないので、グレネードランチャーが内蔵される上の部分は0.3mmプラバンの追加装甲を貼り付け。フラットリベットの3mmを取り付けるための穴を開けます。その後、5mmの面取りビットでディティールの埋め込み面を斜めにしていきます。ただディティールを埋め込むよりも意味ありげな雰囲気が出ます。


向かって左が面取り後、右がそのまま。写真を拡大してみるとよくわかります。ビットの角度がディティールの面取り角度とほぼ同じなので非常に相性が良い。あ、この場合面取りビットは手で使ってくださいね。モーターツールで削ると大穴を空けてしまいますから。丁度いい深さ、角度になるように指先で回しながら慎重に。



シールドの裏側はプラバンでそれらしく。

そして本来マウント用のポリキャップがあった部分にはネオジム磁石を埋め込みました。

いつも思ってたんですが、HGUCのシールドの保持部分って、差し込み式な上に貧弱だと思いませんか? それなりの質量のあるシールドを保持するわけですから、それなりの説得力が欲しい。そこで今回、こんなパーツを作ってみました。


はい、シールド用のマウントラッチ。プラバン、プラ棒、パイプなどでベースを作り、シールド側の磁石と接する部分にはスチールの板(実はジュースの缶を切り出したもの)を仕込んであります。それだけでは若干保持力に不安が残るので、マウントラッチ裏側の見えない部分に2mmのネオジム磁石を2個、スチールに接触するよう仕込みました。磁性体に着磁力のある物質をつけると磁界を拡大させ、吸着力が強くなるという性質を利用したものです。小学校のときに習いましたね。あ、磁石を仕込むときはくれぐれもN/S極に気をつけて。逆に付けると大変なことになりますから。本体にくっつけてみたときにどう見えるかは、後のお楽しみって事で。




さて、残りの作業を片付けていきましょう。
まずは肩パーツの複製。複製の方法は他のサイトなんかに詳しく出ているので検索してみてくださいね。使っているのは一般的なレジンとシリコン。特別なことはしてません。特記事項といえば、センターのパーツを複製したところでレジンがなくなって、慌てて買ってきたら色が違ってたということくらい。まあ、そのあたりは気にしない気にしない。一番下が元パーツ、真ん中が切り出した状態。上が修正した複製パーツです。



そして、マシンガン。今回は先端にガンバレル1を使います。

バレルとマズルカバーが別パーツになっています。マズルカバーのフチの薄さが小気味良いパーツです。もう塗っちゃってます。塗装前にはメタルプライマーを忘れずに。

はい、こんなふうに出来上がりました。お尻にはマイナスモールドの4mmを装着。



この辺でバーニアの下準備もしておきましょう。

今回使用したのは開発中の新シリーズ、BSバーニア、ノーマルの8mmを4つと12mmを1つ。アウターベル、インナー、センターピンという標準的な構成ですが、センターピンの形状が特徴的です。外見はSVなんかの繊細な感じではなく、シンプルで頑丈そうな印象。MSには使いやすいかも。組み立てるとこんなふう。

ああっ、またピンボケだ。ゴメン。でも、もう撮りなおせない。なぜかというと、


もう塗っちゃったから。クレオスのメタルプライマーをブラシした後、インナーはクリアイエロー+クリアレッド少々で、アウターはごく薄く溶いたスモークグレーを、調子を見ながら吹き付けていきました。特徴的なセンターピンの真ん中はクリアレッドで。最後に下地のシルバーを活かす部分の保護もかねてクリアーを吹き、アウターの外側だけに軽くフラットクリアーを重ねています。1/144位の模型に、あんまりピカピカのパーツがくっついていると、なんだかわざとらしくなってしまうので、その辺を考慮しました。

と、いう所で製品版の写真が届きましたのでご紹介。BSバーニア12mmの商品写真です。きれいに撮れてます。ベルの高さが若干変更されているようですが全体の雰囲気は変わっていません。ノーマル、ショート、ロングの各タイプが11サイズで発売されるそうです。今後の主流になりそうですね。みなさんどうぞご参考に。




さて、ここまできたら塗装です。組み立てて差し支えない部分は組み立ててしまって、一気に塗装に入りましょう。あ、ちなみに組み立てに便利なツールをご紹介。ハンドバイスです。

いわゆるハタガネというものですね。大きいものでは1m以上のものもありますが、これは模型に最適なコンパクトサイズ。小さい部品をはさんで作業したりするのに使います。これの一番優れた点はこんなところ。

はい、平行に物を押さえる力が働くので、こういった接着には非常に役立ちます。


塗装の下塗りですが、私は全部のパーツにサフ吹きというのはあまりやりません。サーフェイサーの粒子はどうしても粗いので、厚みが出てしまいます。塗装はなるべく薄く仕上げたいですから。
で、その代わりに登場するのがこれ。

塗装時に余った塗料を大ビンに入れておいたもの。メタリックとクリアー系以外の塗料は全部入れちゃってますから何色入っているか最早判然としない。これを大きなビンにためておいて、小分けにしたものに白と黒を足し、2階調のグレーを作り置きしています。名付けて「俺グレー」。別に名付けなくてもいいんですけどね。研ぎ出しはできませんが、隠蔽力が非常に高いので、サフよりも薄く仕上げることができます。仕上がりが薄い色の場合は薄いグレーを、濃い色の場合は濃いグレーを使用します。関節部分なんかはこの塗料のまま仕上がり、ということも多いですね。


本当は塗装中の写真も撮れればいいんですが、中々そうもいきません。塗装はタイミング命ですから、写真を撮ってる暇がないんです。なんせ一人家内制手工業でやってるもんで……。で、一気に基本塗装が終わったのがこれ。


人によってはここで「完成!!」と叫んで飲みに行っても結構です。まあ、作例としてはそうもいかないので、この後、

こんな地道な作業が続き、トップコート、スミイレと続くわけです。写真に写ってないところのほうが圧倒的に作業量が多いのが悲しいところ。


さて、次回はいよいよ完成品披露。来週も火曜日更新です。

では次回も乞御期待!