事件発生!! しかし連載は続く。轟雷三回目。

はい、皆さんお元気ですか。

今回は轟雷三回目。ドットマトリクス塗装編です。


「ドットマトリクス塗装」とは読んで字の如く、正方形を主体とした角型に塗り分けられた迷彩塗装のこと。これは目標物をCCDカメラで捕らえるようになった現代戦を考慮して考えられたものです。特に市街戦では周囲の建物が四角いため、目視でも迷彩効果が高いといわれており、別名「都市迷彩」といわれる所以にもなっています。確かにドットで映像を認識するCCDの特性を考えればアリかもしれませんが、一部では実効性を疑問視する声もあります。でも見た目に格好良いので、個人的に良しとします。
 昔作った作例。まあ、この配色だと迷彩もヘッタクレも無いと思いますが。


さて、今回のカラーリングを考えましょう。
現代のドットマトリクス迷彩は、基本的に「ハイライト=小面積」「中間色=中程度の面積」「暗色=大面積」という配分になっていることが多いようです。あるいは中間色と暗色のが大体同じ割合とかね。そのあたりの面積の配分で個性が出ているような気もします。ただ、おおよそいえるのは中間色と暗色は同系統の色になっているということです。この「同系統」というのは、単に色相的(例えば赤系統とか黄色系統とか無彩色であるとか)に同系統というだけでなく、明度や彩度のいずれかふたつが同系統であり、他の1要素はずいぶんと異なっている、というのがパターンなように思います。
それらを考慮したうえで、配色を何種類かコンピュータ上でシミュレートしてみました。シミュレートにはアドビのイラストレーターというDTP用のソフトを使いました。


A、
はい、これは最も一般的と思われる配色。どの面のどの位置にハイライトを持ってくるかがポイントとなりそうです。配色はハイライト=白、中間色=赤系の茶色、暗色=濃いグレーということころでしょうか。


B、
都市迷彩といえばこの無彩色の組み合わせ。どうやら夜間迷彩に重点を置いた配色のようです。配色はハイライト=ライトグレー、中間色=暗めのグレー、暗色=殆んど黒のグレーで決まりです。


C、
これはあんまり見ないサンド迷彩のドットマトリクス版。砂漠など広いところで遠距離であれば目視迷彩効果は高そうです。ハイライト=白かライトサンド、中間色=赤系の茶色、暗色=マホガニーのもっと暗いやつといった具合かな?

さてこのデータを小さくプリントアウトして模型に重ねたりなんかして考えた結果、Aのパターンで行くことにしました。これが一番整合が取りにくそうなので、チャレンジ精神を発揮してみました。オレはやるぜ!!


そうと決まれば作業は急げ、前回のコイツにマスキングテープを貼り付けていきます。

使うのは当然これ。

HiQpartsのドット迷彩用マスキングテープ。今回はMサイズをチョイスしました。実は、このマスキングテープが発売される前、何回かドットマトリクス塗装にチャレンジしようと思ったこともあるんですが、あまりにも面倒くさそうで脳内シミュレーションの段階で挫折しました。この商品をはじめて見たときに「これならいける」とほくそえんだものです。
全体写真ではわかりにくいのでアップで。

なんとなくどんなものか、わかっていただけましたか?


さあ、このマスキングテープを使った塗装の手順を紹介していきましょう。
まずはハイライト色を全体に塗装した後、模型を一度組み立て、ハイライトを残したい部分にマスキングテープを貼っていきます。今回の轟雷は前回塗った白をハイライトにするので、ここにテープを貼っていけばいいわけです。一度模型を組み立てるのは、塗り上がったときに、どこにどの色が来るのかを正確に把握するためです。
上手く配色するポイントは、仕上がりを想像しながら「ここにハイライトが欲しいよなあ」という所に「控えめ」に貼っていくこと。ハイライトは目に付くので、この段階では少なめのほうが上手く仕上がります。


全体的にハイライト部分をマスキングし終わったのがこんな感じ。貼り終わったら、もう一度ばらして中間色の塗装に入ります。



とここで、
姉さん事件です!!(高島弟風)

コンプレッサーが動かんとです……(ヒロシ風)

両方とも例えが古いなんてツッコミはいらない……。
ここんとこ調子が悪いので、二回ほど修理に出していた年代物のコンプレッサーがとうとうお隠れになりました。
ちーん。

とはいえ、代わりのコンプを買う余裕など到底ない貧乏モデラーの悲しい暮らし。そして迫る締め切りの恐怖。いいよいいよ、と出してきたのが前にコンプを修理に出したときに買っておいたクレオスのプチコンです。噴圧が低いので塗料の濃度に気をつけないとダマが飛びやすいのですが、これでも十分に塗れます。
ああ、いいさ。後は腕で勝負だ!!!


ということで「うりゃぁ」と勢いで塗り終えた二色目。中間色です。塗装レシピは後で詳しく紹介しますね。

ほぅら、ちゃんと塗れてるじゃないか。

そして中間色が乾燥したら、ハイライトのマスキングも貼ったままパーツを組み立てて、中間色を残したい部分をマスキング。最初と同じ作業を繰り返します。

全体のバランスを見ながら、暗色と中間色が半分ずつ位になるように貼っていきます。このあたりになると最初に貼ったハイライト部分と整合がとれなくなってくる部分もあるんですが、そんなときは新しく貼るマスキングテープのほうを切って使うと何とか収まります。別に、マスキングテープの柄どうりに貼らなくってもいいんですから。
そこのあなた、くれぐれも「この写真の配色の方がイイジャン」とか言わないように。


そして暗色の塗装。濃いグレー系です。写真の都合で若干明るく写ってますが、ご勘弁を。なんせ昼となく夜となく模型を作り続けているので、撮影環境が変わってしまうのです。

これが、基本色塗装完了の状態。

乾燥を待って、多色塗装の醍醐味が味わえる作業に入ります。あ、書き忘れましたが、各色ごとに丸一日くらいの乾燥時間で塗り重ねています。本当は2〜3日欲しいところなんですが、掲載の都合です。

さあ、これが多色塗装の醍醐味だ。マスキング剥がし。マスキングテープを剥がしていくたびに仕上がり塗装が現れていく、快感の作業。ああ、気持ちいい。

マスキングをはがし終えたパーツを組み立ててみました。

細部はこんな感じ。

写真に撮ると、明らかに立体感が出にくい! 迷彩としてはアリかもしれません。こんなことがわかるのも模型制作の楽しみの一つです。

さて、今回のドットマトリクス塗装の手順はちょっと複雑だったのでまとめておきましょうか。基本工作が済んだ後からだと思ってください。
1)下地塗装
2)一色目=ハイライト塗装
3)ハイライトを残す部分をマスキング
4)二色目=中間色塗装
5)中間色を残す部分をマスキング
6)三色目=暗色を塗装で完成
となります。


ハイライトの白を塗った上にマスキングし、二色目を塗った状態。


上はハイライト、中間色を塗った上にマスキングした状態。下はこれから二色目を塗ろうとする状態。


今回使ったAパターンのカラーレシピはこんな感じです。使ったのはクレオスのラッカー塗料。一番手に入りやすいし、使い慣れているもんで。見本にプラバンを使って塗装してみました。

ハイライト=白そのまま、中間色=マホガニー95%+白5%、暗色=ジャーマングレー95%+黒5%
というところでしょうか。どうやらこの記事の配色をシミュレートしてくださっている方もいるようですので、なるべく混色しやすいカラーを選んでみました。あ、パーセントはあくまでも目感です。きちっと計って混色しているわけじゃないので、大体これくらいだと思ってください。




ちなみにBパターンの場合

ハイライト=ホワイト90%+ブラック10%、中間色=M66ブラックグレー95%+ブラック5%、暗色=ジャーマングレー90%+フラットブラック10%




Cパターンの場合

ハイライト=サンディブラウン100%、間色=レッドブラウン100%、暗色=マホガニー90%+フラットブラック10%
見本は見事に塗装に失敗してますが、こんな感じだと思います。前に塗った塗料が乾ききらないうちに次の塗料を塗るとこうなるという、悪い見本になりました。



さて、今回の作業はここまで。次週はいよいよ完成です。ウェザリングなんかもお見せするつもりなのでお楽しみに。

そして、
どこかのメーカーさん! ショップさん! コンプ提供してください!! 宣伝しちゃいますから(泣)。

ということで協賛お待ちしております。一体どんなエンディングなんだ。


ということで、来週も火曜日更新。次回も乞御期待!