繰り返す作業は波に似て……。轟雷第二回目。

はい皆さんごきげんいかがですか。
皆さん気が付いたでしょうか? トップ画の「線香亭無暗」の文字の書体が変わったことを。え、気づかなかった? まあ、普通は気が付かないですね。いいんです。それだけです。


さて、今回はコトブキヤ製プラキット、フレームアームズ「轟雷」二回目。早速参りましょう。
前回の予告でキャタピラ中心にと書いたので、その辺りから。

全体的にいえる事ですが、このキット、ディティールは薄めです。各パーツの組み合わせでオリジナルFA(フレームアームズ)を作れるというプレイバリューを考えると、その機体に特化した過剰なディティールが邪魔になるからかもしれません。でもそれはそれ。考えようによっては自分の好みで好きなように仕上げられる、模型本来の楽しみ方ができるというものです。
そんな訳で、まずはキャタピラと本体を繋ぐパーツ。キャタピラが割とそっけなくくっついているのでそれらしいディティールを追加しましょう。

キャタピラとの接続部分を切り離します。そして登場するのが前回までのクシャトリアで使用したHiQpartsのVジョイントの余ったパーツ。クシャトリアでは、間に挟むギア状のパーツを1個に付き2枚しか使わなかったんで大量に余ってます。なのでそれを利用してエコモデリングです。まずはメタルパーツのセンターの穴をドリルやリューターなどで3mmに広げます。アルミ製なので、それ用の工具を使ってくださいね。このパーツを持ってない場合はGテンプル-エクステンションパーツ Mセットなどを使ってもいいかもしれません。
下の写真の左側が元の部品、真ん中にあるのが穴を広げたもの。

仮組みしたところ、若干ガタツキが出たので0.5mmプラバンを直径7mmの円形に切り抜き、中央に3mm穴を開けたものをスペーサーとして挟みました。で、出来上がりがこれ。

なんとなく動きそうな感じが出てればOK。


さて、続いては転輪部分。キットの転輪はプレーンな状態なのでリベットを打ってみましょう。実はさっき使った7mmのスペーサーを一個余分に作っておいてこんな冶具を作りました。名付けて「轟雷専用 転輪用リベットテンプレート」。別に名付けなくてもいいんですけど。

使い方はこんなふうです。まずはセンターの軸にかぶせておいて、テンプレート外周部の溝に合わせて0.5mmのドリルで開口。これなら楽チンに等間隔のリベット穴が空けられます。

全ての転輪に穴を空け終えたらHiQparts製0.7mmのヘックスリベットを接着します。接着には瞬間クリアパテを使っています。リベットの脚の部分にごく少量つけて穴の周囲に付かないよう気をつけて取り付けます。

「全ての」って書きましたけど、ジョイント部分の転輪にはリベッティングしてませんよ。しても見えない上に可動時に引っかかるんで。写真では穴が開いてますけど、これは冶具がうまく使えるかどうか見えない部分で実験した後です。なので、転輪1個に付き6回のリベッティング×12個の作業となりました。


さて、お次はキャタピラだ。
側面は前回穴を空けておいたので、今回は接地面を加工しましょう。
どうしようかと悩んだんですが、コミックス初登場の時、ドッグからキャタピラで発進するというシーンがあったのを思い出して、ラバーブロック仕様にすることにしました。AFVをやる人には常識でしょうけれども、実はキャタピラってのは結構な厄介者でして、戦車などの荒地用のキャタピラで走ると、アスファルトでもぐしゃぐしゃになってしまうというくらい強力です。そこで、通常の移動時にはゴムのブロックが付いたキャタピラを使用するのが一般的になっています。なのでドッグ内ではラバーブロック仕様なのでは、と考えたわけです。まあ、キャタピラを全部黒く塗って「ゴムです」って言い張るのもありなんですが、それじゃあ面白くない。となるとラバーブロック部分を作るしかない。

作るったって片方で20ピースある訳だから使うパーツは40個。両方合わせて80個。いちいち手で切り出して精度を保てる自信もないし、根性が品切れにならない保障もない。


そこで、こんな冶具を考えました。先端にはスリットが空いています。

ここに7mm幅に切り出した0.3mmプラバンを差し込んで、

先端部分のテンプレートに合わせて切断していくと、ラバーブロックの出来上がり、という訳です。これを80個作ります。

いくらやっても終わらない、寄せては返す波のような作業です。でもね、「始まれば終わる」もんです。


よしできた!!

実際に貼り付けてみるとこんな感じになりました。おお、中々いいじゃないか。本当はもうちょっと複雑なパターンで作れるとよかったんですけど、そこら辺に凝ると完成が夏ぐらいになりそうなんでやめときました。で、このディティールアップにはもうひとつメリットがありまして、

上下分割のキャタピラの接合面がごまかせるという一石二鳥のディティールアップなのでした。

本体に取り付けてみると、おお、さらにいいじゃないか。皆さんも最初の写真と比べてみてくださいね。

もっとやる気のある人はAFV用の別売りキャタピラを合わせるなんていうのもアリかもしれません。


お次は胸パーツ。前側のパーツとフレームの隙間が気になったんでプラバンを2.5mm分くっつけてみました。

これでなんとなく前後のつながりも出ると思います。



さあ、後は気になったところにディティールを追加していきましょう。例えばこんな所とか。今回は戦車のイメージということで、基本的にヘックス(六角ボルト)型のディティールパーツを使用しています。


背中のウェポンラッチ(?)はHiQpartsのリニューアルしたメタルリング1.0mm用メタルマイナスモールド1.0mmを使ってみます。まずは1.5mmの穴を空け、メタルリングを埋め込み、塗装したマイナスモールドを仕込む、という方法です。塗装は0.5mmの穴を空けたプラバンにマイナスモールドをはめ込んでおいて、プライマー、塗装色というふうに吹き付けていきました。こんな使い方も面白い効果が出るのでは、という実験です。

20箇所の穴に対してパーツは20個づつ。一個も「ピンッ」と飛ばせないという冷や汗物の作業でした。ちなみにキャノンの付かない反対側のラッチには穴ふさぎとして、プラ棒を上げ底にして3mmのフラットモールドを装着してあります。

ここのまでの全体像がこちら。

仮組みして、ディティールの追加場所を考えます。何事もやりすぎは毒なので、コーヒーでも飲みながら、ちょっと止まって考えます。


そして、おもむろにリベットの追加。

はい、皆さんもうお気づきですね。下地のチェックもかねて白を塗ってみました。今回はドットマトリクス塗装にする予定なので塗装はなるべく薄く抑えたい。なので下地をしっかり処理した後、ちょっとだけ薄めたプライマーを全体にかけ、クレオスの白で塗りました。そうです。サフレスです。
たまに、「下地が濃いと白が発色しない」という人がいますが、そうでもないんです。確かに発色はしにくいんですが、塗料の濃度、ブラシの噴圧、パーツを塗る手順などにより解決することができます。特に今回はドットマトリクスにするため、この上に何層か塗料を重ねていきますから、何よりも皮膜の薄さを優先したというわけです。その時の噴圧と塗料の濃度は、使っているブラシとコンプレッサーの性能により変化します。言えるとすれば「塗料はいつもよりかなり薄め」「噴圧はかなり低め」に吹き始め、パーツのエッジやミゾになる部分(スジボリ含む)を先に塗っていきます。徐々に、噴圧を高く、塗料も濃くして全体を仕上げます。1/43のカーモデルなんかでもこんな手法で塗装したりします。まあ、このあたりは感覚の問題なので、皆さんも試行錯誤してみてくださいね。下地にプライマーを使ったのはピカピカにしたプラに塗料の食い付をよくするためです。本当は無水エタノールや、超音波洗浄器などできちんと洗浄すればいいんですけどね。洗浄器は持ってないし。時間短縮のための裏技です。

で、突然キャノンの付け根にティッシュをまいてみたりして。



で、今回の成果はこれ。

なんだか特車二課に配属したいような雰囲気になってますが、ここからが塗装の本番です。
次回はドットマトリクス塗装編です。来週もアクセスお願いしますよ。質問なんかもあったらお寄せください。また、協力メーカーさんもまだまだ募集しておりますからね。
では、今回はこの辺で。次回も乞御期待!