ちまちまとディテールアップで下地完成編。「Zプラス」三回目。

はい、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回はZプラス三回目。


 前回に引き続き各部のディテールアップをしていきましょう。
「ディテールアップ」というと、何かカスタムパーツを付けたり新しいディテールを追加したり、といった風に考えている方も多いようですが、ディテールアップ=細かいところを改良する、という意味ですから、キットのデティールの緩いところに手を加えるというのも立派なディテールアップ。つまり、「基本的なディテールアップ」とは「パーツの接合面をしっかり消す」「埋まりがちな造作やスジボリなどを彫りなおす」といった作業が主になります。

特にこのZプラスのような古めのキットは、塗装順なども考えておかないと、組み立ててからは塗れないパーツも出てきます。
現在のガンプラのように「塗装してからでも組み立て分解自由」というのは確かにありがたいのですが、プラモデル全体で見ればそっちの方が少数派。そんなサービス満点なキットに慣れてしまうと今回のような地味な作業が面倒になったりして、腕も鈍ろうというものです。せっかく身に着けたスキルは磨いておかないと。何より、それなりの手間をかけた模型は出来上がった時の充実感が違いますから。なので、フレーム部分を先に塗っておいて、しっかりマスキングします。


マスキングを終えたら面処理をして、スジボリ部分を掘りなおし。こういった作業を全体に、延々と行います。模型の制作はそんな作業が殆んどです。言いかえれば、「どれだけ仕上がりの良い模型を作れるか」はそんな単純作業をどこまで飽きずに丁寧に続けられるかにかかっています。


とはいえ、そんな写真を延々と見せられても面白くないでしょうから、その辺りはまるっと省略して、Zプラスらしい追加ディティールを施した写真をひとつ。

はい、小さくて見えにくいかもしれませんが、胸パーツにお定まりのボーテックス・ジェネレーターを追加してみました。

使ったのは0.1mmの洋白版。東急ハンズで購入しました。キットパーツにアタリをとった後、幅0.15mm、長さ2mmほどのスジボリを深めに入れ、2mm幅に切った洋白版を接着してからフィンの形に成型しています。洋白版を使ったのは極薄でも強度が保て、加工が容易だからです。

アップだとこんな感じ。上手いこと塗らないと細かいところが埋まってしまいそう……。


続いて翼のプロペラントタンク接合部。キットのままだと3mmのダボで接続するようになっていますが、これだと外したときに穴が丸見えです。
あっ、写真のプロペラントタンク側の取り付けダボが切り取った後になってる。キットではここに3mmの出っ張りが付いてます。写真はダボを切り取った後、3mmの穴を開けたところです。

プロペラントタンクは、基本的に使い切ったらパージすると思うので(キットの接続部分もなんとなくそんなディティールになってます)、取り外したときにもそれなりに見えるようにしておきたい。でもあんまり手間はかけたくない。そこでお得意のネオジム磁石の登場です。

極性を間違えないようにタンクと翼に埋め込みます。使用したのは3×1.5mmネオジム磁石。接着は強度を考えてエポキシ接着剤を使いました。

タンクの接合部についている白いものはプラバンの細切りです。これを貼っておくとくっつけた後にクルクル回らなくなります。

まあ、たいしたディティールアップにもなってませんが、穴が開いているよりはいいかと。後は塗装で何とかしよう。

翼といえばもう一箇所気になる箇所が。変形したときのボディパーツとの接合部分がツルッとしてます。まあ、黒く塗ってしまっても良いんですが。

接合部金らしいディテールが欲しいなぁ、ということで元パーツの凹部分を削り取り、

そこに入れ込めるよう、こんなパーツを作ってみました。素材はプラバン、真鍮線、真鍮パイプ、0.1mm白洋版などです。

そして削り取った部分に入れ込むとこんな感じ。変形時には、ちゃんとロックされそうでしょ。

ついでと言っちゃあなんですが、背面パーツの裏側、後頭部の後もツルッとした感じなのでプラバンでディテールを追加。


さて、続いては変形用サブユニット。複雑な形状のためか、全体的に面が“ダル”っとしています。フレーム部分をマスキングしたらサンディング・スティックで面出しをバリバリとやっていきます。

面出し途中。

先端部のセンサー類は潔く切り落として、メタルパーツや真鍮線、パイプなどを使って作り直してしまいます。たぶんその方が早いと思ったので。アンテナ状の部分は1.2mmのパイプに1mm真鍮線を通し、先端に2mmのデュアルパイプを差し込んだもの。機首部分の2つのセンサーは基部ごと削り落としてプラバンで新造、先端に1mmの穴を開けてフラットモールド2mm1.5mmを差し込みました。パーツが黒いのは傷のチェックを兼ねて一発目のサフ(ガイアノーツサーフェイサーエヴォ ブラックを薄く溶いたもの)を軽〜く吹いた後だからです。

横から見るとこんな感じ。

さて、変形用サブユニットについているディスクレドームは3パーツ構成。

結構見せ場になりそうなパーツですが、やはりディティールがダルイ感じです。

ここも潔く削り取って金属パーツに変更します。

はい、こんな感じ。メタルパーツはこの後メタルプライマーを塗って塗装します。サイズなどは次回、完成編で。


背部スラスターはディティールを削っておいてBSバーニア ショート8mmを使用します。もう塗っちゃってます。アウターパーツはクリアーブラック、インナーパーツはブラックサーフェイサーで下地を作っておいてブライトゴールド、センターパーツの中心はブライトレッドイエローを調と混ぜて塗装しています。

ついでに足パーツにもちょっとしたディティールアップ。

1.5mmのデュアルパイプを埋め込みました。




さて、この辺でいつものコーナー

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今週の「遥かなるホワイト・グリント」


今回は足回りの工作写真をお見せしようと思います。

足のパーツは全部でこれだけ。結構なパーツ数です。まずはこの足回りの弱点から。

スネの両側に付くパーツなんですが、非常にヒケが多いので、しっかり処理します。こういう所の修正にはトラッドなプラパテが一番です。

足首先端のパーツやフィンなど、結構目立つところにパーティングラインがでてしまうのでしっかりとサンディング。

続いてスネの前側に付くブレード状のパーツを後ハメ加工します。左側がキットのままの足。

こんな形状に切り欠いておいて、

こんなふうに装着できるようにすると塗装も成型も楽チンです。

ヒザ関節も後ハメ加工。といってもダボを切り落としておいて組み立て時に接着するだけなんですけどね。

で、組み立てたのがこれ。


続いてはアキレス腱部分のシリンダー。

キットのままでは下側が止まっておらず、ブランブランしてます。

なので、変形させるとシリンダーの先端が飛び出しちゃったりします。


ここで登場するのがメタルシリンダー。今回はMサイズをチョイス。左の黒いのはキットパーツです。

カカトの白いパーツに2mmプラ角棒で取り付け基部を作り1.2mmの穴を開け、カットしたシリンダーのインナーパーツにスプリングを取り付けて差し込む。アウターパーツはキットパーツを根元部分でカットして差し替えるという作業です。

手法としてはクシャトリヤの碗部付け根に仕込んだときとほぼ同じです。こちらのほうはシリンダー同士の差し替えですからずっとスムーズに作業が進みます。過去記事を参考にしてみてください。

元と比べるとこんな感じ。

そして取り付けたのがこれ。可動もスムーズで満足満足。

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では今週はそろそろこの辺で。今回までの作業が済んだ「Zプラス」でお別れです。


全体の作業を終え、下地になる色を塗ったところ。塗装レシピはEX-ブラックEX-ホワイトで作ったグレーにブライトレッドサンシャインイエローなどを調子を見ながら加えていったもの。なので細かい割合は定かではない。すいません。



さて、来週はいよいよZプラス完成編。どんな色になることやら、来週も火曜日更新ですのでお楽しみに。

それでは次回も乞御期待!!!