地味な作業は続くよどこまでも。ライデン第三回目。

はい、今回も始まりました「やたら模型制作部」。

ゴールデンウイーク真っ只中。皆さんどう過ごしてらっしゃいますでしょうか。私はこの記事が公開される翌朝には有明のトレフェスに行っている予定。会場にいらっしゃる方は私に気づいたらやさしく声をかけてくださいね。くれぐれも罵倒などしないように。これでも結構気が弱いので。


さて、そんなことはどうでも良いので、ライデン二回目。早速参りましょう。


前回は基本工作編。そして今回は――――やっぱり基本工作編。地道な作業が続きます。

前回は前側だったので、今回は後ろ向きでね。



このキットに限らず見逃しがちなのがパーツ接合面の角。パーツのフチの部分にヒケがあると、組み立てた時に隙間が空いてしまいます。このキットのフトモモも一見大丈夫な感じですが

良く見てみると

隙間が空いてしまっています。こういうところはプラパテよりも強度のあるパテで隙間埋めをします。使用したのは瞬間クリアパテ。それなりの強度があるので、こういったところに向いています。

適量盛り付けて硬化剤を使って一気に成型します。写真は成型前に盛り付けた状態。この「適量」を盛り付けるコツは一旦小皿等にとってからパーツに付けること。くれぐれも直接ノズルから付けたりしないでください。失敗の元です。


クリアパテついでに肩レーザーの先端部分も尖らせておきましょう。これもパーツの先端にクリアパテを適量盛り付けて硬化剤を使います。

はい、こんな感じ。


続いては前回メタルシリンダーを使った足首の裏側です。

人間で言うならアキレス腱のところにシリンダー風のディティールがあります。ここもぜひディティールアップしたいところ。しかし、残念ながらこのサイズのシリンダーパーツが手元にありません。

そうなったら無いものは作るというか、何とかするというか、真鍮パイプと金属線でシリンダー風のディティールを作ってみたいと思います。まずは元パーツのディティールを潔く削り落としてしまいましょう。

ディティールを落としたパーツの上下に0.7mmの穴を空けます。

その穴に適度な長さに切った金属線とパイプを通すと

金属製シリンダーの出来上がり。実はこれ、ちょっとコツがありまして、文章で説明すると複雑なので図版を用意しました。





1)まずはディティールを切り取った状態のパーツの断面図。



2)ここに、使用する金属線より少し大きいドリルで穴を空けます。今回使ったのは0.6mmのステンレス線なので0.7mmのドリルを使いました。パーツを貫通しないよう注意しながら、ギリギリの深さまで穴を空けます。



3)反対側にも同じように穴を空けます。パーツの出っ張りが干渉して、若干斜めになりますが、そのあたりは気にしないでいきましょう。こちらは浅めで大丈夫です。ひとつのパーツに付き上下4個の穴を空けます。



4)こんな感じになればOK。ステンレス線を深いほうの穴に差し込んで、浅いほうの穴ギリギリになるように切り出しておきます。



5)切り出したステンレス線を深いほうの穴に差し込んで、適度な長さに切った真鍮パイプ(外径1mm/内径0.6mm)を差し込みます。



6)パイプを差し込んだままステンレス線を移動させ、もう一方の穴に差し込んで完成。このとき、金属線を多少曲げて取り付けるぐらいが丁度良い長さです。見た目で言えば洋白線の方が良いのですが、「曲げて戻す」事を考えてステンレス線を使いました。洋白は柔らかいので0.6mmくらいの線を曲げると元に戻らないんです。イメージとしては襖や障子の取付けといったところでしょうか。後は仕上がりが目立たない接着剤で各パーツを止めてしまえば大丈夫。低白化の瞬間接着剤をごく少量使うか、Gボンドを薄めて使うといいでしょう。


同じようなディティールがヒザの裏にもあるので、こちらも同様に作業します。

出来上がりはこんな感じになりました。




ここから後はディティールアップパーツの仕込みの準備や表面処理などをやっていきます。

胸の前面にある白いパーツは、バラしているときにパキッとやってしまったのでプラバンで新造。横側にはディティール埋め込みようの穴を開けました。



股関節パーツはマイナスのモールドを削り落とし、メタルマイナスモールドを仕込みます。結構見える部分なので絶妙のチラ見え具合になるはず。



各所のモールドの仕込み。ボールビットを使って埋め込み穴を開けていきます。

ホールリベットを埋め込み予定の穴は面取りビットを使って面取りをしておきます。

他の部分にもディティール埋め込み用の穴あけ。

バズーカのスコープ部分は後ハメ加工。


といった一連の作業が済んだら、塗装前のパーツ磨きに入ります。ここからはもう、ひたすら磨く磨く磨くの繰り返しです。今回は基本グロス仕上げで、と思っているので念入りに。

そんな作業を写真で見せられても、皆さんも面白くないと思うので、今回のライデン君はここまで。本当は写真に写ってない基本的な作業が一番多いんですけどね。


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さて、ここでちょっと寄り道。


当ブログの読者の方から、轟雷制作に使った「轟雷専用リベットテンプレート」の詳しい作り方を知りたいとのメールをいただきました。詳しくは過去記事「繰り返す作業は波に似て……。轟雷第二回目」を参照してください。写真で見るとこんなものです。


これを使ってキャタピラの転輪に等間隔のリベットを打つというものです。

テンプレートの設計図を書くとこうなります。


赤い線と外周の接する点に溝を掘ればいい訳ですね。円の切り取りはサークルカッターかポンチなどを使います。まあ、カッターのほうがきれいに仕上がると思います。あ、この作業をするときに真ん中の穴を切り取らないでください。確実に円の中心がわからなくなりますから。


さて、円の中心点から60°づつ計っていくと非常にずれやすく、正確に作るのは結構ハードルが高い作業です。そこで、簡単に円に内接する正六角形を作る方法を考えてみましょう。図が見づらい場合は画像をクリックして拡大してください。

1)まずは外周の直径1/2の大きさの円と、中心点を通過して円を二分する直線を書きます。今回は7mmの外周ですから3.5mmの円を書けばいいわけですね。
2)直線が外周と接する点から3.5mmの円の円周に接するように直線を引きます。
3)引いた直線の先、外周と接する新たな接点から、また内側の円に接するように直線を引きます。
4)3と同じ手順で直線を引くと円に内接する正三角形が出来上がります。
5)今度はこれまでの正三角形と逆にもうひとつ正三角形を作っていきます。


つまり正六角形は正三角形が2つ重なり合っているという事ですね。この手の作業に慣れている方は4と7の作業を飛ばしても大丈夫です。本当はもっと正確に正六角形を作る方法もあるんですが、10mm以下のパーツに使うには向いていません。経験上、このサイズではこの方法が一番早くて正確です。
ちなみに、この方法は正六角形と正三角形の場合にしか使えません。8角形の場合は内接する正方形を2つ、45°の差で作図すると簡単に作ることができます。これが5つとか7つになると結構厄介なので、PC上で図面を制作して、それにあわせて切り出したほうが正確で早いと思います。

こういった図学的な知識は模型制作に大変役立ちます。専門書なども出ていますので、機会があれば見てみると良いかもしれません。結構面白いですよ。

こんな感じで、少しは参考になりましたか?

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さて、ここで今週の「遥かなるホワイト・グリント」のコーナー。

いや、実は資料なんかを当たっていて殆んど進んでないんですけどね。一応写真も載せとこうという訳で。


はい、できてるのは腕一本だけ。「とりあえず仮組み始めました」ってとこです。どうもすいません。

このキット、各所に小気味良い、繊細なディティールが施されています。この手のキットは作るのは苦労するけど、出来上がったときの充実感は代えがたいものがあるんだよなぁ。よし、頑張ろう。


本当に「遥かなる」感じになってきた。しかし、資料を見てると作りたい欲が沸いてくるという困った中年モデラーです。また睡眠時間が少なくなる。

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といった感じで今週はここまで。
実はもうライデンの塗装に入ってます。これが中々厄介で、果たして次週完成できるのかという雰囲気になってます。一体どこまでできるか、皆さんもお楽しみに。

それでは次週も火曜日更新。乞御期待!