ライデン未完成! 天気とパーツ数とコンプに泣く、の巻き。

はい、皆様こんにちは。
ゴールデンウィークも終わり「仕事がいやだなぁ……」という方もいらっしゃるでしょうが、そんな時こそ模型で一息。今回もお楽しみください。


さて、前回までで基本工作と小改造が済みました。今回はいよいよ塗装にかかります。
塗装といえば下地から。実は先日の有明トレジャーフェスタで先行発売された、こんなものをゲットしてきました。

ガイアノーツサーフェイサー・エヴォ、ブラックとホワイトです。何でも高い隠ぺい力に加え、塗料に近い感覚で使える新しいタイプのサーフェイサーとの事。早速使ってみました。
私の場合、サーフェイサーをエアブラシで塗るには最低でも圧力0.1MPa、吐出空気量4ℓ程度の性能のコンプレッサーが必要です。これは0.5mmのブラシを使いたいがため。サーフェイサーは普通の塗料と比べて染料の粒子がはるかに大きいため、大きな口径のエアブラシが必要なのです。0.3mmでも塗れないことはないのですが、そうするともっと噴圧を高くしないときれいにサフが出ません。 先代のコンプレッサーがイカレてから、いまだにクレオスのプチコン(最高圧力0.085MPa、吐出空気量:3ℓ/min. 0.05MPa)を使っているので、ここの所サーフェイサーをブラシで吹くのは諦めていました。
が、しかし、これなら吹ける。これまでのサーフェイサーよりもずっと細かい粒子で吹けるので、プチコン&0.3mmエアブラシでも何とかなりました。大体ですが溶剤とサフ1:1に希釈して塗ったのが写真の状態です。

ちょっと見はフラットブラックのように見えますが、よく見るとサフ特有の粒子が伺えます。これならいけるという事で、外装の黒っぽい部分とフレームなどのグレー部分をサーフェイサー・エヴォ、ブラックで塗りました。写真は外装部分のサフ後です。


サフが乾くのを待って外装の黒っぽい部分の塗装をします。塗装レシピはガイアノーツで
EX-02 EX-ブラック90% + 013 ビリジアングリーン10% + 003 ブライトレッドごく少量
というところでしょうか。指定色ではずいぶんと緑っぽい黒なんですが、この後塗装する本体のレッドとの兼ね合いで、より黒っぽく調色しました。普通に見ていると黒なんだけど、強い光に充てると「あれ、これって緑?」位の感じです。レッドを少量入れたのは本体のレッドとの兼ね合いが良くなるように、全体の色調が整うようにという狙いがあります。本来、赤と緑は補色ですから、こんな配慮をしてみました。

成型色の色はこんな感じ。結構緑なんです。でも画面で見たときのイメージは黒っぽい感じがしたもんで、

こんな色に塗ってみました。ハイライトになった部分がグリーンに見えます。

あ、今回の塗装に使った塗料は全てガイアノーツ製です。番号もガイアノーツの番号ですから間違えないでくださいね。


はい、続いていよいよメインカラーの赤。
まずはサーフェイサー・エヴォのホワイトを1:1.5くらいの希釈率(結構薄め)で全体にさっと吹きます。

最初に白を吹いたのは全体的に傷をチェックするため。今回は光沢仕上げなのでちょっと慎重に。キズのチェックが終わったら、サーフェイサー・エヴォとブリリアントピンクを混ぜて作ったピンクのサーフェイサーで下地を作ります。

はい、きれいに乗ってますね。

なぜピンクにしたかというと、今回使う赤がこれだから。

ガイアノーツのGP-02 プレミアムレッドなんですが、この塗料、基本的にクリアータイプなので下地が透けます。塗装テストでホワイトを塗った上に重ねて見たんですが、ライデン君のイメージより若干朱色っぽい。そういう時は下地にちょっとだけ赤っぽい色を足してあげれば、塗料自体の発色を損ねることなく、より「濃い」感じの赤になります。これが、塗料自体に他の色、例えば普通の赤などを混ぜてしまうと、塗料の発色自体が落ちていきます。せっかくすごい発色の赤なので、それを活かそうというわけです。
おまけに、この塗装法ならではのいたずらをちょっと。

白サフを塗った後、ピンクサフを塗る前に一部だけマスキングをしておきました。ここにプレミアムレッドを塗り重ねていくと……
光の角度によってうっすらと透かし模様のようにバーチャロンマークが浮かび上がります。プレミアムレッドは普通のクリアー塗料と違い、完全な「クリアー」というわけではありません。普通のクリアー塗料は重ねれば重ねるほど色味が変化していきますが、プレミアムレッドは、ある程度まで塗り重ねると色味の変化が止まります。それを利用した「良く見るとわかる」というマニアックなお遊びです。

全体に赤を塗った状態は後ほど。実は下地のピンクが出来上がった後、いよいよ本体色を塗ろうとしたら雨が降ってきました。いつもなら多めにリターダー混ぜて塗っちゃうんですが、せっかくのプレミアムレッドに混ぜ物をしたくないなあ、という事で雨が上がるのを待つことに。これが後ほど事件を引き起こすのでした。


さて、天気も回復して本体色も塗った。
本体色の乾燥を待つ間に、他の部分もどんどん塗り分けていきましょう。

フレーム部のグレーは074 ニュートラルグレーIV 95% + EX-02 EX-ブラック 10%のものに006 フラットベースを加え、セミグロスよりちょっとフラットめのグレーで塗りました。


各部の金属色は121 スターブライトシルバー122 スターブライトゴールド123 スターブライトジュラルミン124 スターブライトブラス125 スターブライトアイアンで塗り分け。 一部ジュラルミン部分にはセミグロス気味のクリアーをかけて光沢を押さえてあります。


肩のレーザー「バイナリー・ロータス」内部のパイプ類にもちょっとしたお遊びを。指定ではフラットブラックですが、

接続部分にこんな感じの塗り分けをしてみました。

いや、それほど目立つ部分でもないんですが、説明書のハイエンドCGのイラストを見ていたらこんな塗り分けだったもので、つい。



そんなことをしているうちに本体色が乾きました。でもよく見るとあちこちに細かいブツブツが……。そうです、コンプの噴圧が低いため、気づかないうちに細かいダマが飛んでいたのです。泣く泣く1000〜1500番のサンディングスティックとサンドペーパーで修正しました。しかもこれ、パーツ数多いよっ! というわけで、ようやく組み立てたのがこちら。

良い赤でしょ。狙いどうりの色が出せました。というより、プレミアムレッドが良いんですけどね。
それでは各部のチェック。組みつけていないパーツがあるのは、外すときに塗装に傷が付きそうな部分があるためです。まずは小さいシリンダーを自作した部分。塗り分けでも良かったかなぁ、と思いつつも結構ハマッているので満足。

股関節のパーツは予想どうりのチラ見え具合。塗り分けに加えて、HiQpartsのリベットを多用しています。若干明るいように見えますが、後でスミイレ等をするので、今のところはこれでOK.

こっちのほうがわかりやすいかな?

足首部分もいい加減でチラ見え。メタルシリンダーが利いてます。レッド系、グリーン系、イエロー系という非常にいいマッチングに仕上がりました。

そして、腰部分もチラ見え。なんだか「チラ見えチェック」みたいになってるけど。この写真のように光量がない状態だと非常にシックな赤に、光が当たると朱赤に輝くという本体色に仕上がりました。


さあ、この後はデカール貼り。出来上がった模型にちまちまとデカールを貼りながら考えます。
「え〜と、デカールを貼りおわったら半日くらい乾燥させて、ある程度ばらしてからクリアーがけだな。乾燥する間に残りのパーツの塗り分けとライトパーツのディティールアップをして、乾燥した模型に全部パーツを組み付けて、そしたら撮影だな。え〜、大体3時間くらいかかるから、それから写真をチェックして、原稿書いて……。あ、だめじゃん!

そうです。時間切れです。デカールやクリアーコートの乾燥時間を短縮して載せられないこともないんですが、ここまでやったらきちんとした完成品を見ていただきたいという事で、今回の完成はあっさり諦めました。期待していてくださった皆さんごめんなさい
次週「完成編」では、これまで書かなかった小技をもうひとつ追加でお見せしますのでご勘弁を。




さて、そんな感じでいつものコーナー

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今週の「遥かなるホワイト・グリント」
さて、ライデン君の代わりというわけではありませんが、こちらは仮組みが済んでおります。
といってもざっとパチ組みしただけですけどね。

組んでみてわかったんですが、このキット、「良いキット」です。全体的なフォルムやディティールなどはもちろん素晴らしいのですが、最も良いのが「プラスティックキットとしての思い切り」。
足や腕など分割線は丸見え、一応スナップフィットなのに明らかに接着したほうが良いパーツも多数、組み方、塗り方を良く考えないとえらく面倒な作業になるぞ、という、最近のサービス満点のキットを組みなれた身には厳しい状況を提供してくれます。しかし、それを補って余りある立体物としての充実感。パチ組みならパチ組みなりの、徹底的にやればやるだけの充実感を与えてくれるはずです。こういうキットはモデラーを成長させてくれます。これ、名作です。多分。

特徴的な頭部付近は細かいディティールが頭の後まで続いています。

さらに特徴的な背面ブースターは差し替え無しで展開が可能。展開すると写真に撮りにくいくらいデカイ。

脚部は意外とヒーローっぽいというか、その手の「ケレン味」が感じられるデザインです。

胸部などは特にそうですが絶妙に人型を外したデザイン・ラインが美しい。

このキット、本当は何年もかけて気の済むまで弄繰り回して完成させたいタイプの模型です。どうやら再販もされるようなので、皆さんも手に入れておいて損はないと思いますよ。

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さて、そんなこんなで、次回はいよいよライデン完成編。次週も火曜日更新です。
乞御期待!