リクエストにお答えして、「HGUCサザビー」一回目。

はい、皆様ご機嫌いかがですか。
ここのところ脅威の忙しさで模型を作り続けていたわたくし線香亭。おかげで前回更新のはずのホワイト・グリントに手が着けられず、といった事態が生じていたわけですが、ここに来てやっとひと段落。お詫びの印にどんなものを作っていたのかちょびっとだけ公開しましょう。

はいPCfan誌に連載中の「ガンプラ・クロニクル」に掲載予定のMGジオングです。今回はこのジオングを中心に……
じゃなくて新ネタです。



はいこちら、HGUCサザビー
シャアの乗る最終兵器つながり、というわけではありません。実はある方から、ぜひこのBlogでやって欲しいというリクエストをいただきまして、恥ずかしながらお答えしようという訳です。皆様、しばらくHGUCサザビーでお付き合いのほどを。


ということで、早速仮組み。MG2体同時進行をやった後だと、HGUCがやけにスイスイと組めたりします。


三面はこんな感じ。

設定画と見比べると、結構スリムな印象です。
なかなか悪くありませんが、やはり気になるところがちらほらと。細部を見ていきましょう。





意外とシンプルな頭部ですが、首の取り付け位置がよろしくありません。妙に前のめり気味で、隙間が空きすぎています。動力パイプも差し替えかな?



碗部、脚部の関節は実にあっさりと処理されていますのでディテールアップのしどころです。腕の形状もちと気にかかるなぁ。



腰部アーマーのディテールの間の取り具合や、胸のでっぱりとの兼ね合いなど、ちょっと変えてやると良くなりそうです。



ノーマルで組むなら処理が一番面倒そうなバーニア類。ランドセルに3つ、腕一本に付き3つ、サイドスカートに3つ、写真に撮り忘れましたが脚部フェアリング内に4つづつ、合計23個のバーニアがくっついています。



ディテールアップ・ポイントとして忘れちゃならないのがこういう姿勢制御用バーニア。全部含めると一体いくつになるのやら。



さらに、スカート部分の露出メカやファンネルコンテナ、武器類など、今回も手を入れるところがてんこ盛りです。
手間はかかりそうですが、手を入れれば入れるだけ見栄えがしそうなキットです。次回より本格制作にかかりますのでご期待のほどを。




で、今週はちょいと新企画で、質問にお答えするコーナーを作ってみました。
実はメールで結構な数のご質問をいただいているのですが、記事内ではなかなかお答えできなかったりしますので、ひとつまとめてお答えしようという趣向です。
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まずは愛知県の高校生の方からのご質問。ご本人に掲載許可をいただいているわけではないので私が要約しますね。Q&A方式で書きますので敬称略で失礼します。
Q.「自分は手先があんまり器用じゃないのですが、プラモデルを作ることができますか?」
A. はい、できます。絶対できます。必ずできます。説明書のとおりきちんと順番に組み立てていけば必ず完成するのがプラモデルのいいところです。もし途中でめんどくさくなったら、ちょっと時間を置いて続きを組み立ててください。パーツを無くしてしまったり、壊してしまったりしたらメーカーさんのサービスで取り寄せることができます。とにかく最初のうちは考えるよりも先にやってみることです。もしそうやってできた完成品が自分の理想のものと違っていたら、どこが違うのか、どうやったらより理想に近いものが出来上がるのか、よく考えてみてください。そんなことに慣れてきたら改造や塗装にチャレンジしてください。このブログはそういう時の手助けになればよいなぁ、と思って運営しています。
同じような質問で「どうしても作っている途中で面倒くさくなって投げ出してしまうのですが、どうすればいいでしょうか?」といったご質問もいただいています。え〜、自分も作っている最中は面倒くさいなぁ、と考えていることが多いです。いつも「こういう仕上がりが欲しいので、これはやっておかないとなぁ」という部分とのせめぎ合いです。それが「面倒くさい」に勝ったときには、それなりに満足のいく仕上がりになりますし、そうでないときには「残念な心持」になることが多いです。きっと、「模型」という趣味はそういった部分も含めて「どこかに辿り着こうとする過程」を楽しむものなのではないかと思います。ただコレクションを増やしたいのなら良くできた完成品が沢山売ってますから。でも、たとえ仕上がりが上手でも下手でも自分で作った、ひとつだけの完成品には特別な愛着があります。それは、初めてプラモデルというものを作った7歳のときから変わりません。だからいまだに模型作りをやめられないのかもしれませんね。


さて、続いてのご質問。
Q.「自分はバーニアなどのメタルパーツを使うことを良しとしません。どうしてそのようなメタルパーツを使うのですか?」

A. この方、なぜメタルパーツを使うことを良しとしないのかを書かれていないので本意が定かではありませんが、メタルパーツって嫌いだな、という方は使わなくても全く問題ないと思います。
ほんのちょっと前まではこういったパーツが市場になかったので、みんなキットパーツを改造したり、良くできたキットから流用したりするのが普通でした。MSVの高速機動型ザクなんていうのはその代表格で、バーニアだけ流用されて胴体だけになったキットが2〜3個、押入れで眠っていたものでした。バーニアだけでなく、動力パイプやリベットなどでも、専用パーツがなかったころには虫ピンの頭を流用したり、市販の部材で流用できそうなものを使っていました。自分は六角のリベットが打ちたくて伸ばしランナーを六角柱に削り、その輪切りでリベットを再現したりしたこともありました。でも、そういったパーツが作られているのなら、それらを利用するのも方法論のひとつだと思うのです。
例えば今回のお題の様にバーニア類が全部で23個以上もくっついている模型を作るときに、全てのキットパーツの加工を手動でするより、条件が許すのならば市販パーツで置き換えて作業を減らしておいて、その分、塗装や他のディテールアップに時間を割いたほうがいいんじゃないのかな、と考える訳です。技術的に考えても、複数のバーニアパーツのフチを全く同じように加工するのは難しい、という方もいらっしゃるでしょう。そういった方には大きな助けになるのではないかと思います。また、「バーニアのフチなんか厚くったって全然気にならない」という方は、それでも全くかまわないと思います。
確かにメタルパーツの金属地丸出しというのを嫌う方も多いようですが、それならば塗装してしまえば良いこと。「そういったパーツは市販品だから個性がない」と、どこかで書いていたプロモデラーさんがいらっしゃいましたが、それならば市販品のインジェクション・モデルを使っている時点で同じことです。「改造していない模型は認めない」という乱暴な論理に発展しかねない。
模型趣味の良いところは、上手い人は上手いなりに、そうでない人はそれなりに、どんな人でもやる気さえあれば物作りを楽しめる、という所にあるのだと思うのです。まあ、バーニアにしろ何にしろ、その模型の中の1パーツでしかないのですから、それが使ってある、無しで模型の良し悪しは判断できないでしょう。問題はそういったパーツをいかに違和感なく使えているか、という所になるのではないかと考えます。答えになってますかね? というか自分の模型がそうじゃないならどうもすいません、ってとこですが。


さて、続いてはこちら。
Q.「塗装がどうしても上手くできません。どうすれば上手くなりますか?」

A. これは永遠の課題ですね。ええと……基本的なことを書くと、塗装が上手くいかないと感じる大まかな原因は2つあると思われます。ひとつは調色が上手くいっていない事。自分の理想とする色が出せていない場合ですね。もうひとつは塗り方自体が上手くいかない場合。例えばエアブラシの使い方が上手くいかないとか、筆の使い方が云々とかいう事です。
調色に関しては非常に色んな考え方があって一概に言えないのと、色の仕組みを書き出すと、それだけで3回連続の特集を組まなきゃならないくらい面倒なので簡単には言えないのですが、自分の場合、これだけは確かだというのは「その模型に塗る全部の色をあらかじめ作っておいて、それを実際にテストで塗ってみて配色の具合を確かめる」という事です。自分も配色で「こりゃ失敗した」と思うときは後付で配色した色がある場合が非常に多い。色彩感覚の非常に優れた人ならそんなこともないのでしょうが、どうも凡人の自分はそういう方法をとらないと上手くいきません。
さて、道具の使い方が上手くいかない場合ですが、これはもう経験を積むしかありません。エアブラシでも筆でも塗料の濃度、塗装順、塗料の含ませ具合など、色々と試していくことで経験を積んでください。実際にモデラー同士でも、同じような仕上がりを得るのに極端に異なった方法で塗装していることを発見して驚いたことがあります。でも、お互い仕上がりはきっちりしているので何の問題もない訳です。
と、こういうことばっかり書いていると答えになってないので、自分なりの経験を書いておくと、まず、エアブラシ塗装の場合、「上手くいかない」という人はたいてい塗料が濃い場合が多いように思います。エアブラシの塗料が薄すぎても数回に分けて吹き重ねることでフォローできますが、濃すぎるとまともに吹けません。それとエアブラシ塗装の場合、筆塗りと比較して、より気温と湿度に大きな影響を受けやすいです。自分の場合、目安として気温は18度以上、湿度は30%以下になるよう塗装環境に注意しています。もしそのような条件が整わない場合は、塗料にリターダーを混ぜる、ドライヤーを使う、などの対策をして塗装しています。
筆塗りの場合はより経験がモノをいいます。筆塗りが上手い人は本当に上手。そういう人にコツを聞いてみると、やはり塗料の濃度や筆への塗料の含ませ具合、といった答えが返ってくることが多いです。まあ、自分も筆塗りはあまり得意じゃないので精進します、ってとこですが。
色の仕組みに関しては一度じっくり書いてみたいと思います。たぶん。そのうち……。



さて、いただいた質問の中で、最も基本的だと思われる3点についてお答えしました。何かの参考になりましたでしょうか? 今後もご質問、どしどしお待ちしておりますので、ご遠慮なく。


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さて、この辺でいつものコーナー

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今週の「遥かなるホワイト・グリント」

さあ、前回はお休みしてしまいましたが、今回はちゃんとやりますよ。

今回は「腕」。

右がキットを組んだもの、左はばらした状態。

まずは合わせ目消しから。

この腕の先端の蛇腹っぽいところがヒケていて結構厄介です。結局、プラパテで段差を修正しました。この後、全体的にモールドの彫り直し、面処理などを行っていきました。


肩パーツのスラスター? 部分はそっけない雰囲気だったので削り落としてデュアルパイプ3mmに変更。先端部にある○モールドは1.5mmに開口しました。



組んでみるとこんな感じ。裏側にはもう2箇所、同じようなモールドがあるので開口して2mmのデュアルパイプを埋め込み。メタルパーツの接着に関しては色んな方法があるのですが、最もポピュラーなのはコニシのGボンドをエナメル塗料用の溶剤で希釈して使うという方法です。Gボンドを買うときにはメーカーに注意してください。前に100均で同じようなボンドを買ったら溶剤成分が異なっていて全く希釈できないという事がありました。「コニシのGボンド」ですからね。

強度の必要がないところでは手芸などで使われるこんな接着剤を使ったりもします。粘度の低い木工用ボンドみたいなものですが、木工ボンドより、気持ち金属への接着力が高いようです。また、低白化の瞬間接着剤なども使います。自分の場合、強度の必要のないところでの一番の取り付け方法は「ギュッ」と押し込んで接着剤を使わなくてもそのまま固定できるよう取り付け穴を調整することだったりします。たまに、いつの間にか抜け落ちていて参ることもあるんですけどね。まあ、適材適所、状況に応じて使い分けてください。



そして組み立てるとこんな感じ。

右がキットのまま。左が改造後。殆んどいじってませんがそれなりの充実感。

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さてさて、それでは今週はこの辺で。コメント、ご質問もお待ちしております。次週も火曜日更新。
それでは来週もサービス! サービス!!

じゃなかった。乞御期待!!