ちまちまとディテールアップで下地完成編。「Zプラス」三回目。

はい、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回はZプラス三回目。


 前回に引き続き各部のディテールアップをしていきましょう。
「ディテールアップ」というと、何かカスタムパーツを付けたり新しいディテールを追加したり、といった風に考えている方も多いようですが、ディテールアップ=細かいところを改良する、という意味ですから、キットのデティールの緩いところに手を加えるというのも立派なディテールアップ。つまり、「基本的なディテールアップ」とは「パーツの接合面をしっかり消す」「埋まりがちな造作やスジボリなどを彫りなおす」といった作業が主になります。

特にこのZプラスのような古めのキットは、塗装順なども考えておかないと、組み立ててからは塗れないパーツも出てきます。
現在のガンプラのように「塗装してからでも組み立て分解自由」というのは確かにありがたいのですが、プラモデル全体で見ればそっちの方が少数派。そんなサービス満点なキットに慣れてしまうと今回のような地味な作業が面倒になったりして、腕も鈍ろうというものです。せっかく身に着けたスキルは磨いておかないと。何より、それなりの手間をかけた模型は出来上がった時の充実感が違いますから。なので、フレーム部分を先に塗っておいて、しっかりマスキングします。


マスキングを終えたら面処理をして、スジボリ部分を掘りなおし。こういった作業を全体に、延々と行います。模型の制作はそんな作業が殆んどです。言いかえれば、「どれだけ仕上がりの良い模型を作れるか」はそんな単純作業をどこまで飽きずに丁寧に続けられるかにかかっています。


とはいえ、そんな写真を延々と見せられても面白くないでしょうから、その辺りはまるっと省略して、Zプラスらしい追加ディティールを施した写真をひとつ。

はい、小さくて見えにくいかもしれませんが、胸パーツにお定まりのボーテックス・ジェネレーターを追加してみました。

使ったのは0.1mmの洋白版。東急ハンズで購入しました。キットパーツにアタリをとった後、幅0.15mm、長さ2mmほどのスジボリを深めに入れ、2mm幅に切った洋白版を接着してからフィンの形に成型しています。洋白版を使ったのは極薄でも強度が保て、加工が容易だからです。

アップだとこんな感じ。上手いこと塗らないと細かいところが埋まってしまいそう……。


続いて翼のプロペラントタンク接合部。キットのままだと3mmのダボで接続するようになっていますが、これだと外したときに穴が丸見えです。
あっ、写真のプロペラントタンク側の取り付けダボが切り取った後になってる。キットではここに3mmの出っ張りが付いてます。写真はダボを切り取った後、3mmの穴を開けたところです。

プロペラントタンクは、基本的に使い切ったらパージすると思うので(キットの接続部分もなんとなくそんなディティールになってます)、取り外したときにもそれなりに見えるようにしておきたい。でもあんまり手間はかけたくない。そこでお得意のネオジム磁石の登場です。

極性を間違えないようにタンクと翼に埋め込みます。使用したのは3×1.5mmネオジム磁石。接着は強度を考えてエポキシ接着剤を使いました。

タンクの接合部についている白いものはプラバンの細切りです。これを貼っておくとくっつけた後にクルクル回らなくなります。

まあ、たいしたディティールアップにもなってませんが、穴が開いているよりはいいかと。後は塗装で何とかしよう。

翼といえばもう一箇所気になる箇所が。変形したときのボディパーツとの接合部分がツルッとしてます。まあ、黒く塗ってしまっても良いんですが。

接合部金らしいディテールが欲しいなぁ、ということで元パーツの凹部分を削り取り、

そこに入れ込めるよう、こんなパーツを作ってみました。素材はプラバン、真鍮線、真鍮パイプ、0.1mm白洋版などです。

そして削り取った部分に入れ込むとこんな感じ。変形時には、ちゃんとロックされそうでしょ。

ついでと言っちゃあなんですが、背面パーツの裏側、後頭部の後もツルッとした感じなのでプラバンでディテールを追加。


さて、続いては変形用サブユニット。複雑な形状のためか、全体的に面が“ダル”っとしています。フレーム部分をマスキングしたらサンディング・スティックで面出しをバリバリとやっていきます。

面出し途中。

先端部のセンサー類は潔く切り落として、メタルパーツや真鍮線、パイプなどを使って作り直してしまいます。たぶんその方が早いと思ったので。アンテナ状の部分は1.2mmのパイプに1mm真鍮線を通し、先端に2mmのデュアルパイプを差し込んだもの。機首部分の2つのセンサーは基部ごと削り落としてプラバンで新造、先端に1mmの穴を開けてフラットモールド2mm1.5mmを差し込みました。パーツが黒いのは傷のチェックを兼ねて一発目のサフ(ガイアノーツサーフェイサーエヴォ ブラックを薄く溶いたもの)を軽〜く吹いた後だからです。

横から見るとこんな感じ。

さて、変形用サブユニットについているディスクレドームは3パーツ構成。

結構見せ場になりそうなパーツですが、やはりディティールがダルイ感じです。

ここも潔く削り取って金属パーツに変更します。

はい、こんな感じ。メタルパーツはこの後メタルプライマーを塗って塗装します。サイズなどは次回、完成編で。


背部スラスターはディティールを削っておいてBSバーニア ショート8mmを使用します。もう塗っちゃってます。アウターパーツはクリアーブラック、インナーパーツはブラックサーフェイサーで下地を作っておいてブライトゴールド、センターパーツの中心はブライトレッドイエローを調と混ぜて塗装しています。

ついでに足パーツにもちょっとしたディティールアップ。

1.5mmのデュアルパイプを埋め込みました。




さて、この辺でいつものコーナー

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今週の「遥かなるホワイト・グリント」


今回は足回りの工作写真をお見せしようと思います。

足のパーツは全部でこれだけ。結構なパーツ数です。まずはこの足回りの弱点から。

スネの両側に付くパーツなんですが、非常にヒケが多いので、しっかり処理します。こういう所の修正にはトラッドなプラパテが一番です。

足首先端のパーツやフィンなど、結構目立つところにパーティングラインがでてしまうのでしっかりとサンディング。

続いてスネの前側に付くブレード状のパーツを後ハメ加工します。左側がキットのままの足。

こんな形状に切り欠いておいて、

こんなふうに装着できるようにすると塗装も成型も楽チンです。

ヒザ関節も後ハメ加工。といってもダボを切り落としておいて組み立て時に接着するだけなんですけどね。

で、組み立てたのがこれ。


続いてはアキレス腱部分のシリンダー。

キットのままでは下側が止まっておらず、ブランブランしてます。

なので、変形させるとシリンダーの先端が飛び出しちゃったりします。


ここで登場するのがメタルシリンダー。今回はMサイズをチョイス。左の黒いのはキットパーツです。

カカトの白いパーツに2mmプラ角棒で取り付け基部を作り1.2mmの穴を開け、カットしたシリンダーのインナーパーツにスプリングを取り付けて差し込む。アウターパーツはキットパーツを根元部分でカットして差し替えるという作業です。

手法としてはクシャトリヤの碗部付け根に仕込んだときとほぼ同じです。こちらのほうはシリンダー同士の差し替えですからずっとスムーズに作業が進みます。過去記事を参考にしてみてください。

元と比べるとこんな感じ。

そして取り付けたのがこれ。可動もスムーズで満足満足。

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では今週はそろそろこの辺で。今回までの作業が済んだ「Zプラス」でお別れです。


全体の作業を終え、下地になる色を塗ったところ。塗装レシピはEX-ブラックEX-ホワイトで作ったグレーにブライトレッドサンシャインイエローなどを調子を見ながら加えていったもの。なので細かい割合は定かではない。すいません。



さて、来週はいよいよZプラス完成編。どんな色になることやら、来週も火曜日更新ですのでお楽しみに。

それでは次回も乞御期待!!!

ちょっとした改造のつもりが大仕事の巻。「Zプラス」二回目。

はい皆様、一週間のご無沙汰でした。久々のガンプラZプラス」も二回目。早速参りましょう。


さて、前回は目に付いたところを気の向くままに弄くったりしていましたが、今回の中心は「足」。脚部の改造とディティールアップを中心にお送りします。

さて、まずはヒザ後の動力パイプのあたりから。

この部分、ポリパーツにメッシュ・チューブをかぶせるという中々凝った作りになっているのですが、全体的な造作がちとあっさりしすぎているような気がします。そこでパイプ基部のディティールアップとメッシュ・チューブの変更をしようと思います。

ヒザパーツはこんな構造になっています。まずはパイプの取り付け基部から。

パイプ取り付け部に金属パーツを使うため、元パーツのディティール部分を潔く切り落とします。モーターツールでざっくりと削り落とした後、サンディングスティックで面を整えておきます。



パイプの基部に使うのはHiQpartsのパワーパイプ4mm。ここで問題になるのが上側の取り付け部分です。下側よりも幅が狭いため、そのまま取り付けると変形に支障が出そうです。



そこでメタルパーツ同士の接触面をヤスリで削ることにしました。



アルミ製なので金工用のヤスリを使うと簡単に削ることができます。写真は愛用の彫金に使うヤスリ。ホームセンターなどで入手することができます。プラ用のヤスリを使うと中々削れない上、道具を傷めてしまうので注意が必要です。


さて、キット付属の黒いメッシュ・チューブの代わりに使うのが、このメッシュチューブ 約2.3mm。本体色との兼ね合いを考えて白に変更します。センチネル初出のZプラスも白いチューブだったのでそのあたりも意識して。


そして組み立ててみたのがこれ。組み付けた写真は後でね。




このあたりで、前回載せた写真をボーっと見ていて何となく気になってきたのが、なんだかポーズが決まっていないぞ、という事。いや、正確に言うと決まってないというより、微妙な違和感がある。なんだ? どこがおかしいんだ? そこで、ボーっと見るのはやめてしっかりと見直しました。

ああ、そうか、と判明したのがヒザ関節の可動部分。センチネルの作例ではヒザ上部分のパーツが横に回転するようにできていました。旧/144キットでもヒザ上の関節を新造するのが定番工作になっていたほど。このキットではその部分が固定されているので妙に爪先だけが開いている感じに見えてしまうのです。しばし悩みましたが新しく可動部を作ることにしました。


元のパーツはこんな風になっています。これをあっさりと切り離します。



はい、こんな按配。フトモモのフレーム部分に3mmのポリキャップを挟み込み、ヒザ上のパーツは外装ともども接着して接合面に1mmプラバンを貼ります。ヒザ上パーツが1mm延長されたことによりパーツの面取りが微妙になるので0.5mmプラバンを貼り付けて形状を調整します。フトモモ部分のポリキャップの位置を確かめてヒザ上パーツに印を付けておき、3mmの穴を開けてプラ棒を接着したら新造関節の完成です。簡単に書いてますがわりと手間のかかる作業でした。あんまり一所懸命だったので写真撮るの忘れちゃった。その代わりといっちゃぁなんですが出来上がりの写真をじっくり見てください。



実はヒザ上のフレーム部分は変形時の強度を確保するためネジ止めになっています。どっちにしろ関節部分を接着してしまうので、先ほどメッシュ・チューブを差し替えた部分は先に塗装しておかなければなりません。なので塗装の保護も兼ねてマスキングがしてあるんですね。
で、組み付けるとこうなります。

ヒザ上パーツの面取りがよくわかるカット。



さて、続いての作業。
元パーツの分割の都合上、スネの中身も先に塗装しておかないと接合部の接着線が消せません。

なのでスネの中身を先に塗装しておきます。ついでに塗れるフレーム・パーツも塗ってしまえ。

フレーム部分の塗装はガイアノーツEX-ホワイト65%+EX-ブラック35%にフラットベースを入れたもの。雨上がりで、塗装時の湿度が高かったので若干リターダーを混ぜています。ガイアカラーの無彩色の特徴は、殆んど色味のない純度の高いグレー。いわゆるクール系のグレーというヤツですが、本体色にウォーム系のグレーを使ったりするとうまく対比が出て、全体を引き締めてくれる効果があります。



おっと忘れてた。塗装前にスネ部分の細かいパーツを加工しておきます。

スラスター内部のフィンを薄く加工。右が加工前、左が加工後。



そのカバーパーツも面出しと同時にシャープな形状に削りだします。右が加工前、左が加工後。


フレームの塗装が乾く間に細かい部分を塗装しておきます。スネの外装を接着してしまうと大半が見えなくなってしまうので、露出する部分をワンポイント的に塗っておきます。暗いメタリックはスターブライトアイアン、金色の部分はスターブライトゴールド。白い部分はEX-ホワイトサンシャインイエローを一滴入れたものにフラットベースを加えたもの。


はい、スネのフレームが見られるのはこれが最後。

せっかくなのでディティールアップしたメッシュ・チューブ部分もね。これは完成後でも見えるけど。



そして外装を接着したのがこの写真。おお、足ができたぞ足が。すっきりスマートに開脚.

あ、書き忘れてましたが足の先端部の青いパーツは底が広く、断面が台形だったのでなるべくスリムになるようポリパテで裏打ちして削り込んでいます。






さて、この辺でいつものコーナー

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今週の「遥かなるホワイト・グリント」


ホワイト・グリント本体は今だ表面処理格闘中。意外とヒケが多く、曲面も多いので苦戦中です。
で、今回の写真はディティールアップに使うパーツの選定風景です。
その作業に必須なのがノギス。

これが無いと細かい寸法が測れません。ざっくりと取り付けても差し支えないパーツなら定規でも用は足りるんですが、コンマ数ミリでクリアランスが取れるか取れないか、といった寸法取りには必要な道具です。



ノギスで元パーツを計っていきます。自分が使っているのはアナログなタイプですが、最近ではデジタルノギスなども多く出回っていますのでそちらを利用するのも良いでしょう。はっきりいって計測数値が表示されるデジタルのほうが便利です。自分の場合は、もう10年以上も使っている道具なので手放しがたいだけです。
バーニア類の計測は直径と長さを測っておかないと、せっかくつけたパーツが全く目立たないとか、反対にやけに目立ってしょうがないとかいう事が起こりますからご注意を。



こんな所もディティールアップポイント。

グリント本体はそれほどバーニアも多くないのでたいした手間ではないのですが、

VOBは大変。こんなとこにもあったのか、というほどバーニアだらけ。

ディティールアップするのはバーニアだけとは限りません。こんな所にもいじりたいディティールが。

ディティールアップは始めるとキリがありません。気が付くとキットが芯にしかなっていなかったり、完成しなかったりという事が起こりがちです。作り始める前に「この辺でやめておこう」という大人の判断がないと『完成しない症候群』になりがちですから注意が必要です。

寸法が採れたらメモしておいて、ディティールアップ・パーツの選択を開始。目安が付いたら発注、という事になるのですが、今回もHiQpartsさんにご協力をお願いしました。毎度ご協力ありがとうございます。使用するパーツはこのコーナーで随時お知らせしていきますね。

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さて、ちょっと弄くるだけの予定だったZプラス。気が付けば関節まで作ってるという泥沼パターンに陥りかけてますが、心持としては満足してます。いいんです。これで。たぶん……。


さて、次回は細かいディティールアップや外装の塗装準備にかかります。次週も火曜日更新。ご質問やコメントもお待ちしておりますよ。
それでは次回も乞御期待!!

久々のガンプラ。ちょっと前のキットを作ってみる。「Z plus」第一回目。

はい、皆さんいかがお過ごしですか。
都内では真夏日を記録したり雨が降ったり、天気が読みきれず、塗装などしにくい状態になっております。


そんな天気にもめげず、今回から新しいお題です。


ジャーン。前回の予告どおり久々のガンプラバンダイのMG「Zプラス C1型」です。
なぜ「Zプラス」なのかというと、たまたま手元にあったから。例によってちょこっと弄くったまま放り出してあったものです。
 こんな感じで。
これ、個人的に非常に思い入れの深い、フェイバリットと言っても良いMSなので、この際オリジナルカラーリング&ちょっとだけオリジナル設定で完成させてしまおうという趣向でございます。皆様、Zplusでしばらくお付き合いのほどを。



で、いきなり仮組みしたのがこちら。

このZプラス、いわずと知れた『ガンダム・センチネル』(モデル・グラフィックス誌連載、1987年9月〜19907月年)に登場する可変MSです。Zガンダムの量産機としてあさのまさひこ氏、カトキハジメ氏によりデザインされ、センチネルでは主役機Sガンダムの随伴機として活躍しました。MG化にあたってリファインされ、各部のバランスやディティールが色々と異なっています。
三面で見るとこんな感じ。

センチネル連載当時の画稿と比べると足首から下は幅が大きくなっており、頭部もスクェアな印象です。胸の面取りやフトモモ付け根のムーバブル・フレームも異なった形状となりました。

これにサブフライト・ユニットを付けるとこんなになっちゃいます。
 長いよっ!

 変形しても長い。
センチネル連載時より、全体に重量感のある印象になっていますが、これはこれで悪くない。なので気になるところだけ弄繰り回してみようと思っています。


まず気になるのは頭。

実際に昔の設定画と比べてもそんなに大きくないのに、妙に頭でっかちに見える。そしてもうひとつの問題はここ。

頭部のアンテナとセンサーは変形用の可動式のものとMS形態用の固定式のものが付属しているのですが、可動式のアンテナは軟質ポリでパーツ化されているためシャープさに難がある上、塗装ができません。そういう時は同じ形のパーツをプラバンで作ってしまいます。

はい、こんな感じ。途中写真が無いのは昔加工したパーツだから。でも、作り方は簡単です。元のパーツを1mmプラバンに貼り付けて切り出し、ベースを作ったら、ディティールの部分を0.5mmプラバンで作って貼り付け、ヤスリで成型するだけ。やってみると意外とお手軽です。
それを装着するとこんな風になります。

ちゃんと可動もします。実際に仮組みして、干渉せずに変形するか、確かめながらの作業になります。これで色が塗れる。


ついでに、頭の前方部分が小さくなるよう削り込みます。

先つぼまりに見せるため、特に頬部分のパーツは薄く削りこんであります。上の写真と比べると、結構小顔になってます。
バルカンは後ほどHDバルカン 1.8mmを使う予定です。



ウデ部分は、これも前に加工してあったもの。若干ディティールが緩かったので、面出しのときに削り落としておいて、後で0.3mmプラバン等で作り直しました。


続いて気になったのはウイングバインダーの羽の部分。なんか作る順番が「目に付いた順」になってるけど。

分割も良く考えられていて中々良いんですが、パネルラインがちと気に食わない。一部をパテで埋めてガイドテープを使い、スジボリを追加します。ついでに翼端灯の部分も削り取って透明ランナーで作り直します。

上がキットのまま、下がスジボリ追加後。後でもう少し追加するかも。
そして翼端灯の作り方。

透明ランナーを削って翼端灯の形に切り欠いた翼の先端に接着します。瞬着などで付けると曇りが取れなくなることがあるので、接着には普通のプラ用の溶剤系の接着剤を使います。接着剤が完全に乾いたらヤスリで削り、元の翼の形になるよう成型します。エアモデルではよく使う手法です。私の場合、サンディングスティックの320番から始め、1500番まで番手を飛ばさずにかけていきます。写真は1000番位までざっとヤスった状態。




後は加工テストも兼ねて目に付いたところをちょこちょこと。

このあたりのパーツは意外とヒケが多いので念入りにサンディングします。



背中のパーツは面出しと同時に先端部のC面をなくす作業を。意外と目立つ場所です。プラバンを貼り付けておいてヤスリで成型します。



プロペラントタンクなどの円筒形のパーツは意外と合わせ目が消しにくいので、瞬間クリアパテを合わせ目に盛り付け、成型していきます。



このキットの盲点は各フレームパーツの処理。見えないから大丈夫だと思っていても、変形させると意外なところにフレームが露出したりしますので、念入りにチェックしてパーツ処理しておきます。



他にも気になるところはあります。

プロペラントタンクの取り付け部やウイングバインダーの接合部など、意外とあっさりしているのでディティールが欲しいところ。



スネ部分はZplus A1型と共通なため、ど真ん中から分割されています。こりゃぁ中を塗ってから接着するしかなさそうだな、とか、



背部スラスター基部は一体成型のためディティールが緩いので、何とかしなきゃな、とか。2002年2月発売のキットなんで、それなりの手間はかかりそうです。

まあ、課題は色々ですがこれからこれから。




さて、この辺でいつものコーナー

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今週の「遥かなるホワイト・グリント」

と言っても現在面処理と同時にディティールアップの検討中。つまり絵的には先週とあまり変わっていない状態です。それじゃぁあんまり面白くないのでVOBの方を見ていただこうかと思います。

箱絵はグリントと同系統のデザイン。


仮組み状態がこちら。

おお、なんだか宇宙っぽい。

繊細なディティールと大胆なフォルムで、これだけでも十分絵になります。塗装栄えしそうだし、グリントに取り付けるのが楽しみだ。

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さて、では今週はこの辺で。地味な作業が続きますが、来週も火曜日更新。コメントもどしどしお待ちしておりますよ。
それでは次回も、乞御期待!!

グロス仕上げはつらいよ〜ライデン完成編〜。

はい、皆様一週間のご無沙汰でした。


今回はいよいよライデン完成編。たった今、書いておいた原稿を公開しようと思ったら記事が全部消えてしまいました。ふざけんなよはてな!! という事でたった今、慌てて書き直しております。0時に更新だと思ってみてくださった方はごめんなさい。文句ははてなに言ってくださいね。

さて、そんなことばっかり書いていてもしょうがないので気を取り直して、まずは完成品を見ていただきましょう。


軽い気持ちで始めたライデンですが、結構な大型キットでちとてこずってしまいました。

今回の制作課題は「色」。目の覚めるような鮮やかな、それでいてどこかシックな赤を目指しました。


三面はこんな感じです。

いやいや、なかなか狙いどうりの仕上がりで満足してます。
今回の赤はなんと言ってもガイアカラーのプレミアムレッドの効果が大きい。この塗料、あまりにも発色が美しすぎて、使いようによってはリアリティがなくなるんじゃないかというくらいの発色です。今回はCG世界に登場する機体ですから心置きなく真っ赤に塗ることができました。箱絵や説明書を見るともっとピンクっぽい色調なんですが、画面上で見た時の印象は「赤」って感じだったもので。まあ、オリジナルの塗装だと思ってください。


詳しい塗装法は前の記事を見ていただくとして、大体こんな感じです。
1)下地にEX-ホワイトとブリリアントピンクを足して作ったピンクのサーフェイサーを吹く。
2)プレミアムレッドを通常より薄めに溶いて4回ほど塗る。
3)デカールを張り終わったら、EX-クリアーを2階ほど吹く。
という感じです。
プレミアムレッドを塗る前に、下地を白にすればより明るい朱色っぽい赤に、シルバーが下地なら美しいメタリックレッドで仕上げることができます。まあ、この手の塗装は何よりも経験ですから、皆さんもチャレンジしてみてくださいね。




デカールはキット付属のものとHiQpartsの新製品NCデカール05 1/100 ホワイトを使用しました。このデカール、さすがのカルトグラフ製だけあって精度はピカイチです。米粒よりも小さい文字がきちんと見える。写真を拡大してみてみてください。

ちなみに、こちらがキット付属のもの。これはこれで良いんですが、若干透け気味。

NCデカール05は一般的なカルトグラフ製デカールと比較して余白も殆んど無く、かなり薄めに作られています。カルトの特徴である糊の強さと相まって、慣れないうちは若干貼りにくいと感じるかもしれませんが、きちんとした手順で貼れば問題なく美しい仕上がりを得ることができます。今回のライデン君はデカール控えめなので1枚でもずいぶん余っていますが、例えば1/100程度の大型キットに思いっきり貼っても2枚あれば足りると思います。


そして、最近デカール貼りに欠かせない道具がこれ。

フィニッシュマスターという本来はスミイレの掃除に使う道具なのですが、これが小さいデカール貼りに最適なんです。
綿棒を使うと水分の吸収が良過ぎて、小さなデカールがずれてしまったりすることがありますが、これを使って位置決めしたデカールの上から押さえると、絶妙の水分吸収率でピタリと収めることができます。先端の硬さもデカールと塗装面の間に入った空気や水を追い出すのに最適です。


今回オリジナルのディティールアップは腕とフトモモの丸いディティール。ちと甘い感じがしたもんでメタル製のリベットパーツに差し替えました。どうせ差し替えるならオリジナリティを出そうという事で、塗装することにしました。

腕にはHDリベット ホール1.5mm、フトモモにはHDリベット ホール2.5mmを塗装して使ってあります。

塗装は写真のようにプラバンに穴を開けたものにパーツを差し込んで行います。使ったカラーはインテリアカラー(戦車車内色)。プライマーを塗った後に塗装を済ませ、100wの電球に30分ほど当て、2〜3日置いておくと剥がれにくい丈夫な皮膜が出来上がります。メタルパーツならではの簡易焼付け塗装ですね。


各部のバーチャロン的「光ってるパーツ」には全てオーロラデカールを張り込みました。

光が当たると光って見えますが、

光が当たっていないと内部ディティールが透けて見えるというマニアックな仕上がり。これがオーロラステッカーの良い所です。写真を拡大して見比べてみてくださいね。


足回りにはスチールボール シルバーを埋め込み。場所によって0.7mm1mmを使い分けています。


股間のバーニアはBSバーニア ショート 6mmを埋め込みました。インナーベルはオレンジに、センターパーツの中心は赤で塗装してあります。

ついでに足の裏の写真も。これだけでも簡単なキットひとつ分くらいあるんじゃないかというパーツ数です。




そして、前回予告の小技がこれ。


ちょっと時間ができたんで、説明書では黒で塗装指定されている部分に、ハセガワの曲面追従デカールのカーボン模様のものを貼ってみました。ただ黒く塗るより雰囲気が出たと思うんですが。なんとなくバーチャロンっぽいでしょ?


背中の「Vコンバーター」はコンパチで2種類が付属。今は無き○ガ・サターンとド○ームキャストですね。両方塗ってみました。

開閉式で完成後も開くことができます。内部のクリアパーツはフラットブラックでスミイレした後、100均で買ったメタルシールを張り込んだ上に取り付けています。



そして今回の大失敗。え、わからないって?

それじゃあ教えちゃいましょう。
付属の肩部分のデカールを左右間違えて貼っちゃった!!

もうすっかりクリアーを吹いた後に気が付いたもんで、直しようが無かったんです……。




ま、、、                     いいか!



気を取り直して、皆様、大変お待たせいたしました。いよいよ登場、必殺兵器「バイナリー・ロータス」!


フロントビューとリアビュー。細かい塗り分けが功を奏して、中々よい雰囲気で仕上がっております。肩のデカールはこっちが正解です。


設定を無視して塗り分けてます。前面の白い部分のボルト状のモールドにはスチルボール1mmを仕込んでみました。

白いパーツの裏側に当たる部分のシルバーの部品にはHDリベット トツ1.5mmを使ってみました。片方が丸なら片方はネジだろうって事で。

この手の仕上げは暗めの写真がかっこいいんだよなぁ。スターブライトジュラルミンで塗った所は部分的にフラットクリアーで光沢を押さえ、質感の違いを表現してみました。写真じゃわかりにくいかな?


もちろん通常兵器のバズーカもしっかり作ってあります。ちと慌てて写真に撮ったもんで指紋が付いちゃってるのは見逃してください。


スコープと砲口にはオーロラデカールを張り込み。砲口はフラットブラックに塗っちゃおうかと思ったんですが、こっちの方が雰囲気が出るかと。各部のデカールNCデカール05 1/100 ホワイトです。

こんなカットだと効果絶大です。




さてさて、この辺でいつものコーナー

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今週の「遥かなるホワイト・グリント」

今週はどんな風になってるかというと

一度仮組みしたパーツをばらして製作過程とディティールアップの検討中。

このキット、可動部分が結構多いんだよなぁ。こんな所とか

はたまたこんな所とか。

首周りも稼動するのでディティールアップとの兼ね合いも考えておかなくては。足回りは結構ヘビーな改造になりそうだなぁ、とか

やっぱり目玉は例の「テンテンテンテン」ってやつにしたいよなあ、とかね。


夢は広がるが一向に作業が進まない。一体いつになったら出来ることやら。

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よし、書き終わったぞ。約一時間半の遅刻、失礼しました。
最後はライデン君のイメージカットでお別れです。


さあ、次回からは何をつくろうかな。久しぶりにガンプラでもやってみようかな。
てなとこで次週も火曜日更新。乞御期待!!

ライデン未完成! 天気とパーツ数とコンプに泣く、の巻き。

はい、皆様こんにちは。
ゴールデンウィークも終わり「仕事がいやだなぁ……」という方もいらっしゃるでしょうが、そんな時こそ模型で一息。今回もお楽しみください。


さて、前回までで基本工作と小改造が済みました。今回はいよいよ塗装にかかります。
塗装といえば下地から。実は先日の有明トレジャーフェスタで先行発売された、こんなものをゲットしてきました。

ガイアノーツサーフェイサー・エヴォ、ブラックとホワイトです。何でも高い隠ぺい力に加え、塗料に近い感覚で使える新しいタイプのサーフェイサーとの事。早速使ってみました。
私の場合、サーフェイサーをエアブラシで塗るには最低でも圧力0.1MPa、吐出空気量4ℓ程度の性能のコンプレッサーが必要です。これは0.5mmのブラシを使いたいがため。サーフェイサーは普通の塗料と比べて染料の粒子がはるかに大きいため、大きな口径のエアブラシが必要なのです。0.3mmでも塗れないことはないのですが、そうするともっと噴圧を高くしないときれいにサフが出ません。 先代のコンプレッサーがイカレてから、いまだにクレオスのプチコン(最高圧力0.085MPa、吐出空気量:3ℓ/min. 0.05MPa)を使っているので、ここの所サーフェイサーをブラシで吹くのは諦めていました。
が、しかし、これなら吹ける。これまでのサーフェイサーよりもずっと細かい粒子で吹けるので、プチコン&0.3mmエアブラシでも何とかなりました。大体ですが溶剤とサフ1:1に希釈して塗ったのが写真の状態です。

ちょっと見はフラットブラックのように見えますが、よく見るとサフ特有の粒子が伺えます。これならいけるという事で、外装の黒っぽい部分とフレームなどのグレー部分をサーフェイサー・エヴォ、ブラックで塗りました。写真は外装部分のサフ後です。


サフが乾くのを待って外装の黒っぽい部分の塗装をします。塗装レシピはガイアノーツで
EX-02 EX-ブラック90% + 013 ビリジアングリーン10% + 003 ブライトレッドごく少量
というところでしょうか。指定色ではずいぶんと緑っぽい黒なんですが、この後塗装する本体のレッドとの兼ね合いで、より黒っぽく調色しました。普通に見ていると黒なんだけど、強い光に充てると「あれ、これって緑?」位の感じです。レッドを少量入れたのは本体のレッドとの兼ね合いが良くなるように、全体の色調が整うようにという狙いがあります。本来、赤と緑は補色ですから、こんな配慮をしてみました。

成型色の色はこんな感じ。結構緑なんです。でも画面で見たときのイメージは黒っぽい感じがしたもんで、

こんな色に塗ってみました。ハイライトになった部分がグリーンに見えます。

あ、今回の塗装に使った塗料は全てガイアノーツ製です。番号もガイアノーツの番号ですから間違えないでくださいね。


はい、続いていよいよメインカラーの赤。
まずはサーフェイサー・エヴォのホワイトを1:1.5くらいの希釈率(結構薄め)で全体にさっと吹きます。

最初に白を吹いたのは全体的に傷をチェックするため。今回は光沢仕上げなのでちょっと慎重に。キズのチェックが終わったら、サーフェイサー・エヴォとブリリアントピンクを混ぜて作ったピンクのサーフェイサーで下地を作ります。

はい、きれいに乗ってますね。

なぜピンクにしたかというと、今回使う赤がこれだから。

ガイアノーツのGP-02 プレミアムレッドなんですが、この塗料、基本的にクリアータイプなので下地が透けます。塗装テストでホワイトを塗った上に重ねて見たんですが、ライデン君のイメージより若干朱色っぽい。そういう時は下地にちょっとだけ赤っぽい色を足してあげれば、塗料自体の発色を損ねることなく、より「濃い」感じの赤になります。これが、塗料自体に他の色、例えば普通の赤などを混ぜてしまうと、塗料の発色自体が落ちていきます。せっかくすごい発色の赤なので、それを活かそうというわけです。
おまけに、この塗装法ならではのいたずらをちょっと。

白サフを塗った後、ピンクサフを塗る前に一部だけマスキングをしておきました。ここにプレミアムレッドを塗り重ねていくと……
光の角度によってうっすらと透かし模様のようにバーチャロンマークが浮かび上がります。プレミアムレッドは普通のクリアー塗料と違い、完全な「クリアー」というわけではありません。普通のクリアー塗料は重ねれば重ねるほど色味が変化していきますが、プレミアムレッドは、ある程度まで塗り重ねると色味の変化が止まります。それを利用した「良く見るとわかる」というマニアックなお遊びです。

全体に赤を塗った状態は後ほど。実は下地のピンクが出来上がった後、いよいよ本体色を塗ろうとしたら雨が降ってきました。いつもなら多めにリターダー混ぜて塗っちゃうんですが、せっかくのプレミアムレッドに混ぜ物をしたくないなあ、という事で雨が上がるのを待つことに。これが後ほど事件を引き起こすのでした。


さて、天気も回復して本体色も塗った。
本体色の乾燥を待つ間に、他の部分もどんどん塗り分けていきましょう。

フレーム部のグレーは074 ニュートラルグレーIV 95% + EX-02 EX-ブラック 10%のものに006 フラットベースを加え、セミグロスよりちょっとフラットめのグレーで塗りました。


各部の金属色は121 スターブライトシルバー122 スターブライトゴールド123 スターブライトジュラルミン124 スターブライトブラス125 スターブライトアイアンで塗り分け。 一部ジュラルミン部分にはセミグロス気味のクリアーをかけて光沢を押さえてあります。


肩のレーザー「バイナリー・ロータス」内部のパイプ類にもちょっとしたお遊びを。指定ではフラットブラックですが、

接続部分にこんな感じの塗り分けをしてみました。

いや、それほど目立つ部分でもないんですが、説明書のハイエンドCGのイラストを見ていたらこんな塗り分けだったもので、つい。



そんなことをしているうちに本体色が乾きました。でもよく見るとあちこちに細かいブツブツが……。そうです、コンプの噴圧が低いため、気づかないうちに細かいダマが飛んでいたのです。泣く泣く1000〜1500番のサンディングスティックとサンドペーパーで修正しました。しかもこれ、パーツ数多いよっ! というわけで、ようやく組み立てたのがこちら。

良い赤でしょ。狙いどうりの色が出せました。というより、プレミアムレッドが良いんですけどね。
それでは各部のチェック。組みつけていないパーツがあるのは、外すときに塗装に傷が付きそうな部分があるためです。まずは小さいシリンダーを自作した部分。塗り分けでも良かったかなぁ、と思いつつも結構ハマッているので満足。

股関節のパーツは予想どうりのチラ見え具合。塗り分けに加えて、HiQpartsのリベットを多用しています。若干明るいように見えますが、後でスミイレ等をするので、今のところはこれでOK.

こっちのほうがわかりやすいかな?

足首部分もいい加減でチラ見え。メタルシリンダーが利いてます。レッド系、グリーン系、イエロー系という非常にいいマッチングに仕上がりました。

そして、腰部分もチラ見え。なんだか「チラ見えチェック」みたいになってるけど。この写真のように光量がない状態だと非常にシックな赤に、光が当たると朱赤に輝くという本体色に仕上がりました。


さあ、この後はデカール貼り。出来上がった模型にちまちまとデカールを貼りながら考えます。
「え〜と、デカールを貼りおわったら半日くらい乾燥させて、ある程度ばらしてからクリアーがけだな。乾燥する間に残りのパーツの塗り分けとライトパーツのディティールアップをして、乾燥した模型に全部パーツを組み付けて、そしたら撮影だな。え〜、大体3時間くらいかかるから、それから写真をチェックして、原稿書いて……。あ、だめじゃん!

そうです。時間切れです。デカールやクリアーコートの乾燥時間を短縮して載せられないこともないんですが、ここまでやったらきちんとした完成品を見ていただきたいという事で、今回の完成はあっさり諦めました。期待していてくださった皆さんごめんなさい
次週「完成編」では、これまで書かなかった小技をもうひとつ追加でお見せしますのでご勘弁を。




さて、そんな感じでいつものコーナー

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今週の「遥かなるホワイト・グリント」
さて、ライデン君の代わりというわけではありませんが、こちらは仮組みが済んでおります。
といってもざっとパチ組みしただけですけどね。

組んでみてわかったんですが、このキット、「良いキット」です。全体的なフォルムやディティールなどはもちろん素晴らしいのですが、最も良いのが「プラスティックキットとしての思い切り」。
足や腕など分割線は丸見え、一応スナップフィットなのに明らかに接着したほうが良いパーツも多数、組み方、塗り方を良く考えないとえらく面倒な作業になるぞ、という、最近のサービス満点のキットを組みなれた身には厳しい状況を提供してくれます。しかし、それを補って余りある立体物としての充実感。パチ組みならパチ組みなりの、徹底的にやればやるだけの充実感を与えてくれるはずです。こういうキットはモデラーを成長させてくれます。これ、名作です。多分。

特徴的な頭部付近は細かいディティールが頭の後まで続いています。

さらに特徴的な背面ブースターは差し替え無しで展開が可能。展開すると写真に撮りにくいくらいデカイ。

脚部は意外とヒーローっぽいというか、その手の「ケレン味」が感じられるデザインです。

胸部などは特にそうですが絶妙に人型を外したデザイン・ラインが美しい。

このキット、本当は何年もかけて気の済むまで弄繰り回して完成させたいタイプの模型です。どうやら再販もされるようなので、皆さんも手に入れておいて損はないと思いますよ。

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さて、そんなこんなで、次回はいよいよライデン完成編。次週も火曜日更新です。
乞御期待!

地味な作業は続くよどこまでも。ライデン第三回目。

はい、今回も始まりました「やたら模型制作部」。

ゴールデンウイーク真っ只中。皆さんどう過ごしてらっしゃいますでしょうか。私はこの記事が公開される翌朝には有明のトレフェスに行っている予定。会場にいらっしゃる方は私に気づいたらやさしく声をかけてくださいね。くれぐれも罵倒などしないように。これでも結構気が弱いので。


さて、そんなことはどうでも良いので、ライデン二回目。早速参りましょう。


前回は基本工作編。そして今回は――――やっぱり基本工作編。地道な作業が続きます。

前回は前側だったので、今回は後ろ向きでね。



このキットに限らず見逃しがちなのがパーツ接合面の角。パーツのフチの部分にヒケがあると、組み立てた時に隙間が空いてしまいます。このキットのフトモモも一見大丈夫な感じですが

良く見てみると

隙間が空いてしまっています。こういうところはプラパテよりも強度のあるパテで隙間埋めをします。使用したのは瞬間クリアパテ。それなりの強度があるので、こういったところに向いています。

適量盛り付けて硬化剤を使って一気に成型します。写真は成型前に盛り付けた状態。この「適量」を盛り付けるコツは一旦小皿等にとってからパーツに付けること。くれぐれも直接ノズルから付けたりしないでください。失敗の元です。


クリアパテついでに肩レーザーの先端部分も尖らせておきましょう。これもパーツの先端にクリアパテを適量盛り付けて硬化剤を使います。

はい、こんな感じ。


続いては前回メタルシリンダーを使った足首の裏側です。

人間で言うならアキレス腱のところにシリンダー風のディティールがあります。ここもぜひディティールアップしたいところ。しかし、残念ながらこのサイズのシリンダーパーツが手元にありません。

そうなったら無いものは作るというか、何とかするというか、真鍮パイプと金属線でシリンダー風のディティールを作ってみたいと思います。まずは元パーツのディティールを潔く削り落としてしまいましょう。

ディティールを落としたパーツの上下に0.7mmの穴を空けます。

その穴に適度な長さに切った金属線とパイプを通すと

金属製シリンダーの出来上がり。実はこれ、ちょっとコツがありまして、文章で説明すると複雑なので図版を用意しました。





1)まずはディティールを切り取った状態のパーツの断面図。



2)ここに、使用する金属線より少し大きいドリルで穴を空けます。今回使ったのは0.6mmのステンレス線なので0.7mmのドリルを使いました。パーツを貫通しないよう注意しながら、ギリギリの深さまで穴を空けます。



3)反対側にも同じように穴を空けます。パーツの出っ張りが干渉して、若干斜めになりますが、そのあたりは気にしないでいきましょう。こちらは浅めで大丈夫です。ひとつのパーツに付き上下4個の穴を空けます。



4)こんな感じになればOK。ステンレス線を深いほうの穴に差し込んで、浅いほうの穴ギリギリになるように切り出しておきます。



5)切り出したステンレス線を深いほうの穴に差し込んで、適度な長さに切った真鍮パイプ(外径1mm/内径0.6mm)を差し込みます。



6)パイプを差し込んだままステンレス線を移動させ、もう一方の穴に差し込んで完成。このとき、金属線を多少曲げて取り付けるぐらいが丁度良い長さです。見た目で言えば洋白線の方が良いのですが、「曲げて戻す」事を考えてステンレス線を使いました。洋白は柔らかいので0.6mmくらいの線を曲げると元に戻らないんです。イメージとしては襖や障子の取付けといったところでしょうか。後は仕上がりが目立たない接着剤で各パーツを止めてしまえば大丈夫。低白化の瞬間接着剤をごく少量使うか、Gボンドを薄めて使うといいでしょう。


同じようなディティールがヒザの裏にもあるので、こちらも同様に作業します。

出来上がりはこんな感じになりました。




ここから後はディティールアップパーツの仕込みの準備や表面処理などをやっていきます。

胸の前面にある白いパーツは、バラしているときにパキッとやってしまったのでプラバンで新造。横側にはディティール埋め込みようの穴を開けました。



股関節パーツはマイナスのモールドを削り落とし、メタルマイナスモールドを仕込みます。結構見える部分なので絶妙のチラ見え具合になるはず。



各所のモールドの仕込み。ボールビットを使って埋め込み穴を開けていきます。

ホールリベットを埋め込み予定の穴は面取りビットを使って面取りをしておきます。

他の部分にもディティール埋め込み用の穴あけ。

バズーカのスコープ部分は後ハメ加工。


といった一連の作業が済んだら、塗装前のパーツ磨きに入ります。ここからはもう、ひたすら磨く磨く磨くの繰り返しです。今回は基本グロス仕上げで、と思っているので念入りに。

そんな作業を写真で見せられても、皆さんも面白くないと思うので、今回のライデン君はここまで。本当は写真に写ってない基本的な作業が一番多いんですけどね。


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さて、ここでちょっと寄り道。


当ブログの読者の方から、轟雷制作に使った「轟雷専用リベットテンプレート」の詳しい作り方を知りたいとのメールをいただきました。詳しくは過去記事「繰り返す作業は波に似て……。轟雷第二回目」を参照してください。写真で見るとこんなものです。


これを使ってキャタピラの転輪に等間隔のリベットを打つというものです。

テンプレートの設計図を書くとこうなります。


赤い線と外周の接する点に溝を掘ればいい訳ですね。円の切り取りはサークルカッターかポンチなどを使います。まあ、カッターのほうがきれいに仕上がると思います。あ、この作業をするときに真ん中の穴を切り取らないでください。確実に円の中心がわからなくなりますから。


さて、円の中心点から60°づつ計っていくと非常にずれやすく、正確に作るのは結構ハードルが高い作業です。そこで、簡単に円に内接する正六角形を作る方法を考えてみましょう。図が見づらい場合は画像をクリックして拡大してください。

1)まずは外周の直径1/2の大きさの円と、中心点を通過して円を二分する直線を書きます。今回は7mmの外周ですから3.5mmの円を書けばいいわけですね。
2)直線が外周と接する点から3.5mmの円の円周に接するように直線を引きます。
3)引いた直線の先、外周と接する新たな接点から、また内側の円に接するように直線を引きます。
4)3と同じ手順で直線を引くと円に内接する正三角形が出来上がります。
5)今度はこれまでの正三角形と逆にもうひとつ正三角形を作っていきます。


つまり正六角形は正三角形が2つ重なり合っているという事ですね。この手の作業に慣れている方は4と7の作業を飛ばしても大丈夫です。本当はもっと正確に正六角形を作る方法もあるんですが、10mm以下のパーツに使うには向いていません。経験上、このサイズではこの方法が一番早くて正確です。
ちなみに、この方法は正六角形と正三角形の場合にしか使えません。8角形の場合は内接する正方形を2つ、45°の差で作図すると簡単に作ることができます。これが5つとか7つになると結構厄介なので、PC上で図面を制作して、それにあわせて切り出したほうが正確で早いと思います。

こういった図学的な知識は模型制作に大変役立ちます。専門書なども出ていますので、機会があれば見てみると良いかもしれません。結構面白いですよ。

こんな感じで、少しは参考になりましたか?

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さて、ここで今週の「遥かなるホワイト・グリント」のコーナー。

いや、実は資料なんかを当たっていて殆んど進んでないんですけどね。一応写真も載せとこうという訳で。


はい、できてるのは腕一本だけ。「とりあえず仮組み始めました」ってとこです。どうもすいません。

このキット、各所に小気味良い、繊細なディティールが施されています。この手のキットは作るのは苦労するけど、出来上がったときの充実感は代えがたいものがあるんだよなぁ。よし、頑張ろう。


本当に「遥かなる」感じになってきた。しかし、資料を見てると作りたい欲が沸いてくるという困った中年モデラーです。また睡眠時間が少なくなる。

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といった感じで今週はここまで。
実はもうライデンの塗装に入ってます。これが中々厄介で、果たして次週完成できるのかという雰囲気になってます。一体どこまでできるか、皆さんもお楽しみに。

それでは次週も火曜日更新。乞御期待!

四角いものは四角く、丸いものは丸く。ライデン第二回目。

はい、皆さんご機嫌いかがですか。

今回はライデン二回目。まずは基本工作から参りましょう。
前回は仮組みまでで終わってましたね。

まずは基本工作中の基本、整面を行います。
と言っても特別なことをするわけではなく、仮組みした模型をいったんばらして、パーツごとにヤスリがけをしていくだけです。使うツールは当然サンディングスティック

400番くらいから800番までで磨きます。段差やヒケの激しいところは320、240番を使うとストレスなく整面できます。
私の場合、仮組みのときにざっとヤスリをかけておいて、その後もう一度整面しますから、素組みに塗装だけというフィニッシュでも最低2回はヤスリがけしていることになります。前にも書きましたがインジェクション(射出成型)で作られたパーツは多かれ少なかれ多少のヒケや歪みが生じます。これをなくすのが整面の作業です。いつも、なんとなく「もやっ」っとした仕上がりになってしまうという人は、ぜひ一度やってみてください。四角いものは四角く、丸いものは丸く、一味違う「パリッ」とした仕上がりになります。
愛用のHiQparts製サンディングスティックが便利なのは、番手によって微妙に硬度が違うから。緩衝材が良いのか、ヤスリ面の工夫かはわかりませんが、各番手それぞれが絶妙の硬さです。だから余計な力もいらないし、結果として平面やエッジが出やすいんです。


そんなサンディングスティックを使ってどんどん製面していきます。

合わせ目が露出する部分の継ぎ目消しのついでに腕部の後ハメ加工もやってます。

二の腕のパーツの接合部分をこんなふうに切り欠いておけば、

塗装後に組み立てることができます。うむ、バッチリだ。


さすが「ハンドユニット」を発売するコトブキヤ製キットだけあって、手首はしっかり造形されています。多少の彫り込みで十分見栄えのするものになりそうです。撮影のときのクリップが汚いけど。ごめん。


製面をしながらパーツの一つ一つをチェックして、どんなディティールアップをしようか考えます。
例えばこのパーツ。

円形のディティールが若干緩い。なのでリベットを使ってよりシャープな仕上がりを目指すことにします。
まずは慎重に下穴を空けた上から仕上がり径より若干細めのドリルで穴を広げていきます。いきなり仕上がり径で穴を空けようとすると、必ず斜めにあいたりずれたりしますから、面倒でも手間をかけて開口しましょう。

開いた穴にとりあえずリベットを付けてみました。仕上がりでは面位置に収めるつもりですが、今のところはあてがっただけ。だって、しっかり止めると絶対に抜けなくなるやつがあると思うので。碗部にはHDリベット ホール1.5mm、フトモモにはHDリベット ホール2.5mmを使っています。塗装指定とは異なりますが、ここは別の色に塗ってみたいと思います。なので、轟雷でもやったリベット塗装の準備をしておきます。


他のディティールアップポイントも見ていきましょう。
まず肩のマイナス部分は「やってくれ!」と言わんばかりなので、


こんな感じで。使用したのはメタルマイナスモールド4.0mmHDリベット フラット1.0mm。パーツの面を削ってセンターに穴を開け、差し込むだけのお手軽ディティールアップです。

同じように頭部の後ろ側にあるモールドもHDリベット フラット1.5mmに変更。こっちはフトモモなどと同じように1.5mmの穴を掘り込み、面位置に収まるようにしています。

肩のレーザー「バイナリーロータス」展開時の肩パーツは塗装でディティールを表現しようと思います。複数の金属色で素材の違いを再現できたらな、とかね。


「バイナリーロータス」前面には各所にスチールボール シルバー 1.0mmを、丸ビットで掘り込んで埋め込み。白いパーツの止具状のディティールも同様に処理します。

白いパーツの裏に来るシルバーのパーツにはHDリベット トツ1.5mmを使います。片方が「丸」ならもう一方は「ネジ」っぽい方が良いだろうと言う単純な発想です。

他にもスネの前面パーツやボディパーツなど、チョロチョロとスチールボールを使ってみました。バリエーションをつけるために場所によって1mmと0.7mmを使い分けています。



さて、このキット、フレームの各所にシリンダー状のディティールがあります。良く見るとアクチュエーターではなく、あくまで「ダンパーです」という表現がされており、妙に感心してしまいました。なので、ここもディティールアップ! 写真右が足首のフレーム、左が肩です。 

使うのはお気に入りパーツのメタルシリンダー

まずは元パーツに合わせてシリンダーのパーツを切断します。足の部分にはメタルシリンダーL 3.7mmを使います。

はい、こんな仕上がり。けっこう盛り上がるでしょ。接着には低白化の瞬間接着剤を使用しました。


続いて肩のフレーム。
こっちはメタルシリンダーS 2.0mmを使います。使用法は足のときと同じ。元パーツに合わせて切断し、元パーツの不要部分を切り、穴を空けて接着するだけ。肩パーツではシリンダーのアウターパーツが元パーツの中に差し込むような形状になっているので、フタ状の止具パーツは使用しませんでした。


さて、今回のライデン君はこの辺にしておいて、


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今週の「遥かなるホワイト・グリント」のコーナー。


先週は箱の写真、今週は……はい、もう皆さんお分かりですね。


ランナーの写真。

いやー、あるわあるわ。ライデン君とおんなじか、それ以上のランナー数。たぶんパーツ数は遥かにライデンを超えています。

しかもパーツの一つ一つが細かい。ピンセットがないと厳しいところもでてきそうです。

本体外装の白は、真っ白でなく微妙に濁った非常にいい白です。塗装しない派の人でも結構満足してしまう感じの成型色。


という事で、若干尻込み気味の線香亭ですが、気長にがんばります。こちらもお楽しみに。
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さて、ここでうれしいお知らせ。
今回のライデン君の塗装色についてガイアノーツさんに相談したところ、今回の作例に使用するカラーをご提供いただけることになりました。こんな広告効果も定かでないブログに、本当にありがとうございます。もう、一生ガイアカラー使います。

あまりにもうれしかったので、早速調色してフレームの一部に塗ってみました。塗料の基本的な感じを掴むため、まずは無彩色で。使ったのは074 ニュートラルグレーIVEx-01 EX-ホワイトEx-02 EX-ブラックを、それぞれ6:2:2くらいで混色したもの。

まず感じたのは、塗り心地の印象として塗料の伸びが柔らかい、使いやすい、といった印象です。色味自体の印象を言えば、非常に純度が高い無彩色だなぁ、という事でしょうか。
模型用に限らず、一般的に販売される塗料は白でも黒でも、深みを出すために必ず何かの色が混ざっているもんなんですけれど、この塗料は殆んどそれがわからない。非常に純度の高い無彩色に塗りあがってます。調色の感じは油絵の具なんかに近いかもしれません。色物はまだ試してないのでわかりませんが、ビンの状態で見ても赤や青などは非常にいい発色です。
特にこれ、プレミアムレッドが楽しみ。

チョロッとプラバンに出してみたらスンゴイ発色。限定生産なので見かけたら確保しておくことをオススメします。
どう使うかが腕の見せ所になりますな。




まあ、そんなこんなで存続している当Blogです。いつもパーツを提供してくださっているHiQpartsさんにも、この場を借りて厚く御礼申し上げます。


さあああ、テンション上がってきたぞ。
と言うところで、次週も火曜日更新。乞御期待!!